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日産、「ダイバーシティ推進活動」により女性管理職比率が8.2%に上昇
在宅勤務を有効活用する「働き方改革“Happy8”」を3月から導入
(2015/5/29 23:43)
日産自動車は5月29日、2015年4月時点の女性管理職比率が、前年度の7.1%から8.2%に上昇したと発表した。発表では、2014年度に管理職以上となっている女性は214人で、女性従業員数が少ない部門も含めた全部門で登用。比率としては、女性従業員の10人に1人が管理職であるとしている。
この発表に合わせ、同日に神奈川県横浜市にあるグローバル本社で説明会を実施。女性管理職比率上昇の原動力となった、2004年から続けている「ダイバーシティ推進活動」における取り組みについて紹介した。
説明会では、人種、国籍、性別、学歴などを問わず企業が人材を活用することを指す「ダイバーシティ」を推し進めるため、2004年10月に人事部門から独立した組織として立ち上げられた「ダイバーシティディベロップメントオフィス」の室長を務める小林千恵氏が登壇。10年にわたって続けられている活動の推移や活動の狙い、今後の課題や新たなる取り組みなどについて解説した。
小林氏は「自動車業界と聞いて男性をイメージする人もまだ多いかと思いますが、実際には、クルマの購入で意思決定の3分の2に女性が関わっているというデータが日本の場合でも出ています。クルマの登録名義は男性でも、大きな金額をかける物でもありますので、配偶者や家族といった女性の意見も聞いて買うという人が25%となっており、購入の半分以上のケースで女性の意見が受け入れられています。そのため私たちとしても、クルマの魅力を女性のお客さまにきちんと伝えていく必要があると考えています」とデータを紹介。
「そこで私たちは、商品企画から生産、販売に至るまで、すべてのプロセスでダイバーシティの視点を織り込んでいます」と語り、具体例として2014年からスタートさせた「レディー・ファースト店舗」の取り組みを解説。女性が気軽に立ち寄れるディーラーを目指し、女性の視点を多く採り入れ、2014年6月にリニューアルした「府中西原店」をはじめ、これまでに108店舗がオープン。中長期的には300店舗を目指すことを明らかにした。
また、今後に向けた課題と取り組みでは、まず現状認識として2013年度に行った社内調査の回答内容を紹介。男女、年齢などを同数で調査した結果では、「管理職になりたいと希望しない」との回答が一定数あったことを明かし、まずこの面を課題として認識していると小林氏は言う。理由についての回答では、女性は「仕事と家庭の両立が困難になるため」という項目が半数以上となっており、実際には裁量労働になるものの、「仕事の時間が長くなるのではないか」との不安から管理職を希望しない理由になっているのではないかと分析。
この解消を目指し、2015年3月から「働き方改革“Happy8”」というプログラムを新設。「1日8時間勤務を意識して働き方を見直し、8つの項目のハッピーを目指す」というこの活動では、よりコア業務に時間を割けるようになり、私生活も週末だけ充実させるのではなく、平日もプライベートを生み出せると説明。
大きな施策としては、従来からも一部で利用されてきた在宅勤務をより柔軟に運用できるよう制度を変更。月あたりの利用できる回数を増やし、さらに数時間単位でも申請して使えるシステムになっている。
最後に小林氏は、「日産自動車は『モノづくり』『ヒトづくり』『おもてなし』といった日本のよさを生かしつつ、日本ベースのグローバル企業として、グローバルビジネスをきちんと勝ち抜く人材を育てていきたいと思って取り組んでいます」と語り、ダイバーシティ推進の意義を紹介した。