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ダイハツ、新型「キャスト アクティバ」「キャスト スタイル」発表会

「お客さまの日々のドラマに登場する名脇役の『キャスト』でありたい」と三井社長

2015年9月9日開催

3つのモデルを同時デビューさせたキャストシリーズ

 ダイハツ工業は9月9日、同日から販売を開始した新型軽乗用車「キャスト アクティバ」「キャスト スタイル」の記者発表会を都内で開催した。ブランニューモデルとなるこの2台の価格は、キャスト アクティバが122万400円~164万7000円、キャスト スタイルが122万400円~164万1600円。なお、キャストではもう1台、「キャスト スポーツ」を発表しており、こちらは10月下旬の発売を予定している。このほかのバリエーションや装備などについての詳細は関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150909_720227.html)を参照していただきたい。

「キャスト アクティバ」
「キャスト スタイル」
10月下旬発売予定の「キャスト スポーツ」

「ダイハツのデザイン力のすべてを凝縮したモデル」と三井社長

ダイハツ工業 取締役社長 三井正則氏

 発表会では、まずダイハツ工業 取締役社長の三井正則氏が登壇。「ダイハツは“お客さまに一番近い会社”を目指して、お客さまの生活をより豊かにできるクルマ造りに情熱を注いできました。昨年は6月の『コペン』を皮切りに、12月の『ムーヴ』までさまざまなモデルを投入し、そのなかで安全、燃費、走り、室内空間の使いやすさなど、モデルごとに新技術を採用することで、多様化するお客さまの趣向やニーズにお応えしてきました。こうして積み上げてきた技術と経験のすべてを盛り込んだ自信作『キャスト』を本日ここでご紹介いたします」とコメント。キャストの開発について「どうすれば軽自動車ファン、ダイハツファンをもっと増やすことができるか、世の中でヒットしている商品を研究し、お客さまの声に耳を傾けました。その答えは、機能や性能面の進化だけではなく、お客さまの趣向に応えるデザインも大きな要素であると改めて感じました。軽の企画のなかで実用性を犠牲にすることなく、表情豊かなデザインを付加するにはさまざまな技術が必要になります。ダイハツのデザイン力のすべてをこの『キャスト』に凝縮いたしました」と語り、キャストの商品性でデザイン面が大きなウェイトを占めていることを解説した。

 また、「このデザインの実現には2つの技術が貢献しています。1つめは当社が採用を拡大している『樹脂部品』に関する技術です。昨年の『コペン』に代表されるように、ダイハツは樹脂の特性を生かしたデザイン事例を次々に提案してまいりました。樹脂の採用でデザインに自由度が生まれ、スチールでは表現しにくかった立体的なデザインが可能になりました。2つめは世界で初めて量産化に成功した技術『Dラッピング』です。塗装に頼っていた2トーンカラーをラッピングで置き換えるこの技術は、生産面で柔軟な対応が可能にするだけに止まらず、デザインのバリエーションを広げ、お客さまの楽しみに繋がります」と述べ、デザインの中核技術を紹介した。

 さらにキャストが3モデル展開を実現した背景について「一昨年に私が社長に就任したとき、“ダイハツをこう変えたい”という所信の1つとして“お客さまの趣向にすばやく応えるビジネスモデルの構築”を掲げました。ご存じのように、昨年は6車種もの新型車を発売するという課題のなかで、商品化までのリードタイム短縮に向けたさまざまな試みに取り組んできました。その1つが『デザインプロセスの変更』です。今までのように車両コンセプトが固まってからデザインを描き始めるのではなく、さまざまなデザインを先行開発してストックしておき、そのなかからお客さまの価値観の変化や車両コンセプトに合わせて候補案を選び出し、そこから細部を仕上げていくことで、すばやい商品開発に繋げ、ライン開発期間を大幅に短縮しました」「さらに3D図面データを一元的に活用することで、開発から生産準備までの各ステップを、スムーズに、かつスピーディに進め、当社では初めてとなる3つのバリエーションの同時開発でありながら、通常より2カ月短い10カ月という短期開発を実現しました」と語り、現在採用している開発手法を説明している。

 最後に三井氏は、「今回の『キャスト』の開発で、ダイハツはお客さまに近づく大きなステップを、また1段上ることができました。お客さまお1人お1人にとって、毎日の生活は変化に富む、まさにドラマです。そのかけがえのないドラマに登場する『キャスト』でありたい。そんな思いからこの車名といたしました。便利さと経済性に加え、主役であるお客さまの生活を彩る“名脇役”として、その名に恥じない感性、デザインを持つクルマ。それが『キャスト』です」と、車名に込めた思いを口にした。

