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アジアン・ル・マン・シリーズ “3 Hours of FUJI”晴天の富士スピードウエイで開催
プロトタイプカーやGTE、GTCマシンに加えてSUPER GT GT300マシンなど多数出場
(2013/10/3 17:11)
8月に韓国で開幕戦を行った「アジアン・ル・マン・シリーズ」の第2戦が、9月21日~22日に富士スピードウェイで開催された。
1970年代のアメリカ映画「栄光のル・マン」や1991年に日本メーカー初の総合優勝を果たしたマツダ・787Bでその名を知る人も多いフランスの耐久レース「ル・マン24時間レース」の地方版と言えるのがこのアジアン・ル・マン・シリーズで、「ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ」「アメリカン・ル・マン・シリーズ」と並ぶアジア地区でのシリーズ戦だ。なお、アジアン・ル・マン・シリーズはその名前どおりアジア地区の大会であり、2~3人で構成されるドライバーにアジアンドライバーが最低1人いることが必要となる。
マシンは「LMP2」「GTE」「GTC」の3クラスに分けられ、LMP2のシリーズ1位、GTCの1位、2位を獲得すると翌年のル・マン24時間耐久レースへの参加権が与えられる。また、GTCクラスには日本のSUPER GT GT300クラスのマシンも参加可能。今大会は別枠の「SGT」クラスとして全参加車両の半数を超える11台が参戦した。なお、このSGTクラスでの結果によって、SUPER GT GT300クラスの選手権ポイントも最大8点与えられる規定となっている。
LMP2クラス
そのスピードはほかのクラスを圧倒するプロトタイプカーのクラスで、今大会では2台がエントリー。21日の予選では、24号車 OAK-RACING(D.チャン/J.リー/C-F.チェン)のモーガン・ジャッドが0.058秒差でトップを奪うものの、翌日の決勝レースでは18号車 KCMG(J.ウインスロー/小泉洋史/R.ブラッドレー)のモーガン・ニッサンが競り勝った。
GTEクラス
Team TAISAN KEN ENDLESS(飯田章/中野信治/密山祥吾)のフェラーリ 458GTEが1台だけエントリーしたGTEクラス。決勝は総合12位。
GTCクラス
日本のSUPER GT300クラスでもおなじみのFIA-GT3マシンが並ぶこのクラスは6台がエントリー。現在はGT300クラスから姿を消したフェラーリ 458やポルシェ 996も出場。クラス優勝はCRAFT RACING(F.ユウ/R.ライアン)のアストンマーチンが獲得。総合順位は8番手。
SGTクラス
文字どおり日本のSUPER GT(GT300クラス)のマシンが参戦するクラス。このレースはウエイトハンデなしで行われたことから、シリーズポイントの獲得を狙って有力チームから11台ものマシンがエントリー。今大会で最大勢力のクラスとなったほか、決勝レースでも圧倒的なスピードを誇るLMP2クラスの2台に次ぐ3位から7位までを独占している。
予選では、2台のCR-Z GTが3、4位、5位にはBRZ GT300、6位にはGAINERのMERCEDES-BENZ SLS AMGと続き、レギュラーシーズンでもチャンピオン争いを繰り広げるマシンたちがアジアン・ル・マンでも競い続けた。決勝レースは序盤からMUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)が独走。ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志/野尻智紀)は33周でエンジンブローによってリタイア。GAINER MERCEDES-BENZ SLS AMG(平中克幸/B.ビルドハイム)がSGTクラス2位、BRZ GT300(山野哲也/佐々木孝太)はレース途中でバックマーカーと接触し、10秒のペナルティストップが課せられクラス3位でレースを終えた。
サポートレースも充実
メインレースのほかにも、サポートレースとして“ランボルギーニ ブランパン スーパートロフェオ”アジアシリーズの第4戦、日本独自の専用マシンによるワンメイクレース“インタープロトシリーズ”などを実施。サーキット全体がアジア色の強い2日間となった。
“ランボルギーニ ブランパン スーパートロフェオ”アジアシリーズ第4戦
21日、22日で2レースが行われ、初日のRace1で中谷明彦選手が2位に入賞。2日目のRace2ではJ.Yaptonaga/織戸学組の5位が日本人最高位となった。優勝は両日ともにマレーシアのA.Yazid選手。
“インタープロトシリーズ”最終戦
ル・マン24時間レースで日本人初の総合優勝者となった関谷正徳氏が中心になってプロデュースしたワンメイクレースが“インタープロトシリーズ”。ジェントルマンドライバー(アマチュアドライバー)とプロドライバーが1台のマシンをシェアして戦う「プロ・アマシリーズ戦」という部分が特徴だ。1日に2戦行われたジェントルマンドライバーによる決勝レースは、2戦ともINGING MOTORSPORTSの永井宏明選手が優勝。プロドライバーの決勝レースはRSS広島トヨペットIPSの平川亮選手が優勝した。
なお、アジアン・ル・マン・シリーズの上位レースにあたるル・マン24時間レースは、F1やWRCと並ぶFIA(世界自動車連盟)の世界選手権の1つ「FIA世界耐久選手権(World Endurance Championship WEC)」全8戦のうち第3戦に組み込まれている。10月18日~20日には、同じ富士スピードウェイでWECの第6戦“WEC 6HOURS OF FUJI”が開催され、アジアン・ル・マンシリーズでは設定されていないプロトタイプカーの最上位クラス「LMP1」のマシンによるレースが日本国内で観戦できる。アウディ対トヨタのハイブリッド対決をはじめ、今大会の2倍となる6時間のレースを走りぬく最新マシン同士のサバイバルゲームも興味深い。