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NEXCO中日本、EVトラック新型「キャンター E-CELL」で秋に実証実験

ワイヤレス給電を持つ道路維持作業車として新東名・東名で作業予定

EVトラック「キャンター E-CELL」
2013年7月1日発表

 NEXCO中日本(中日本高速道路)は7月1日、新たに導入したEV(電気自動車
)トラックの新型「キャンター E-CELL」を、新東名高速道路 新富士IC(インターチェンジ)そばにある富士保全・サービスセンターで報道陣向けに公開した。

 NEXCO中日本では、CO2削減の観点から、CO2を排出しない作業車の導入を検討しており、三菱ふそうトラック・バスのキャンター E-CELLを用いて実証実験を行っていく。

キャンター E-CELLは、道路維持作業車の自走式標識車として使われていく
車体後部に搭載した標識。さまざまなメッセージで、本線走行車両に工事を知らせる
左側面に搭載されていた、ワイヤレス給電部
車体下部にはリチウムイオンバッテリーが収まる
こちらは、ディーゼル車のキャンター。外観ですぐに分かるのは、ワイヤレス給電部くらいか

 キャンター E-CELLの外観は、ワイヤレス給電部を除けば、ディーゼルエンジン版のキャンターと大きく異なるところはないものの、走行音はほぼ無音。燃料タンクが占めていた場所に、リチウムイオン製の走行用バッテリーが収まる。

 内部は大きく異なり、本来ディーゼルエンジンのあった個所にDC/DCコンバーターやインバーター、暖房用の熱などを作り出すヒーター、ブレーキ用の負圧を作り出すユニットが収まる。また、トランスミッションがあった個所にはモーターが収まる。

キャブを開けて、パワートレーンの公開も行われた
キャブの開け方も、通常のキャンターと同じ
ディーゼルエンジンがあった場所には、インバーターなどが収まる
一番上が、24Vを作り出すDC/DCコンバーター、2段目がインバーター、一番下に並ぶ直方体が熱源となるヒーター。暖房用の熱を作り出す
トランスミッションのあった個所には、駆動用のモーターが収まる
左前輪の後ろには、クルマのシステム全体を司るECUがある。非常停止のシステムダウンもここで行える
メンテナンス性もよさそうだ
コクピット。ここは、ハイブリッド キャンターと同様の作り。タコメーターは、モーターの回転数を反映する
EVなので、アクセルとブレーキの2ペダル
マルチファンクションメーターで、バッテリーのチャージ状況、エネルギー回生状況などが分かるようになっている

●サイズ・重量など

項目EV キャンター E-CELLベース車両
FEA20E23S002
全長(mm)66355985
全幅(mm)19301930
全高(mm)29002160
車両重量(kg)43002460
最大積載量(kg)5002000
乗車定員(人)33
最大総重量(kg)49654625

●EV仕様

項目内容
走行用モーター種類永久磁石式同期モーター
最高出力96kW
最大トルク650Nm
走行用バッテリー種類リチウムイオン
容量72kW
電圧350V
最高速度80km/h以上
航続距離100km以上
充電時間普通充電約12時間
NEXCO中日本技術開発チーム 担当リーダー 東晋一郎氏。NEXCO中日本の技術関連を統括し、今回の実証実験も担当する

 このキャンターE-CELLは、ワイヤレス給電の方法として磁界共鳴方式を採用。現在主に用いられているワイヤレス給電には、磁界共鳴方式と電磁誘導方式があるが、磁界共鳴方式は効率や給電電力に劣るものの、ワイヤレス給電部の位置ずれに強く、NEXCO中日本ではこの点を重視。将来的には、道路にワイヤレス給電部を埋め込み、走行しながら給電することを構想している。

 ワイヤレス給電部が車体側面に立っているのも、どの程度ずれたら給電状態がどう変化するか確認するため。今後、三菱ふそうトラック・バスのテストコースで十分な走行試験を行い、秋から富士保全・サービスセンターに配備。新東名高速、東名高速の作業に投入し、さまざまなデータを収集していく。

ワイヤレス給電デモのため、キャンターE-CELLが給電ポイントへと向かう
ワイヤレス給電機。キャンターE-CELLと対応する
ワイヤレス給電エリアに駐車。パーキングプレーキを引いたら、充電が始まった。パーキングブレーキの信号をワイヤレスで見ているとのこと
ワイヤレスで給電中。およそ30cmくらいの間隔がありながら、給電が行われていた
給電コントロールはパソコンで行う
ワイヤレス給電機とは、USBケーブルで接続されていた。コントロール信号を送受信する仕組みと思われる
給電中のPCの画面
ワイヤレス給電機は、給電中はランプが点灯する。ワイヤレス給電エリアには強磁界が発生しているため、30cm以内には近づかないような運用を行っている
ワイヤレス給電機のモニター。3kWでの給電が行える
キャンターE-CELLは、CHAdeMOの急速充電や、普通充電も可能になっている。NEXCO中日本の管轄する、新東名、東名のすべてのSAには急速充電器があり、万が一の充電が可能なため
上がCHAdeMOの急速充電、下が普通充電コネクター
ワイヤレス給電機のエリアには、普通充電器も用意されていた。これも万が一に備えてのこと

(編集部:谷川 潔)