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エコカーからリサイクル製品まであらゆるエコが並ぶ「エコプロダクツ2013」

国内タイヤメーカー4社も揃ってブースを出展

2013年12月12日~14日開催

入場無料

 東京ビッグサイトで開催中の環境展示会「エコプロダクツ2013」では、主要自動車メーカーをはじめ、自動車関連企業が数多く出展している。今回は国内の主要タイヤメーカー4社が揃ったほか、主要運送会社4社も出展するなど、クルマに関連する企業でもエコ技術をアピールしたいという意識が高まっていることをうかがわせる。出展された自動車関連企業の展示内容をまとめたのでご紹介しよう。

スバル(富士重工業)

「レヴォーグ」「XV ハイブリッド」を展示するスバルブース。写真は別記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20131212_627387.html)を参照してほしい。レヴォーグはハイブリッドカーほど燃費を重視したモデルではないものの、直噴ターボエンジンで走りと環境性能をアピールしている。

 会場で展示されたレヴォーグはプロトタイプカーで、実際に販売されるどのグレードに該当するものなのかは明らかにされていない。展示車に記載されたスペックは、エンジンが1.6リッター水平対向 直噴ターボ“DIT”。最高出力は125kW(170PS)/4800-5600rpm、最大トルクは250Nm(25.5kgm)/1800-4800rpmで、JC08モード燃費は17.4km/L。4輪駆動でCVTの「リニアトロニック」となっている。

 ブースでは、スタッフがクルマについて説明する時間が設けられており、搭載されているエコ技術などについて知ることもできる。

スバルブース
XV ハイブリッド
ブースでは説明も行われている
ボンネットを開けてエンジンの説明をしているシーン

トヨタ自動車

 東京モーターショーに参考出品したパーソナルモビリディ「i-ROAD」を展示するトヨタブース。動いてはいないが間近で見ることができる。

 また、クルマはもう1台あり、非接触充電に対応した「プリウスPHEV」も展示している。非接触充電とすることで、充電のためにソケットを差し込むといった操作が不要になるというものだ。トヨタでは2014年に日本、アメリカ、ヨーロッパで非接触充電の実証実験を開始する予定という。そのほかでは、リサイクル素材の利用などの展示もある。

トヨタブース
非接触充電に対応した「プリウスPHEV」
パーソナルモビリディ「i-ROAD」
リサイクル素材を利用したパーツ
リユースの蓄電池

本田技研工業

 ホンダブースではブース中央に木を配置。その周りには本物の苔や草を生えているほか、小さな池も作っていてドジョウ、ヤゴ、ミズスマシがいる。各地のホンダの工場や施設のある場所で森を育てているということを表現する展示だ。

 車両の展示はビーチクリーン活動に用いる4輪バギー程度で、そのほかはホンダの環境技術を展示。マスキー法対策でCVCCエンジンを開発したホンダの環境技術に対する取り組みの歴史や、現在のハイブリッドカーからバッテリーをリサイクルする活動などが紹介されている。

 このほか、ブース内では松ぼっくりでクリスマスツリーを作る体験コーナーが設置され、来場者で賑わっていた。

ホンダブース
池もブース内に再現
海岸の清掃に用いる4輪バギー
ホンダの環境技術の歴史をパネル展示で紹介
ハイブリッドカーに搭載されたニッケル水素電池をリサイクルする取り組み
松ぼっくりでクリスマスツリーを作るコーナーも設置

マツダ

 マツダ車に塗られる特別な赤「ソウルレッドプレミアムメタリック」の「アクセラ SKYACTIVE-D」を展示したマツダブース。実車の展示はディーゼルエンジン搭載車となったが、マツダはほかの方式でもエコカーを展開しており、直噴ガソリンエンジンのSKYACTIVE-Gもエンジン単体で展示している。

 また、2013年シーズンから「ソウルレッドプレミアムメタリック」をイメージした色に変更された広島東洋カープのヘルメットも展示。近くに置かれたアクセラのボディーカラーと見比べることができるようになっている。