ダイハツ工業 執行役員 技術本部長 上田亨氏

 具体的な商品解説は、ダイハツ工業 執行役員 技術本部長 上田亨氏が担当。上田氏は「今では軽自動車は多くのお客さまの生活の一部として活躍しております。ダイハツでは軽の本質を追究した『ミラ イース』から、走る楽しさや持つ喜びを体現する『コペン』まで多くのモデルを市場投入し、それぞれで新技術を開発することで、さまざまなお客さまのニーズにお応えしてきました。一方で市場に目を向けてみますと、近年は登録車市場、軽自動車市場でデザイン重視のモデルが伸長しております。つまり、個性を重視するお客さまが増加の傾向にあると言えます。さらに軽自動車の購入を希望するお客さまの意向調査においても、個性重視、デザイン重視という傾向が現れています。こうしたニーズにお応えするため、既存車種のフルモデルチェンジではなく、新しい方向性を持ったモデルの開発が必要だと考えました」とブランニューモデル導入の理由について解説。

 さらに「『キャスト』の特徴は、『愛着がわく普遍的な魅力を持ったデザインと高い質感』『さまざまなお客さまの趣向にお応えできる3つのバリエーション展開』『ムーヴで培った高い基本性能』の3つです。デザインではベースの構造を共通としながら、さまざまなお客さまの趣向にお応えするために3つのバリエーションを設定。それぞれに共通する特徴として、立体的な造形と上質さにこだわり、丸みのあるドア断面や豊かな面質のボディー断面とすることで、表情豊かなデザインにしております」と車両のアウトラインを解説。

 3つのバリエーションが持つ特徴では、「『キャスト アクティバ』は力強く立体感のあるクロスオーバーテイストの外観として、高い地上高や大径タイヤが安定感と存在感を演出します。車両の下まわりをプロテクトする力強いデザインの樹脂ガーニッシュなどの採用により、アクティブな印象を付与しています。4WD車ではぬかるみなどでの発進や加速をサポートする“グリップサポート制御”や、雪道などの滑りやすい坂道で安定した挙動を実現する“ダウンヒルアシストコントロール”などの新機能も搭載しています。『キャスト スタイル』の外観は上品なメッキ加飾をフロントやリアに加え、サイドロッカーモールにも採用するなどディテールにこだわり、都会的なテイストとしています。『キャスト スポーツ』ではスポーティサスペンションや16インチアタイヤなどの専用アイテムを採用して、デザインと走りの両面で独自の世界観を打ち出しています。さらに最大の特徴は『コペン』で培ったチューニングを施すスポーティサスペンションで、ロール剛性を高め、操縦安定性を向上させています」として、それぞれの持つ魅力をアピールしている。

3モデルに共通するデザインテイスト。樹脂部品の採用により、立体的で表情豊かなエクステリアを形成する
オプション設定の「デザインフィルムトップ」では、アクティバとスタイルに「クリスタル調/ホワイト」、スポーツに「カーボン調/ブラック」の2トーンカラーを設定
ユーザーニーズに合わせた3モデルを用意
初期段階から3つのバリエーションを持たせることを想定して、世界観の演出に有効な部分と共通させることでコストや開発期間を抑える部分を綿密にチェックしている
キャスト アクティバの4WD車では外観イメージだけでなく、「グリップサポート制御」や「DAC制御」でしっかりとした悪路走破性も備える
キャスト アクティバのインテリア要素
キャスト スタイルはメッキモールなどにより都会的なテイストを強調
キャスト スタイルのインテリア要素
レッドのドアミラーやストライプでアグレッシブさをアピールするキャスト スポーツ
コペン譲りの専用サスペンションやパドルシフトなどの装備で軽快な走りを実現
キャスト スポーツのインテリア要素

 このほかにムーヴから継承した基本性能では、デザイン性と実用性を両立し、大人4人がゆったりと乗れるパッケージング、シャシー技術「フォースコントロール」による高い操縦安定性と乗り心地のよさ、ダイハツ独自の低燃費技術「e:Sテクノロジー」で実現する30.0km/L(自然吸気エンジンの2WD車)のJC08モード燃費、安心・安全装備の「スマートアシストII」の採用などを挙げている。

 解説の最後に上田氏は、「お客さまご自身で自分好みの1台を見つけ出し、長くお付き合いいただければ幸いです。今後もダイハツでは、お客さまのご要望に真摯にお応えできるクルマ造りを目指してまいります」と結んでいる。

