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“古着で走るデロリアン”も展示される「エコプロダクツ2015」開幕

入場無料で12月10日~12日開催。自動車メーカーはエコ対策を分かりやすく展示、試乗も可能

2015年12月10日~12日10時~18時(最終日は17時まで)開催

入場無料(登録制)

2015年のキーワードは「わたしが選ぶクールな未来」

 12月10日~12日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で環境展示会「エコプロダクツ2015」が開催されている。入場は無料(登録制)。

 地球環境の保護に関連する展示を集めたこの展示会では、自動車関連の各メーカーによって車両本体から環境対策の部材、タイヤなどをブースで展示。各社による環境対応の取り組みについて分かりやすく紹介している。

マツダブースでは「ロードスター」のエコ対策をクイズなどで学習

 エコプロダクツ2015は、ビジネス展示会というよりも学校の校外学習での利用が多いという側面がある。そこで出展する自動車メーカーでは、クイズ形式でエコへの理解を深める展示やスタンプラリー、ショータイムの開催のほか、実際にエコ関連の部材を使ってなにかを作ってみるワークショップ的な展示も実施。大人から子供まで楽しめる展示となっている。

 マツダは新型「ロードスター」を車両展示。さらにパネル展示などによって従来型と比べて軽量化したことなどについてよく分かる内容となっている。子供向けのクイズでは、従来型と比較して何kg軽量化したかについて問うなど、エコとスポーツを両立させたことを来場者に訴えた。

マツダはブース中央に新型「ロードスター」を展示
従来モデルのNC型と比べて、ND型は軽量化と低燃費化されていることを示す比較
軽量化技術として、5つの項目にわたってパネル展示
軽量化技術のパネル展示
軽量化を実現した「グラム作戦」
ブースで行われたクイズも軽量化がテーマ

 トヨタ自動車は話題のエコカーである新型「プリウス」を展示して、実際に乗り込んで確認できるようにしたほか、“究極のエコカー”とも呼ばれるFCV(燃料電池車)「ミライ」のカットボディを展示。燃料電池スタックや水素タンクの配置、安全対策などを理解できるようにしていた。

 また、燃料電池の仕組みを実際に体験できる展示として、小型の燃料電池を動力源としたミライのモデルカーを用意して、燃料電池でモーターを動かすことの理解が深められるようになっている。

発売されたばかりの新型プリウスを展示
パーソナルモビリティ「i-ROAD」のナンバー付き車両
ミライのカットモデルを展示
高圧水素タンクやFCスタックなど、重要パーツの配置がよく分かるようになっている
燃料電池で走る小さいミライ。実際に走らせて仕組みを理解するための展示

 本田技研工業は、今年の東京モーターショーで世界初公開したFCV「クラリティ フューエルセル」を展示。FCVやEVなどを電源として電気を取り出す外部給電器「Power Exporter 9000」と組み合わせて紹介し、FCVから取り出した電気でワークショップの製作で使う工具のグルーガンに電源供給。実際の使い勝手について紹介する展示となっている。

2016年3月にリース販売を開始する新型FCV「クラリティ フューエルセル」
外部給電器「Power Exporter 9000」と接続して展示
Power Exporter 9000から出力している様子の展示
Power Exporter 9000からブース内にあるワークショップのスペースまでケーブルが伸びており、グルーガンに電源を供給している
ホンダブースは森をテーマにしたイメージ
V2Hに対応するDC普通充電器「HEH55」も展示

 三菱自動車工業のブースでは、6月にマイナーチェンジした「アウトランダーPHEV」を展示して、三菱電機のV2Hシステムと組み合わせて展示したほか、子供向けにクイズ形式でPHEVの理解を深めてもらえるショーを行っている。

アウトランダーPHEV
三菱電機のV2H用パワーコンディショナ「SMART V2H」と組み合わせて展示した

 スバル(富士重工業)は「インプレッサ スポーツ ハイブリッド」を展示。さらにパネル展示でスバルの環境への取り組みをアピールしている。

「インプレッサ スポーツ ハイブリッド」を車両展示
環境への取り組みをパネル展示
配布される冊子は「BRZ」のペーパークラフトになっている

タイヤメーカー

 原料の選択やリサイクル、そして転がり抵抗の低減など、タイヤメーカーが行なう環境対策は多岐に渡るが、国内タイヤメーカーではブリヂストンとダンロップ(住友ゴム工業)が展示を行った。

 ブリヂストンはタイヤ供給などで参戦に協力した「工学院大学チーム」のソーラーカーを展示。太陽光から得た限りある電気で効率よくマシンを走らせるため、転がり抵抗を抑えるなどの技術を投入した専用タイヤを参戦マシンと並べて展示したほか、低燃費技術を満載した「ECOPIA with ologic」や、空気を利用しないタイヤ「エアフリーコンセプト」などを展示する。

