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日産、ダイバーシティの取り組みに関する説明会を開催
グローバル本社に3個所目の託児施設を開設
(2013/1/30 00:00)
日産自動車は1月29日、神奈川県横浜市のグローバル本社でダイバーシティの取り組みに関する説明会を開催。志賀俊之COOが出席するとともに、ダイバーシティディべロップメントオフィスの桐竹里佳室長が取り組みに関する解説を行った。
ダイバーシティとは、人種や国籍、性別、学歴などを問わず企業が人材を活用することを指す。日産では、さまざまな背景を持つ人材を有することで多種多様な意見をぶつけ合い、その結果より発展的で創造性のあるアイデアが生まれることを目的とし、このダイバーシティの考え方を2004年以降、積極的に取り入れている。この考えを推進するのが、桐竹室長が所属するダイバーシティディべロップメントオフィスだ。
その一環として、同社は新卒女性の採用に積極的で、2004年以降は事務系50%、技術系15%という採用比率を掲げており、現在のグローバル本社で働く39歳以下の44%は女性と言う。これに伴い、女性管理職(課長職以上)の数も増加しており、2004年に1.6%だったところ2012年には6.7%と、8年間で4倍に増えた。
こうした動きはすべてグローバルで戦う競争力に変えるためで、商品企画から販売に至るすべての分野で女性社員数を増やしている。例えば製造ラインに入る女性従業員数は全体の2%強にとどまるが、女性目線から作業環境の改善を行う取り組みも行われている。また、販売の現場でも女性販売員(カーライフアドバイザー)の数を増やしているそうで、「女性からも男性からも、女性のカーライフアドバイザーの満足度は、実は男性のカーライフアドバイザーよりも高いという結果がある。この分野は引き続き強化していきたい」と、桐竹室長は言う。
その一方で、特に女性は結婚後に出産、子育てというライフイベントが待つ。かつては結婚・出産を理由に退職する女性も少なくなく、2004年時の同社における女性の退職理由の22%は「子育て」だったと言う。しかし、2011年には子育てを理由に退職する女性の数は4%まで減少しており、その理由については桐竹室長は「お子さんが2歳になった4月までお休みできる制度に変更したり、あるいはお子さんが小学校6年生まで活用できる時短制度に変更してきた成果と考えている」と説明。
また、現在首都圏での待機児童問題は継続中で、「育休中の社員にとって託児先の確保が復職時期を決める」(桐竹室長)。そのため、同社は「まーちらんど」と銘打った事業所内託児施設を作ることにした。すでに厚木の日産テクニカルセンターと日産グローバル情報システムセンターに開設しており、説明会が行われた29日にはグローバル本社内にも開設した。桐竹室長は「こうした施設を持つことによって、従業員がいつでも復職して(仕事と)両立していく環境を整えていくことで、よりパフォーマンスを発揮できる状況を目指していきたい」と、事業所内託児施設の開設のメリットなどについて述べた。
同じく説明会に出席した志賀COOは、「ダイバーシティの原点は、異なった意見、違った考え方を受け入れるという多様性を持つこと。日産もルノーとアライアンスを結んでカルロス・ゴーンが来て、企業文化が大きく変わった。従来であれば(従業員の)全員が日本人で、男性が多く、似たような大学を出て同じようなスピードで昇進してきた者が意思決定をしてきた。そういう意味では経営陣9人のうち4人が外国人という、日本の企業の中でも他国籍の方が経営に関わっているということは特徴があっていいこと。そういう多様性を重んじる企業文化を、会社として1つの強みにしたい」と説明するとともに、女性の能力を活用する取り組みを行う理由について「理由は2つある。1つは(自動車メーカーは)男性社会だから、女性が入ってくるだけで多様性が生まれること。もう1つはクルマを購入する際の女性の目線で、会社の中に女性が入ってくれることで、よりお客様に近い意思決定ができる」と説明。
また、今回グローバル本社に事業所内託児施設を設けたことについては、「これは企業としてアピールしているのではない。企業だけ、自治体だけということではなく、社会全体で待機児童問題に取り組んでいく必要がある」とし、女性の方のワークスタイルを社会インフラとして応援していく取り組みが必要だと語った。