ニュース

タイムズ24の“駐車”に特化した「ドライビングレッスン」に参加してみた

利用者の運転に対する不安を取り除き、事故のない駐車場作りを目指す

ドライビングレッスンは東京都葛飾区にある京成ドライビングスクールの教習車が使われ、同スクールの指導員もレッスンに参加
2013年9月19日開催

 コインパーキングを運営するタイムズ24は9月19日、神奈川県横浜市西区にあるタイムズ駐車場において、バックでの駐車や精算機への幅寄せの無料講習会「タイムズドライビングレッスン横浜」を開催した。自動車教習所の指導員が同乗し指導するという本格的なもので、今後、大阪、広島、札幌での開催を予定している。

 タイムズでは5月に試験的にドライビングレッスンを開催したが、予想を上回る応募があったため、全国5都市で開催を決定、今回の横浜は8月の東京に続いて2都市目の開催となる。駐車講習のほか、ミラーや目視による障害物との間隔を試したり、区画に駐車するまでの経路を細かく確認できるコーナーが設けられるなど、駐車する際のクルマの動きや視界が学べるイベントとなっている。

 また、今回に限りヨコハマ モビリティ“プロジェクト ZERO”(横浜市、日産自動車)によるエコドライブ試乗会も併催。日産の電気自動車(EV)「リーフ」を使ったエコドライブの状況が測定できるイベントも開催された。

 そのほか、クルマの運転に関わる各社がスポンサーとして参加。自社の製品やサービスの展示を行った。

左右バックで区画に駐車し、料金精算機へ寄り付き

 今回のドライビングレッスンは、タイムズみなとみらい第4の一部を区切り、駐車場内で左右バックで区画に駐車し、精算機を模した特製バルーンに幅寄せして停車するという流れ。どちらも通常の駐車に必要な操作だが、苦手とする人もいて操作を少しでも誤れば事故につながりやすい。

 駐車のレッスンは左バック、右バックそれぞれ駐車を2回行い、ハンドルを切るタイミングや、駐車位置などを指導員にチェックしてもらう。

レッスンで使われた教習車は助手席にブレーキのついた本物

 受講者に配られる冊子には、指導にあたる自動車教習所による“駐車のコツ”として駐車方法が記載されているが、レッスン自体は駐車技術をただ教え込むというものではない。受講者が普段から行う運転で駐車してもらい、その中で癖などを指導員が分析。安全かつ確実に駐車できるよう、個人個人に合わせたアドバイスをするという形式となっていた。

 冊子に記載された駐車のテクニックは、斜め45度にクルマの頭を振り、自車の内側の後輪と隣に駐車しているクルマのフロントコーナーの間隔を50cmにとり、そのまま間隔を維持しながらハンドルを切り、バックで区画に入っていくというもの。

 筆者も体験してみたのだが、きちんと区画に入ったつもりでも左右の間隔が均等でないことや、隣のクルマとの間隔に気を使いすぎて膨らむことなどが指摘された。今回は乗り慣れていないクルマだったこともあるが、把握しきれていないと感じていた部分が見事に指摘された。また、筆者は特に指摘がなかったが、安全確認の甘いドライバーについても指摘していくという。プロの指導員の指摘力に感服だ。

 一般参加者のドライビングレッスンも見てみたが、あまりクルマに乗り慣れない受講者でも、駐車を繰り返すうちに、指導のせいかみるみるうまくなっていくのを目の当たりにした。

一般講習車のレッスン。まずは左バック、最初とあって大幅に右寄りとなり隣の区画にはみ出してしまった
何度か切り返し、所定の区画に駐車できた
右バックで駐車中の隣の区画に停める
後輪を隣のクルマのフロントコーナーに合わせてバックしていく
ゆっくりバックしていく
区画に駐車完了

 次に、コインパーキングに限らず、意外に苦手な人が多いと思われるのが料金精算機への寄り付きだ。今回のレッスンでは右カーブの後で精算機に寄り付くシーンを再現したが、大回り気味に回り込んで最後は直線で少しずつ寄り付いていくという方法を教えていた。

