モンスター田嶋選手が、EV「E-RUNNER パイクスピークスペシャル」の開発報告
ダッソー、APEV、シムドライブ共同記者会見より

EV「E-RUNNER パイクスピークスペシャル」について語るモンスター田嶋選手

2012年9月18日発表



 ダッソー・システムズ、APEV(電気自動車普及協議会)、SIM-Drive(シムドライブ)の3社は9月18日、都内において合同記者会見を開催した。

 APEVはEVの普及を目指す団体で、シムドライブはオープンソースという開発手法でEVの開発を行っており、そのいずれにも3D設計ソフトやPLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)関連のソフトを主に企業に販売しているダッソー・システムズが協力している。

 APEVからは、“モンスター田嶋”こと代表幹事の田嶋伸博氏が登壇。今年初めてEVで挑戦したパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムについての報告が行われた。

 モンスター田嶋選手はパイクスピーク7連覇を目指して、EV「E-RUNNER パイクスピークスペシャル」でレースに参加。すべての予選でトップタイムを叩き出していたものの、決勝ではモーターの発熱によりリタイヤとなった。

パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムへEVで参加コースの標高は高いEV「E-RUNNER パイクスピークスペシャル」

 このE-RUNNER パイクスピークスペシャルの設計・開発に使われていたのがダッソーの「SOLIDWORKS」で、アルミフレームの構造計算などに活躍。2012年の2月に設計を開始し、同月内に風洞実験用のスケールモデルが完成するという速度で、5月には車両テストまで終えていた。

 このような通常では考えられない速度で設計・開発できたのはダッソーの一連のソフトがあったからとし、来年への雪辱を語った。

設計~製作の流れ車両開発のタイムライン
アルミ削り出しで作られた、フレーム素材レース結果は、残念ながらリタイヤ

 一方、オープンソースEVという方法でEV開発を進めるシムドライブの代表取締役社長 清水浩氏は、ダッソー・システムズの開発参加により、新たなコラボレーションなどが生まれていると紹介。シムドライブの開発参加メーカーがダッソーの持つソフトウェアソリューションを利用することで、開発期間の短縮に成功した例などを挙げた。

シムドライブ代表取締役社長 清水浩氏シムドライブのビジネスモデル
ダッソー・システムズが開発参加した、先行開発2号車「SIM-WIL(シム・ウイル)」2号車参加企業ダッソー・システムズのCATIA V6による、開発期間短縮例
3号車は2013年3月27日に発表3号車開発企業4号車の開発企業募集を2013年2月25日より開始

 ダッソー・システムズ 代表取締役の鍛治屋清二氏は、同社は“3Dエクスペリエンス・プラットフォーム”という開発環境の提供に取り組んでいると言う。3Dエクスペリエンス・プラットフォームは、これまでの3D構造計算や3Dシミュレーションという分野だけでなく、ソーシャルな分野、ビックデータの分析などを製品の開発環境に組み込み、ユーザー(主に企業)に提供していく。

 とくにEVにおいては、「EVのある生活」「環境と共生しながら豊かさを享受できる世界」という、社会との関わりが大切になり、同社の3Dエクスペリエンス・プラットフォームが、これらを生み出す力になるものであるとした。

ダッソー・システムズ 代表取締役 鍛治屋清二氏3Dエクスペリエンス・プラットフォームを構成するソフトウェア群
ダッソー・システムズ CATIA事業部 ディレクター 田中昭彦氏EVにとっての3Dエクスペリエンス具体的な要素技術
シミュレーション例。部品単位でのシミュレーション結果で状況を構築BMWでの採用例ジャガー・ランドローバーでの採用例

 なお、APEVは9月20日13時、東京ビッグサイトで開催されている「EVEX(電気自動車開発技術展 2012)」において、「APEV シンポジウム in EVEX 2012」を実施。このシンポジウム内で、EVコンバージョンを始めとしたEVへの取り組みを報告していく。

(編集部:谷川 潔)
2012年 9月 18日