「Dモノコック」「Dサスペンション」「Dアシスト」などの技術をムーヴから継承
自然吸気エンジン搭載の2WD(FF)車は、エコカー減税で取得税と重量税が全車免税(100%減税)となる
2WD(FF)車はアクティバ、スタイルとも同価格。4WD車ではアクティバで「グリップサポート制御」「DAC制御」を採用する分だけ価格が高めになっている
多彩なボディーカラーとメーカーオプションの組み合わせが用意されるほか、ディーラーオプションの装着によって自分だけの1台を表現できるという
「デザイン原案のストック」と「3Dデータの活用」が短期間での商品化のキーとなる

モデル別の差異

アクティバ(左)は地上高の高いクロスオーバーテイストを強調するグリル形状、スタイル(右)とスポーツは末広がりのデザインとして安定感を演出
バンパー埋め込み式のLEDフォグランプはアクティバ(左)は丸形、スタイル(右)はスクエア形状となる
リアの灯火類もそれぞれ色遣いや形状といったデザインが異なる
2トーンカラーとなる「デザインフィルムトップ」では、アクティバ(左)とスタイルで「クリスタル調/ホワイト」、スポーツ(右)で「カーボン調/ブラック」のルーフとなる
アクティバのタイヤ&ホイール。タイヤサイズは165/60 R15 77H
スタイルのタイヤ&ホイール。タイヤサイズは165/55 R15 75V
スポーツのタイヤ&ホイール。タイヤサイズは165/50 R16 75V
アクティバのインパネ。オープンタイプのインパネトレイを設定する
センターコンソールにCVTのシフトセレクター、全車標準装備のオートエアコンなどをレイアウト
スタイルのインパネ。リッドを備えるクローズタイプのインパネトレイを設定する
アクティバのインパネ。レッドステッチが映えるMOMO製レザーステアリングを装着
シリーズで唯一、CVTに7速マニュアルモードを設定し、ステアリングにパドルシフトを用意する
アクティバのシート。シート表皮はボーダー柄のフルファブリック
リアシートは左右別々に240mmロングスライドし、2段階のリクライニングも可能となっている
スタイルのシート。シート表皮はスエード調のフルファブリック
スポーツのシート。シート表皮は合成皮革のプロテインレザーを採用する

そのほかの共通部分

エンジンは自然吸気(左)とターボ(右)の2種類を用意するが、名称はどちらも「KF」型。自然吸気の直列3気筒DOHC 0.66リッターエンジンは最高出力38kW(52PS)/6800rpm、最大トルク60Nm(6.1kgm)/5200rpmを発生。ターボ仕様の直列3気筒DOHC 0.66リッターターボエンジンは最高出力47kW(64PS)/6400rpm、最大トルク92Nm(9.4kgm)/3200rpmを発生する
「Bi-Angle LEDヘッドランプ」はG“SA II”とG ターボ“SA II”に標準装備、XとX“SA II”には5万4000円高でオプション設定
X以外のモデルにカメラとレーザーレーダーなどを組み合わせた先進安全装備「スマートアシストII」を標準装備する
キャスト アクティバは助手席側のドアミラー下側に補助ミラーを設定
樹脂製のCピラーに設定されたフィン状の突起は、空力性能の向上を狙っているほか、鋼板パネルでは実現不可能な形状により、樹脂パネルならではのデザイン性をアピールしているとのこと
キャスト アクティバのドアトリム。全面的に樹脂製となっているが、オレンジにカラーリングされた部分は柔らかく、シボを入れて上質感を表現している
3本スポークタイプのステアリングには、右側にDアシストのセレクトスイッチを備える
全車で自発光式2眼メーターを採用
フロントシートはベンチタイプで、サイドウォークスルーが可能となっている
全車に標準装備するフロントセンターアームレストには、リッド付きの収納ボックスを設定
G“SA II”とG ターボ“SA II”は運転席にシートリフターを備える
ラゲッジスペースはリアシートのロングスライドを使って容量を拡大可能
シートバックも左右別々に前方に倒せる。「大人4人がゆったりと乗れる」というコンセプトを重視して、後席には敢えて複雑な格納機構を持たせず、前倒ししたシートバックは完全なフラットにはならない
ラゲッジスペースの使い勝手を高める「大容量深底ラゲッジアンダーボックス」
リアシートのリクライニング&前倒し用のレバーはシート中央側に設置

(編集部:佐久間 秀)