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海のレンタカーサービス、「ヤマハマリンクラブ・シースタイル」で東京水景クルージング
全国約140個所でのレンタルボートに加え、スマートフォン学習による免許取得サービスも
(2014/6/2 11:50)
ヤマハ発動機といえば、一般的には2輪車でおなじみのメーカーだ。自動車ではトヨタ自動車のDOHCエンジンを手がけていたほか、近年は電動自転車PAS(パス)の大ヒットが印象的。そのヤマハが事業として力を入れているのがマリンスポーツ事業。ボート用のエンジン(船外機)に加え、ボートそのものやジェットスキーも手がけている。
ボートとなると免許や所有費用の問題から、まだまだ一般的なレジャーとなっていない。そのハードルを下げるため、ヤマハが手がけているのが海の会員制レンタカーといえる「ヤマハマリンクラブ・シースタイル(Sea-Style)」。シースタイルの会員になると全国140個所+海外1個所の契約マリーナでボートを借りることができ、マリンレジャーを楽しむことができる。そのシースタイルに関する説明会が報道陣向けに行われた。
最初に挨拶に立った ヤマハ発動機 ボート事業部 国内営業部 部長 竹長潤氏は、「(ボートというのは)なくても困らない」「通勤にも使えない」と実用性のなさを強調。その上で、クルマの国内の販売台数が約330万台であるのに、ボートは約1000台と圧倒的に少ない市場であるという。これは、ボートが「高い」「免許も面倒」「維持費がかかる」とのイメージが先行しているためてで、この障壁を下げたいという思いが会員制レンタルボートの「シースタイル」事業を立ち上げた理由だという。実際、このシースタイルがきっかけで免許を取得し、ボートを楽しんでいただいた方からは「意外と安い」「意外と気軽に乗れる」との声があり、多くの人にこのサービスを知ってもらうことがボート市場の拡大につながるとのことだ。
シースタイル事業の詳細は、ボート事業部 マリンソフトグループ 堀越宜秀氏が解説。堀越氏は、シースタイルをカーシェアリングやリゾートホテルのタイムシェアリングになぞらえボートの世界の新しいビジネスモデルと説明。現在、レンタル可能な個所は全国で約140個所あり、会員数は約1万7000人。事業を始めてから7年連続で伸びているという。
シースタイルの魅力は、「選べる“遊び”」「選べる“スポット”」「選べる“ボート”」にあるとし、さまざまなモデルプランを用意。スポットとボートに関しては、旅先で好きなボートでマリンレジャーができることが魅力だという。これは実際にボートを所有する人に取っても魅力的なポイントで、例えば江ノ島にボートを持っていても、東京湾での海遊びには開始するまで移動時間がかかってしまう。その点シースタイルなら遊びたい場所で遊びたいボートを借りればよいだけだ。
シースタイルの用途としては、やはり釣り船用途が一番多く6割程度になるという。そのほかではクルージングなどの観光用途が増えてきており、東京などでは東京湾の橋巡りや、桜の季節のお花見用途が人気だという。
また、シースタイルの新カテゴリーとして、ボートではなく水上バイクをレンタルするシースタイル ジェットがあり、これは全国20個所のレンタルマリーナを設定。入会金や月会費はシースタイルよりも抑えてある。
このシースタイルおよびシースタイル ジェットを利用するには、大前提としてボートの免許が必要となる。免許を持つ人が増えないとシースタイルの利用者も増えないため、ヤマハでは免許取得をサポート。スマートフォンやタブレットで学科講習をすることで、免許取得時の拘束日を3日から2日へと軽減する「スマ免コース」を用意。なかなか休みが取りづらい会社員の取得ハードルを下げている。
ヤマハでお勧めしている免許が2級免許で、2級であれば1級と同じく20t未満の船は操船できる。1級との主な違いは航行区域にあり、1級が外洋も航行可能なのに対し、2級では陸岸より約9km以内に制限される。ヤマハスタッフによると「1級も2級も運転できる船に変わりはありません。1級では品川から大島まで操船できるのに対し、2級はできません。試験においても、1級は学科などが難しくなっています」とのことだ。
ヤマハスタッフによるとボート免許はそれほど難しくないそうで、ヤマハの講習による合格率は97%。原付免許の合格率は58%(警察庁調べ)なので、非常に高い合格率と言えるだろう。
橋をじっくり楽しめる東京水景クルージング
シースタイルのサービス説明の後、実際の体験となる。といっても体験会のためボートの運転はヤマハのスタッフが行う。記者が乗り込んだボートは小型クルージングボート「FR-23」で定員は8名。購入価格は約800万円とのことだが、3時間レンタル料金(別途燃料代が必要)は1万7500円。レンタカーよりは高価だが、レンタカーでは行けない個所を走れるし、人数割りすればレジャー価格としてびっくりするほどのものではないだろう。
体験会のクルージングコースは、天王洲アイル脇のシーフォートから、晴海埠頭をぐるりと1周するおよそ45分ほどのもの。この辺りをボートで巡るのは首都高の老朽化取材以来となる。あのときは小雨の降る天気だったが、今回は太陽がまぶしいほどの天気で、ボート遊びは天候が大切だよなと改めて思った次第だ。
●首都高、1号羽田線の老朽化個所を公開
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120507_530940.html
シーフォートを出たFR-23は、品川埠頭を右に見ながら北上していく。ほどなく首都高 11号台場線とレインボーブリッジが見え、晴海客船ターミナルを左に見ながら隅田川へ向かう。佃島エリアを左に見ながらUターンして、勝鬨橋をくぐって元にもどるという行程だった。
ボートに乗って思ったのは、風が気持ちよいことと、東京は海運を考慮した街だなということ。道路橋、鉄道橋など多くの橋をくぐることが楽しめ、船による輸送を前提にした施設も見ることができた。
ボートの免許取得というハードルはあるものの、クルマとはまた違った運転や景色を手軽に楽しめるシースタイル。沖縄や北海道、ハワイなどにもレンタルスポットがあるため、夏休みの利用を前提に入会を検討してみるのもよいだろう。詳細については、シースタイルのWebサイト(http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/)を確認していただきたい。