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東京都交通局、“都民の足”都営バスが90周年を迎えイベント開催

ノスタルジックな旧塗装のラッピングバスが都バス発祥の2系統を走行!

2014年1月18日開催

東京都交通局深川営業所

東京サンケイビル 特設会場

 東京都交通局は1月18日、初運行から90周年を迎えた都営バスの記念イベントを行い、5台の旧塗装ラッピングバスと2台の特別ラッピングバス計7台を記念走行させた。

 都営バス(当時は市営バス)の初運行は大正13年1月18日。前年の関東大震災で打撃を受けた路面電車の復旧までの代替輸送手段としてTT型フォードを緊急輸入し、これが現在の都営バスの前身となった。路面電車復旧後にその使命を終える予定だったのだが、多くの都民(市民)の支持により存続し、90年もの長期に渡り都民の足として現在も親しまれているのだ。

東京都交通局深川営業所では記念運行される6台のラッピングバスが勢揃い

 大手町駅近くに設置された特設会場でのセレモニーの前に、旧塗装ラッピングバスと記念ラッピングバスの計6台の撮影会が朝9時より東京都交通局深川営業所で行われ、多くのバスファンが集まった。この6台のほか、現在運行中でもっとも古い1999年度導入モデルと最新モデルの2台も同時に展示された。ちなみに最新モデルはハイブリッド車ではなくディーゼル車というところも興味深い。

深川営業所に勢揃いした90周年記念ラッピングバス
初代TT型フォードから1980年代モデルまでが描かれた90周年記念ラッピングバス
現在運行中のもっとも古いモデルと最新モデルも同時展示
朝から多くのファンが詰めかけた
1951年から採用されたカラーリング。まだボンネットバスが走っていた時代のカラーリングで同色のリアエンジンバスも混在していた時代
1959年~。ワンマン運行の2ドア車両がこの時期に登場
1968年~。大気汚染が社会問題となった高度成長期のカラーリングは、綺麗な東京の空をイメージしたさわやかなカラーリング
1980年~。都民に不評で非常に短命に終わったカラーリング。なおこの時期から都バスには冷暖房が装備された
1982年~。都民へのアンケート調査により決定されたという現在のカラーリングの基となるグリーンのカラーリング
1997年~現在。ノンステップバス登場時から採用された現在のカラーリング

東京サンケイビル特設会場でのセレモニー

東京都交通局 新田洋平局長

 特設会場で行われたセレモニーで、東京都交通局 新田洋平局長は震災により壊滅的なダメージを受けた東京の足を、国産の車両がまだなかった当時にアメリカから緊急輸入し、わずか4カ月半という短時間で市民の足を確保した当時の関係者に敬意を表するともに、90年間都営バスを支えてくれた乗客に感謝しつつ、100周年に向けての抱負を述べた。

 また同セレモニー内では、昨年に公募を行った「ラッピングバスお絵かきコンテスト」で最優秀賞を獲得したデザインのラッピングバスが初公開され、最優秀賞を獲得した高橋匠君を乗せ多くのファンの集まる特設会場から出発した。なお、このラッピングバスは当面、巣鴨自動車営業所大塚支所管内で運行される。

初披露された高橋匠君のデザインによる「運転したいな都営バス号」

 今回90周年を記念し、発祥の2路線を走る旧塗装ラッピングバスと90周年記念ラッピングバスの6台への乗車は、特設会場で販売された記念1日乗車券購入者の中から抽選で選ばれた。

 運行系統は東京~巣鴨、東京~渋谷の2系統で、現在では都営バスが走らないルートも多く盛り込まれているとのこと。巣鴨行きには記念ラッピング車、1951年~カラー、1959年~カラーの3台が運行。この3台は当面、巣鴨自動車営業所管内の通常運行に使用される。また渋谷行きには1968年~カラー、1980年~カラー、1982年~カラーの3台が運行。こちらは渋谷自動車営業所管内で、こちらも当面運行されるとのことなので、これからもしばらくは街で見かける機会もあるだろう。

 また会場では記念グッズも販売され、購入者にはオリジナル記念ピンバッジがプレゼントされた。

特設会場での記念乗車券購入者から抽選で選ばれた人が記念運行バスに乗車できた
記念乗車券には歴代のバスの写真や当時の路線が記されていた
都営バスマスコットキャラクター「みんくる」も登場
1月20日発売のオリジナルサウンドバスの新作も会場で先行販売
会場でのグッズ購入者にはオリジナルピンバッチがプレゼントされた

旧塗装ラッピングバスと記念ラッピングバスは東京駅から出発

 都バス発祥の2系統はどちらも東京駅から出発。今回の旧塗装ラッピングバスはいずれも戦後のカラーなので、戦前の姿を取り戻した東京駅の駅舎との組み合わせは実際にはない。

 しかしながら、その東京駅や元の姿を尊重しながらも、21世紀に入って様変わりした丸ビル、新丸ビル、JPタワー等周辺のビルディングが混在する丸の内の道を、戦後の復興から高度成長期、バブル期にかけ東京の道を彩った都営バスの旧塗装ラッピングバスが走る姿に感慨深いものを感じた。

1951年~のカラーリング。ボディーサイドの表記は「東京都」
ちなみにバスガイドを務める女性の制服は現代のもの
1959年~のカラーリング。このころに現在と同じ2ドア車が登場した
1968年~のカラーリング。後ろに見えるのは新丸の内ビルディング
6台のバスは東京駅丸の内北口前より出発
渋谷へ向かう3台。表記は「貸切 4 中渋谷」
出発する中渋谷行きの3台
すべてのバスが発車しイベントは終了

(高橋 学)