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アンシス、流体解析ソリューションの10倍高速化を実現する「ANSYS 17.0」発表会

シミュレーションに利用するCAE製品の新バージョン

2016年1月28日開催

10倍をテーマにさまざまな改良が行なわれたCAE(Computer Aided Engineering)製品の「ANSYS 17.0」

 アンシス・ジャパンは1月28日、自動車業界などで使われているCAE(Computer Aided Engineering)製品の最新バージョン「ANSYS 17.0」を発表した。同日、都内で発表会を開催し、代表取締役社長である大古俊輔氏、そしてアンシス ディレクターオブマーケティングのバリー・クリステンソン氏らが新バージョンの特徴などについて説明した。

自動車業界でも大きな変革が起きている

製造業の現状と今後について話す、アンシス・ジャパンの代表取締役社長の大古俊輔氏

 最初に登壇した大古氏は、まずドイツ政府が次なる産業革命として推進しているIndustry 4.0などによって産業界は転換期を迎えていると指摘した。自動車業界においても、アメリカのサンノゼやパロアルトではGoogle Carをよく見かけるようになり、誰も驚かなくなっているというコンサルタントの話を引き合いに出しつつ、フォードが自動車の大量生産方式を確立したとき以来の大きな変革が起きていると述べる。

 このように大きな変革が起きている中、ものづくりは今までの延長線上ではうまくいかないとした上で、さまざまなオプションを組み合わせて解析を行なうことの重要性を説く。その解析を支援するANSYS 17.0について、大古氏は「解析業界における1つのイノベーションであり、日本のお客さまに役立つものであると確信している」と語った。

10倍をテーマに掲げたANSYS 17.0

アンシス ディレクターオブマーケティングのバリー・クリステンソン氏

 続けてバリー氏がANSYS 17.0の概要を説明した。

 ANSYSの製品について、さまざまな技術を統合した、シミュレーション用のプラットフォームを持っているのはANSYSだけであり、製品全体をトータルで評価できると特徴を説明した。その上で、今回の新バージョンのテーマは「10倍」だと紹介する。

 この10倍には、ANSYS 17.0を利用することで開発プロセスを10倍改善することなど、さまざまな意味が込められているが、その1つとして紹介されたのが、流体解析ソリューションの10倍の高速化だ。最新のプロセッサ技術を採り入れたHPC(High Performance Computing)ソルバーアーキテクチャを利用することで、最大12万9000個のコアでの利用を実証するなど、高いパフォーマンスを実現するためのテクノロジーが組み込まれているという。

シミュレーションを活用し、精密にシャワーヘッド内の流体の振る舞いを把握することで、実際に水の利用量を80%削減したシャワーヘッドの例
ANSYSのポートフォリオ。流体から構造、ソフトウェアに至るまで、幅広い領域をカバーしている

 また流体解析ソルバーの使い勝手の向上やモデリングツールの改善など、さまざまなアップデートがあることに触れつつ、ANSYS 17.0は全体の統合を視野に入れたシステムとして開発するアプローチを採ったことで、数多くの改良や新機能を盛り込むことができたと説明し、プレゼンテーションを締めくくった。

ANSYS 17.0 の特徴を示したスライド
流体解析のインターフェースやワークフローの刷新、12万9000個のコアを利用した解析、ターボ機械シミュレーションの強化
過渡電磁界シミュレーションの10倍の高速化、チップからパッケージ、システムに至るまでの統合された開発フロー、チップの伝熱解析を10倍高速化
モデリング言語である「Modelica」のネイティブサポート、組み込みソフトウェア開発の高速化、ANSYS AIMによるすべてのエンジニアへのシミュレーションの提供

(川添貴生)