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ヤナセオートシステムズ、北関東・千葉エリアを担う「三郷事業所」の開所式

アフターマーケット向けパーツ販売と板金塗装の中核地点

ヤナセの井出健義代表取締役社長、メルセデス・ベンツ日本の荒垣信賢代表取締役副社長らによるテープカットの様子
2013年4月12日開催

 ヤナセが100%出資するヤナセオートシステムズは4月12日、埼玉県に新設する「三郷事業所」(埼玉県三郷市花和田462-1)の開所式を行った。

 ヤナセオートシステムズは、ヤナセの関係会社として1994年に設立。BP(Body Repair&Painting、板金塗装)事業、輸入自動車部品の輸入および販売(パーツ&アクセサリー事業)、リサイクル事業を主力事業としている。今回開設された三郷事業所を含め、北海道から福岡県まで全国5個所のエリアセンターと、10個所の直営BP工場を展開する。

 4470m2という敷地面積を誇る三郷事業所は、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県におけるアフターマーケット向けパーツ販売事業とBP事業の中核拠点に位置づけられ、上記エリアのアフターマーケット向けパーツ販売を担当する「首都圏第二エリアセンター」(4月15日営業開始)と、BP事業を担う「BPセンター三郷」(4月16日営業開始)の2つの事業所からなる。

首都高速、常磐自動車道、東京外環自動車道の「三郷IC東」からほど近い場所に位置する三郷事業所

 BPセンター三郷は34作業ベイ(板金18、塗装16)を備える大型BP工場。メルセデス・ベンツ、アウディ、ボルボの各日本法人の認定を受けた最新鋭の設備を整えたと言い、水性塗料対応ブースを4基、板金塗装の仕上げを行うサンディングブースを6基、フレーム修正機を3基、アライメントテスターを1基、2柱リフトを3基備える。これに加え、板金塗装を行う前に作業員についたホコリなどを飛ばすエアシャワー(1基)を、同社として初めて採用した。

 開所式の際には分けられていなかったが、板金作業ベイには従来のスチール向けのほかアルミの溶接作業を行うベイを隔離して設けると言う。これは近年、低燃費化に向けて軽量なアルミニウムをボディーに採用する車両(メルセデス・ベンツ「SL」やアウディ「S8」「R8」など)が出てきており、これに対応するため。板金などの際に発生するスチールとアルミの粉が混ざり合い、粉塵爆発や電位差による腐食といったことを防ぐためで、ベイを隔離するとともに工具についてもスチール用とアルミ用を分けていると言う。

 また、アルミは材料の特性上、溶接時の温度管理などに高度な技術を必要とするため、メルセデス・ベンツ車のアルミ合金の板金修理を行うには「メルセデス・ベンツ ハイブリッド・アルミニウムボディショップ」の認定を受ける必要があると言う。また、アウディは「認定アルミニウムボディショップ」以外でのボディー修理作業を禁止しており、溶接やフレーム修正に関連する部品は同ショップ以外には供給していないと言う。そうした中、BPセンター三郷は設備や環境を整えることで、いずれの認定も受けている。

板金塗装の仕上げを行うサンディングブース。塗装後の乾燥のためにカーボンヒーターが備え付けられている
温度管理のできる水性塗料対応ブース。天井から吹き出した空気が地面に吸い込まれるプッシュプル型換気装置が備わる
水性塗料対応ブースの隣にエアシャワールームが備わる
こちらは調色室。開所式当日はまだ何も置かれていなかったが塗料を保管する場所になる。BPセンター三郷では水性塗料を用いた補修作業の技術向上に取り組む、パイロット拠点の役割を担っていると言う。ちなみに水性塗料はデュポンのクロマックスを使用しているとのこと
フレーム修正機
タイヤチェンジャー
ヘッドライトテスター
アライメントテスター
首都圏第二エリアセンターの事務所。部品関係の注文を受けるオペレーターや営業担当がこの部屋で仕事をする。ちなみにヤナセが取り扱っていないポルシェ、ジャガーといったモデルの部品も扱っていると言う
不定期で主に保険関係者向けにクルマや板金塗装の最新技術などについての勉強会を開いているそうで、この部屋はその勉強会で使われる
ヤナセの井出健義代表取締役社長