 レッスンでは2回寄り付きを行い、インスタントカメラで精算機とクルマの間隔を撮影、2度目の技術向上具合を確認できるようになっていた。

 なお、レッスンのために特製のバルーンを作り、ぶつかってクルマや精算機が傷つく心配なく寄り付きの練習ができるように配慮した。この特製バルーンは各地のレッスン会場で使われるとのことだ。

料金精算機に寄せて停める。もう少し寄せられると料金を支払う際の動作がしやすいかも?
指導を担当した教習所による駐車のアドバイスが冊子に記載されている
料金精算機に見立てた特製バルーン。ぶつけてもクルマに傷はつかないので練習に最適
駐車レッスンの結果が書かれている。駐車時の不安点などはしっかり指導員に見透かされていた
距離感テスト。パネルを持ったスタッフが近づいてくるが、ちょうど1mに見えたところでストップの声をかけ、実際の距離との差を確認するテスト。1mよりも大きめの距離になる人がほとんどだった
1mの距離感テストはミラーでの確認も計測する
駐車する際のポイントを実車を使って解説。日産「マーチ」が駐車中の軌跡として3台使われていた

利用者の不安を取り除き、事故のない駐車場に

 タイムズ24がこのようなドライビングレッスンを開催した背景には、ドライブを安心して楽しんでもらうためとしており、レッスンを通して駐車に関する不安を取り除いていくという。特にタイムズ24は駐車場の時間貸し以外にカーシェアリングも展開しており、ドライバーの運転技術向上はどちらのサービスにもプラスになる。

 慣れない駐車場でも駐車できる運転技術を持ったドライバーが増えることで、駐車場の利用が増えることや、特に狭い場所に設けられることもあるコインパーキングの利用機会が増える可能性がある。カーシェアリングについては事故を減らせばクルマの稼働率を上げることができる。

 また、駐車場内における事故減少にもつながっていく。駐車場内のクルマ対クルマの事故もあるが、タイムズ24によれば、料金精算機をはじめ駐車場設備への衝突による破損事故も発生している。ドライバーの運転技術が向上すれば、補修費用も減らせることもあるからだ。

 さらに、レッスンの運転状況はビデオカメラ等でも細かく記録している。運転が苦手な人の癖を分析し、運転が苦手な人でも停めやすく、事故の起こりにくい駐車場づくりに活用するということだ。

 参加したドライバーだけでなく、タイムズ24側にもメリットの多い無料ドライビングレッスン。次回以降は10月6日に大阪、10月11日に広島、10月20日に札幌で開催予定。参加するにはタイムズ24を含むパーク24グループで運営するドライバー向け会員制サービス「タイムズクラブ」の会員になる必要がある。応募者多数の場合は抽選となる。

 ちなみに今回の「タイムズドライビングレッスン横浜」では平日にもかかわらず300名ほどの応募があり、抽選で50名が参加となった。

リーフによるエコドライブ試乗

 併催されたヨコハマ モビリティ“プロジェクト ZERO”によるエコドライブ試乗会は、リーフを使ってみなとみらい地区を1周してくるというもの。単に電費を競うのではなく、ふんわりアクセル、加減速の少ない運転、早めのアクセルオフのそれぞれを別々に採点し、総合点を競った。

 平日の交通量の多い場所での試乗となったことや、車両感覚に慣れるほどでもない3.3kmという短いコースのため、高得点は難しいとのこと。会場では90点以上を記録したドライバーに対し、クロームに輝くリーフのミニカーをプレゼントしていた。

エコドライブ試乗会
試乗に使われた日産リーフ
90点以上の参加車に配られるクロームメッキのリーフ
試乗のあとに成績に応じて指導員から説明を受けられる
アクセルやブレーキが記録され、採点される

そのほかの展示ブース

NEXCO東日本(東日本高速道路)のブース
シミュレーションで自身のドライブをチェックできた
ダンロップ(住友ゴム工業)も出店。横のビードが切れたタイヤを展示し、タイヤの重要性を訴えた
アウディも展示。「A1スポーツバック」はカーシェアリングでレンタルしていて、好評を博していると言う
ドライブに最適というメガネを展示した眼鏡市場
イベント全体の電気はリーフ2台で賄っていた

(正田拓也)