フェラーリ、「458スペチアーレ」を国内初公開、小林可夢偉選手のドライブで登場

　フェラーリ・ジャパンは10月8日、「フェラーリ458スペチアーレ」を報道陣に公開した。9月に開催したフランクフルトモーターショーでワールドプレミアしたモデルで、以降の公開は日本が初。会場にはスクーデリア・フェラーリのドライバー 小林可夢偉選手が458スペチアーレをドライブして登場するという演出がなされた。

458イタリアのスペシャルバージョン

　458スペチアーレは、458イタリアをベースとしたスペシャルバージョン。従来よりフェラーリの8気筒モデルにはスペシャルバージョンがあり、それに続くもの。「究極のドライビングエモーションを追い求めるオーナーの方々に向けて設計された特別なモデル」となる。

　エンジンは458イタリアと同じV型8気筒4.5リッターだが、細部の変更が行われスペックは向上。最高出力605PS/9000rpm、最大トルク540Nm/6000rpmを発生する。コンポーネントの製造はF1用と同じ装置と同じプロセスで製造され、フェラーリが開発した中ではもっともパワフルな自然吸気の8気筒エンジンとしている。

　搭載されるエンジンには、最新のノック・コントロールシステムによって燃焼効率を最大限に高めたほか、ピストン形状の改良により「自然吸気では異例」とする圧縮比14：1を実現。さらに吸排気の最適化、新素材のピストン、クランクシャフトの再設計を行った。また、吸気システムの一部にカーボンファイバーを採用するなど、エンジン全体で8kgの軽量化に成功している。

　エクステリアでは、フロントとリアにモバイル・エアロダイナミクス・ソリューションを採用し、コーナーと高速直進時で異なるエアロダイナミクスの設定が可能となった。具体的にはフロントバンパーに合計4枚のフラップを内蔵し、速度によってエアの取り込み量を変化させる。170km/hまではエンジン冷却、170km/hを超えるとラジエーターへのエアを最大限に、さらに220km/hを超えるとダウンフォースを重視したセッティングとなる。リアバンバーにもフラップがあり、ダウンフォースが必要なときに強めることが可能。

　メカニズムでは、SSC（サイドスリップ・アングル・コントロール）の採用により限界域でのコントロール性能を高めた。SSCはヨー角、操舵角、速度をデータをもとに処理、エンジンが発生するトルクの管理や、左右輪のディファレンシャルギアの制御を行う。

　トランスミッションは7速のデュアルクラッチトランスミッションで、新ロジックの採用により従来よりシフトチェンジのレスポンスを改善。タイヤは20インチでミシュラン「パイロットスポーツ・カップ・2」を採用しており、長期間のサーキットテストとシミュレーターのテストを通じて特性を決定したという。

　インテリアはアルカンターラ、カーボンファイバーを使って仕上げ、カーボンファイバーによるサベルト製のシートは軽量化にも貢献している。

　このほかにもサスペンション、トランスミッション、エグゾーストサウンドなど各部にわたって変更を行い、458スペチアーレのパフォーマンスを高めている。

フェラーリ458スペチアーレ

フラップが動くことでエアの経路が変わり、冷却やダウンフォースを自動調整する

リアにもフラップがあり、リアのダウンフォースを可変することができる

エンジンはV型8気筒4.5リッター。最高出力は605PS/9000rpm、最大トルクは540Nm/6000rpm

カーボンセラミックブレーキシステムを搭載。タイヤサイズはフロントが245/35 ZR20、リアが305/30 ZR20

カーボンとアルカンターラを使ったインテリア

フェラーリのコレクターはマストハブ

左から来日したフェラーリS.p.A.極東エリア統括のジュゼッペ・カッターネオ氏、スクーデリア・フェラーリのドライバー小林可夢偉氏、フェラーリ・ジャパンのプレジデント＆CEOのハーバート・アプルロス氏

　報道公開では、フェラーリ・ジャパンのプレジデント＆CEOのハーバート・アプルロス氏が挨拶を行った。アプルロス氏はフランクフルトに次いで2番目の公開が日本であるとして日本市場の重要性を訴えた後、458スペチアーレの概要を説明した。

　458スペチアーレの特徴はエンジン、エアロダイナミクス、ビークルダイナミクス、デザインの4点と説明、さらに重要な数値が3つあるとした。その3つとは「0-100km/h加速が3秒しかかからない」「スペチアーレの重量は1290kg、458イタリアから90kg軽量化」「フィオラーノのサーキットのラップタイムが1分23.5秒で、458イタリアよりも1.5秒早い」と話した。

　アプルロス氏はさらに「他のV8シリーズと同じく、458スペチアーレも歴史に残るフェラーリのユニークなモデルとして記憶に長く留められるモデルとなる。フェラーリのコレクターの方々は、これはガレージにぜひとも置いておかなくてならないV8のマストハブとなる」とし、特別なモデルであることを強調した。

　なお、458スペチアーレの日本での価格は3290万円。すでに1年分以上のバックオーダーを抱えており、今からオーダーしても納車まで相当期間待つ必要がある。また、現在はまだ受注を受け付けられる状態だが、458スペチアーレは数を限定して生産するクルマのため、この先数カ月で受注を締め切る可能性があるとした。

コクピットに収まる小林可夢偉

小林可夢偉のドライブで458スペチアーレが登場

フェラーリ・ジャパンのプレジデント＆CEOのハーバート・アプルロス氏

458スペチアーレの特徴

会場には歴代V8スペシャルバージョンが展示された。フェラーリ360モデナがベースの「チャレンジ・ストラダーレ」

フェラーリF430がベースの「430スクーデリア」

フェラーリF430がベースでオープンモデルの「スクーデリア スパイダー16M」

【お詫びと訂正】記事初出時、価格に間違いがありました。お詫びして訂正させていただきます。