 開所式ではヤナセの井出健義代表取締役社長、メルセデス・ベンツ日本の荒垣信賢代表取締役副社長、あいおいニッセイ同和損害保険の首都圏ディーラー本部兼ディーラー営業推進部 沖英治部長、東京海上日動火災保険の東京自動車損害サービス部 木村宇一郎部長が祝辞を述べた。

 ヤナセの井出社長は、三郷事業所が首都高速、常磐自動車道、東京外環自動車道の「三郷IC東」から至近という交通アクセスのよい立地あることから「これまでのBPセンター戸田と北関東エリアセンター、千葉エリアセンターの3つの事業を統合した」と、三郷事業所の開設に至った背景を説明するとともに、「近年のクルマは燃費の改善のためにどんどん軽くなっている。それに伴って強度に優れた超高張力鋼板や軽量のアルミフレームが多く使われるようになり、ボディーの修理が非常にむつかしくなっている。幸いにも、BPセンター三郷は最新鋭の設備と経験ある優秀な技術者が揃っているので、難度の高い作業もしっかり行い、お客様にご満足いただける仕上がりになると信じている」と述べた。

 アフターマーケット向けパーツ販売を担当する首都圏第二エリアセンターについては、「環境に優しくて燃費のよいクルマ=ダウンサイジングという流れが世界的に主流になっており、欧州のプレミアムメーカーも今や小さいクルマから大きなクルマまでフルラインナップのメーカーになっている。このように車種が増えると部品も増えるため、部品の選別や在庫、納入など、このあたりを総合的に取り扱う物流体制が必要になっている」とし、三郷事業所を拠点として茨城県、栃木県、群馬県、千葉県への供給体制を万全にしたいと述べた。

メルセデス・ベンツ日本の荒垣副社長

 また、メルセデス・ベンツ日本の荒垣副社長は同氏が入社した25年前を振り返り、「入社した当時、ヤナセさんは横浜に大きな整備工場をお持ちで、少なくとも週2~3回はそこに通いつめていた。そこには板金塗装の機能があって、それが販売店の当たり前の姿だと思っていた。しかし、長くこの業界にいるにつれ、それが普通の姿ではないということが分かった。一般的な自動車販売店は多くの場合(板金塗装は)外注に出すため、外見が綺麗に仕上がっていれば実は中身の安全性というところまで見切れていないのが実情。そうした中、ヤナセさんの横浜工場には“板金の神様”と言われる人がいて、そこまで施設や人に投資をして、職人的な人を抱えているというのは普通の自動車ディーラーを超えている。そこに1つの企業哲学が表れていると思っている」と述べるとともに、「修理をしたクルマが再び事故にあったときというのは、例えばエアバッグの展開のスピードがほんの少しずれるということがある。しかしこの一瞬が人の命を奪ってしまうかどうかの瀬戸際になってしまうので、表面だけが綺麗に仕上がっているだけではだめで、中身が伴わないといけない。それを確実なものにするにはメーカーからの情報が必要だし、設備、人も必要。そういった意味で、ヤナセさんは我々にとって安全を守る意味でも非常に大きな存在」との祝辞が述べられた。

あいおいニッセイ同和損害保険の首都圏ディーラー本部兼ディーラー営業推進部 沖英治部長
東京海上日動火災保険の東京自動車損害サービス部 木村宇一郎部長

三郷事業所

所在地:埼玉県三郷市花和田462-1
Tel:048-949-5503
スタッフ数:44名
敷地面積:4470m2
営業開始日:4月15日(首都圏第二エリアセンター)、4月16日(BPセンター三郷)

(編集部:小林 隆)