マツダのブース
直噴ガソリンエンジンのSKYACTIVE-G
ソウルレッドプレミアムメタリックの塗装技術について説明
広島カープの赤ヘル
ソウルレッドプレミアムメタリックと見比べることもできる

三菱自動車工業

 同社が現在アピールしている代表的エコカーの「アウトランダーPHEV」を展示するとともに、2014年初頭に登場予定の「eKスペース」を展示する三菱自動車ブース。

 eKスペースがエコであるポイントは、車内のルーフ中央に「リアサーキュレーター」を設けていること。これによって空調の利用が効率的になり、エンジンの負担が減って実燃費によい影響を与える可能性があるとしている。

三菱自動車のブース
eKスペース
eKスペースにはリアシート向けのリアサーキュレーターがある
eKスペースの運転席
eKスぺースのリアシート
電気自動車の運転をゲーム化。エコ度合いを競うことができる

ブリヂストン

 ブリヂストンブースでは空気を用いないためパンクしないタイヤ「エアフリー・コンセプト」を展示。また、工学院大学のソーラーカーレース参戦車「プラクティス(驍勇)」号を展示し、ブリヂストンのエコタイヤ技術をアピールする。

 ブースではエコピアシリーズの各タイヤ、ランフラットタイヤの展示のほか、タイヤのエコ技術を紹介。また、原材料を半分に削減する技術を紹介したコーナーでは、原材料と同じ重さの入った袋を用意し、来場者が持ち上げて重さを体感できる展示をした。なお、原材料が半分になっても実際に完成したタイヤの重さが半分になるわけではないと説明している。

ブリヂストンのブース
エアフリー・コンセプトを装着したクルマ
ソーラーカーレース参戦車「プラクティス(驍勇)」号
ソーラーカーレースに使ったタイヤ
エコピアシリーズ
エコピアシリーズのランフラットタイヤ
タイヤのエコ技術を展示
原材料を半分に削減したタイヤ。重さを確認できる
エアフリー・コンセプトの新旧比較

横浜ゴム

 タイヤの展示とともに、ブース内でクイズ形式の環境マペットシアター「海賊船ブルーアース号の冒険」を開催した横浜ゴムブース。来場者が回答すると記念品をプレゼントする。

 最新ブルーアースシリーズやタイヤの転がりやすさを確認できるほか、リトレッド技術、さらにタイヤを安全かつ低燃費で利用するための「空気圧モニタリングシステム」の展示などを行っている。

横浜ゴムのブース
「海賊船ブルーアース号の冒険」と題した人形劇
ブルーアースシリーズのタイヤ
タイヤの転がりやすさを展示。青いクルマにブルーアースの技術を使ったゴムタイヤを装着している
空気圧モニタリングシステムの展示
大型車用タイヤのリトレッド技術

ダンロップ

 ダンロップブースでは、ブース中央にタイヤの原料がよく分かるように原材料を展示し、従来タイヤと最新の100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ100」の対比を行った。各部における原材料の違いがよく分かるようになっている。

ダンロップのブース
エナセーブ100に使われる原材料
北川知克環境副大臣(中央)もエコプロダクツ展を視察。100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ 100」の説明を受ける。左は住友ゴム工業常務執行役員 研究開発本部長 兼 材料開発本部長 中瀬古広三郎氏、右は住友ゴム工業 常務執行役員 ダンロップタイヤ営業本部長 山本悟氏
使っているゴム
エナセーブ100
新製品のエナセーブEC203

トーヨータイヤ(東洋ゴム工業)

 ゴムの性能を体で感じられる体験型ブースとした東洋ゴム工業。ゴムに乗り、柔らかさの違いなどを体感していくことで、低燃費タイヤへの理解が深められるような構成になっている。なお、同社のエコタイヤ「NANOENERGY」シリーズは、各シリーズに触れて重さの違いなどが確かめられるようになっている。

