ブリヂストン、「100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ」発表会
コンセプトタイヤで使われる原材料・技術を使い、2020年に製品化

「100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ」とブリヂストン タイヤ材料開発第1本部長 高木光治氏

2012年9月28日発表



東京 小平市にあるブリヂストン技術センター

 ブリヂストンは9月28日、東京 小平市にある同社の技術センターにおいて、パリモーターショーで公開した「100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ」についての発表会を開催した。

 発表会では、ブリヂストン タイヤ材料開発第1本部長 高木光治氏がコンセプトタイヤについて説明。

 同社は現在、タイヤに使われる天然ゴムにパラゴムノキ由来のものを採用しているが、近年は「ロシアタンポポ」「グアユール」由来の天然ゴムの開発に着手するなど、パラゴムノキに代わる新たな天然ゴム資源の発掘を積極的に行うとともに、パラゴムノキのゲノム解読に成功するなど、「パラゴムノキを減らさない取り組み」と「パラゴムノキを増やす取り組み」にも力を入れている。

 これは昨年5月に発表したブリヂストングループの環境宣言に基づくもので、地球の人口や世界の経済活動(GDP)に比例して資源消費や環境に影響を与えるのではなく、2050年にCO2排出量を2005年比で50%以上減らすことで低炭素社会を実現し、生態系に対する影響を低減することで生物多様性に貢献していくと述べられている。同時に、タイヤの資源循環を図ることで資源生産性の向上に寄与し、2050年の目標として「100%サステナブルマテリアル化」を掲げている。

コンセプトタイヤはサステナブルを連想させるパタンデザインを採用。タイヤサイズは155/60 R20
コンセプトタイヤに使われた素材の1つ、新セルロース繊維バイオカーボンバイオ加硫促進剤
バイオブタジエンラバー天然ゴム(グアユール)

 高木氏は、「供給面、事業面、環境面のすべての側面で持続可能でなければならない」と述べ、100%サステナブルマテリアル化に向けて「そもそもの原材料使用量を削減する」「資源を循環させる&効率よく活用する」「再生可能資源の多様化・拡充」という3つのアクションを推進するとした。今回のコンセプトタイヤが当てはまるのは、3つめの「再生可能資源の多様化・拡充」となる。

 今回発表されたコンセプトタイヤでは、従来の石油由来の材料に頼るのではなく、汎用パルプから生産できる「新セルロース繊維」、生産地域の多様化が見込める乾燥地帯で育つグアユール由来の天然ゴム、バイオマス由来の合成ゴム「バイオブタジエン」、植物油脂由来の高補強カーボンなど、持続可能な原材料で構成したタイヤと言う。現時点ではコンセプトタイヤとなるが、2020年を目標に実用化を判断するとしている。

コンセプトタイヤはパリモーターショーで初公開されたブリヂストングループの環境長期目標
100%サステナブルマテリアル化に向けて3つのアクションを推進するアクションの内容
コンセプトタイヤで使われる原料今後の技術開発のマイルストーンと進捗状況について
実用化に向けた課題事業面・環境面ともに持続可能で魅力ある商品を提供していくとした

(編集部:小林 隆)
2012年 9月 29日