ブリヂストンが参戦協力している「工学院大学チーム」のソーラーカー
ソーラーカー用のタイヤはブリヂストンが供給する
低燃費技術を満載した「ECOPIA with ologic」
空気を利用しないタイヤ「エアフリーコンセプト」

 ダンロップは、省燃費タイヤのエナセーブの製品ラインアップを紹介したほか、間伐材を使ったワークショップなどを行なった。

ダウンロップはエナセーブのラインアップを展示
取り組んでいる環境活動についても紹介した

部材メーカーやリサイクルも展示

 そのほかの展示でも、パーツや部材のメーカーなど自動車関連のブースは多い。ターボチャージャーを製造するIHIでは、最新のターボチャージャーの仕組みが分かる展示を実施。低回転でもタービンを効率よく回すために採用する可変ノズル構造について、動作状態が分かるカットモデルを展示した。

 そのほかに部材では、高張力鋼板の重さを実際に体感できる展示品なども用意されたほか、リサイクル関連でも多数展示が行なわれた。

 NGP日本自動車リサイクル事業協同組合は廃車から外したエンブレムを展示。募金と引き換えにエンブレムを持ち帰ることができる被災地支援コーナーを展開していたが、ここには校外学習で訪れていた男子中高生が群がっていた。

IHIはターボについて紹介する展示を実施
排気側が可変ノズル構造となっている
展示品の空気の流れをLEDの発光で示しており、右横の羽根の角度が変化して低回転時から効率よくタービンを回転させる
積水化学工業は自動車用中間膜を展示。合わせガラスに挟み込むことで遮熱特性を発揮し、照明の下側に手を差し込んでも暖かく感じないことを体験できる
HUD(ヘッドアップディスプレイ)用の高機能中間膜の展示では、フロントウインドーに各種情報を投影しているデモを披露
新日鉄住金グループは高張力鋼板を展示。実際に持ち上げて重量の差を体験できる
チタン製のバルブやコンロッドなども手に持って軽さを体験できる
NGP日本自動車リサイクル事業協同組合は、恒例の“廃車から外したエンブレム”を展示。募金をすると1個持ち帰ることができる

配達用のエコカーを展示した運送業

 運送業者も多数出展し、エコへの取り組みを紹介した。

ヤマト運輸は人と荷物を同時に運ぶ「貨客混載バス」に見立てたシアターを設置。ショータイムに説明を行なった
電動アシスト自転車と組み合わせた配達用の自転車
日本郵便は小型のEV配達車を展示。ベースとなっているのはトヨタ車体の「コムス」で、名古屋市内で集荷・配達の実証実験中。日本郵便ではこのほかにもEVを利用している
SGホールディングスグループ(佐川急便)のブースでは、特別ゲストとして舞妓さんが登場。Pepperも飛脚のハッピ姿となっている

リサイクル素材で走行するデロリアンも展示

「FUKU-FUKU×BTTF GO!デロリアン走行プロジェクト」の企画展示では、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Part2)」仕様のデロリアンを展示。劇中で2015年の未来にタイムトラベルするため、ゴミからエネルギーを生成する「ミスターフュージョン」を装着した仕様だ。

 このプロジェクトでは、使わなくなった衣料品でデロリアンを走らせるという取り組みを行なっており、すでに10月21日にも走行イベントを実施。会場でも引き続き衣料品の回収を行なっている。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」劇中の“未来”、2015年10月21日16時29分にデロリアンがお台場を走行

http://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/20151021_726803.html

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Part2)」仕様の「デロリアン DMC-12」
車内やラゲッジスペースに劇中と同じ装備を忠実に再現
運転席前のダッシュボード上にも配線が見える
エコにつながる装備としてゴミからエネルギーを生成する「ミスターフュージョン」。2015年には市販されていると劇中で設定されているもの
展示されたデロリアンはユニバーサル映画が公式に認定している

乗車体験イベントも開催。「ミライ」「フィット EV」にも乗れる

 屋外スペースではエコカーの乗車イベントも行なわれた。来場者はステアリングを握ることのできない同乗体験だが、一般の販売店ではなかなか試乗できないトヨタ「ミライ」やホンダ「フィット EV」をはじめ、ハイブリッドカーやPHEV、クリーンディーゼルなど計6車種が用意され、ビッグサイト周辺の公道を1周できる。

東1ホールの外にあるクルマ寄せに受け付けがあり、ここから乗車する
同乗体験できる車両はトヨタ「ミライ」やホンダ「フィット EV」など計6車種
トヨタ「ミライ」
先代フィットをベースとした「フィット EV」

(正田拓也)