トーヨータイヤ(東洋ゴム工業)のブース
ゴムの板を足で踏んでゴムの硬さの違いを体感
ボールのはずみ方でゴムの違いを体感
タイヤのクイズも実施。Q3の正解はブース内で紹介
「NANOENERGY」シリーズを展示。自分で持ち上げて重さの違いなども確かめられる

運送会社4社が出展

 運送会社では「ヤマト運輸」「佐川急便」「日本郵政グループ」「日本通運」が出展。それぞれの企業の環境に対する取り組みを紹介していた。

ヤマト運輸のエコに対する取り組みや独自の梱包資材などを体験していく「ネコロジークエスト」を実施するヤマト運輸ブース。ブースでは同社のキャラクターであるクロネコ、シロネコが来場者を出迎えて来場者の人気を集めていた
佐川急便は「祇園佐川急便」と題したブースを展開。小型電気自動車や実際に京都の支店で使っている配達用自転車を展示する。ブース内では同社の取り組みをクイズラリー形式で紹介し、参加者に記念品をプレゼント。トークショーを開催するほか、丸に「飛」のマークが入った法被姿で記念写真を撮ってもらえるサービスも行っている
日本郵政グループは配達用の電気自動車「MINICAB-MiEV VAN」を展示。特設の郵便局も設定していた
日本通運は「森の学校」と題してエコについて学べるほか、引っ越しゲームもプレイできる

その他の展示

 デンソーは同社のエコ技術を紹介するとともにものづくり工作教室を開催。モーターが回る仕組みが分かるような最も簡単なしくみのモーターを自作していた
アイシングループはディスクブレーキとドラムブレーキの仕組みが分かる展示を行い、そのすぐ裏でブレーキによるエネルギー回生の仕組みを解説
リサイクルの取組みを紹介するNGP日本自動車リサイクル事業協同組合ブース。フィリピンで発生した台風被害に対する募金をすると、廃車から外した自動車のエンブレムを貰えるコーナーも設置
JR貨物はコンテナを利用してブースを設営。エコへの取り組みを展示するほか、コンテナヤードを中心に「JR貨物関連の車両しか走っていない」というジオラマを展示した
ターボチャージャーを製造するIHIは、2.0リッターディーゼルエンジンと組み合わせるというターボチャージャーを展示してダウンサイジングエンジンのメリットを訴求する。IHIのターボチャージャーは一部のフェラーリ車に採用されたことでも知られており、国内メーカーだけにとどまらず欧州車でも広く採用されているという
新日鉄住金グループはブース前面に新幹線の車輪と車軸を展示するほか、自動車関連では高張力鋼板を展示。鉄板の種類よる強度の違いを分かりやすく展示した
東レグループは同社の「炭素繊維トレカ」と呼ばれるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使ったバンパー、ホイール、バケットシートを展示した。軽量化によって燃料消費量の節約につながり、CO2削減効果があるとしている
日本化学繊維協会も炭素繊維などの自動車への応用を展示。カーボンブレーキにも利用できる炭素繊維の材料を紹介している
旭化成グループは同社のスエード調人工皮革「ラムース」を採用したレカロシートを展示した。ペットボトルをリサイクルした素材からできているため、上質な素材というだけでなくエコな素材でもあることをアピール
エネオスブランドでガソリンスタンドを運営するJX日鉱日石エネルギーは、水素も扱う「ガソリンスタンド一体型水素ステーション」の模型を展示。開設が始まったばかりの水素とガソリンの両方を同時に供給するガソリンスタンドの展開をアピール。同社キャラクターのエネゴリ君のステージも実施した
タカラトミーブースではプラレールのエコ版製品を展示。リサイクル素材でできた緑色のレールを展示した。工場で発生する端材から作るリサイクル素材を使っており、毒性に厳しい玩具の基準にも適合。初めての「エコマーク付き玩具」になったという。同社の「ECOTOY」シリーズとしてすでに一部の玩具店で販売している

(正田拓也)