ニュース

トヨタ、2015年3月期第2四半期累計の営業利益は1兆3519億円

通期での販売台数見通しは905万台に減少するも、営業利益は2兆5000億円へ

2015年3月期第2四半期の決算を発表するトヨタ自動車 取締役副社長 小平信因氏
2014年11月5日発表

トヨタ自動車 取締役副社長 小平信因氏(右)、同 常務役員 佐々木卓夫氏(左)

 トヨタ自動車は11月5日、2015年3月期第2四半期の決算説明会を開催した。同社 取締役副社長 小平信因氏と、常務役員 佐々木卓夫氏が登壇し、主に小平氏が発表を行った。

 トヨタ自動車の第2四半期累計連結販売台数(6カ月累計)は、前年比9000台増の447万7000台。売上高は12兆9455億円(対前年比4081億円増、3.3%増)、営業利益は1兆3519億円(同964億円増、7.7%増)、純利益は1兆1262億円(同1262億円増、12.6%増)となった。

 営業利益が964億円増えているが、増減要因として、原価改善で1200億円増、為替変動で700億円増、販売面の影響で200億円減、諸経費の増加で1300億円減、金利スワップなどで505億円増、その他59億円増となる。

連結販売台数
連結決算要約(6カ月累計)
連結営業利益増減要因(6カ月累計)
連結決算要約(3カ月)
連結営業利益増減要因(3カ月累計)

 所在地別営業利益では、日本が71億円減、北米が97億円増、欧州が7億円増、アジアが25億円減、中南米などが1億円増となる。日本においてはノア、ヴォクシー、カローラハイブリッドが好調だったものの、消費増税の影響により販売台数が低下。北米はトヨタに限らず販売が好調。欧州はオーリス ハイブリッドやカムリが好調。アジアはアギア、ヤリスが伸びたがタイのマーケットの失速が影響したという。

 中間配当は、1株あたり前期比10円増の75円。中間配当金総額は2,379億円となる。

所在地別営業利益:日本
所在地別営業利益:北米
所在地別営業利益:欧州
所在地別営業利益:アジア
所在地別営業利益:中南米・オセアニアなど
金融セグメント営業利益
持分法投資損益
株主還元

 あわせて通期見通しも発表し、販売台数は第1四半期時点から5万台減の905万台、売上高は8000億円増の26兆5000億円、営業利益は2000億円増の2兆5000億円、純利益は2200億円増の2兆円としている。

連結販売台数見通し
連結決算要約見通し
連結営業利益増減要因見通し
研究開発費・設備投資・減価償却費見通し

 小平副社長は、国内販売の見通しについて「3月までに(消費税増税の)駆け込み需要があった。その反動があってかなり低迷している。だんだん回復していると思うが、底を打ったかというとそこまでの感覚はもてない。とはいえ私どもはビジネスをしているので、新型の投入や販売店の施策などで目標を達成していきたい」と述べ、厳しい状況のなか販売努力をしていくと語る。一方好調な北米市場については、「10月の販売は非常によい。(年間で)1640万台の市場になるのではないかとみている。金融緩和策が縮小しているが、これについても売上げについての安定的な見通しがあるのだろうとみている。市場全体としては今の時点で懸念材料を持っていない」と、日本市場とは対照的な状況のようだ。

 予測とはいえ、初めて通期で利益が2兆円を超えることについては、「いろいろな方々のサポートのもとに実現している。仕入れ先の努力、ディーラーの努力、なによりもお客さまのおかげでこういう利益になっている。その上で、私どもの原価改善の努力がある」といい、利益額の多寡ではなく、今後トヨタが持続的に成長していけるかどうかがポイントであるとした。また、利益の社会への還元についての質問については、「まずは利益があれば納税をする、その上でがんばっていただいた従業員に報酬として還元するのは当然のこと。報酬については、まずは組合で議論していただいて、その後交渉になる。還元と言うことでは、配当性向30%を目安にして安定的、持続的な配当ができるようがんばっていきたい。社会貢献活動も行っており、それを知っていただくような努力も続けていきたい」と述べた。

 円安が進んでおり、国内の生産量増加への質問が出たが、それに対しては、「以前は国内で生産して海外に輸出していたものが、為替エクスポージャーで日本から海外に生産が移った、(海外の輸入市場についても)日本から海外の市場に出荷するのではなく海外の工場から、別の国に出荷するというのが増えている。完成車(の輸出)は減っているが部品(の輸出)はかなり増えている」とのこと。円安が急激に進んでも、国内生産が極端に増えていくことはないという。

 トヨタの2015年3月期の通期決算は、過去最高の2008年3月期を上回る結果との予測となるが、「これから先、しっかり成長するための足場固めが必要である」(小平副社長)と語るなど、国内市場の先行きが厳しい中で、強い危機感を持っているとの認識を示した。

(編集部:谷川 潔)