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ポルシェ、“ライトサイジングターボ”搭載の新型「911 カレラ」シリーズ発表会
「CarPlay」対応の「ポルシェ コミュニケーション・マネージメントシステム」搭載
(2016/2/24 00:20)
- 2016年2月23日 開催
ポルシェ ジャパンは2月23日、2015年9月11日から予約受注を開始し、まもなくデリバリーを開始する新型「911 カレラ」シリーズについて解説する記者発表会を開催した。
ラインアップには「911 カレラ」「911 カレラ S」「911 カレラ カブリオレ」「911 カレラ S カブリオレ」の4モデルを用意し、それぞれに右ハンドルと左ハンドルを設定。水平対向6気筒 3.0リッターツインターボエンジンにDCTの7速PDK(ポルシェ・ドッペル・クップルング)を組み合わせるほか、911 カレラと911 カレラ Sでは7速MTも選択できる。価格は1244万~1813万円。デリバリー開始は3月下旬を予定している。このほかの詳細については、予約受注開始時の関連記事を参照していただきたい。
新型911 カレラシリーズのエンジンは「ライトサイジングの見本」と七五三木社長
記者発表会の冒頭で登壇したポルシェ ジャパン 代表取締役社長の七五三木敏幸氏は、「本日、みなさまにご紹介する“ニュー911モデルレンジ”は、ご存じのように我々ポルシェにとって特別なモデルです。ポルシェ 911は1963年にフランクフルトモーターショーでデビューしてから50年以上に渡り、スポーツカーのアイコンとして世界中で愛されてきました。日本においても911はデビュー当時から多くの熱狂的なファンに支えられ、2014年にはポルシェモデルレンジで911の販売比率が世界で最も高いマーケットが日本となっています。これはポルシェ 911が日本のマーケットで最も成功を収めているスポーツカーブランドとして認知され、高い性能と品質がお客さまから信頼を勝ち得ている証であると言えます」と紹介。
また、七五三木氏は新しい911 カレラシリーズについて「最適化されたシャシー、進化したデザインなど、新しい911 カレラ、およりカレラ Sにおけるハイライトはいくつもありますが、最大のトピックは水平対向6気筒ターボチャージドエンジンです。高効率と低燃費を実現するため、先代モデルと比較して排気量は小さくなりましたが、より高いパフォーマンスを誇る“ライトサイジングの見本”と言えます。2020年までに欧州で販売されるすべての乗用車の平均CO2排出量を95g/kmにするという目標を達成すべく、スポーツカーメーカーであるポルシェが選択したのが“ライトサイジング”です」
「エンジニアリングカンパニーでもあるポルシェは、自動車メーカーとしての社会的責任を果たすため、プラグインハイブリッドなどのアプローチでも環境問題に取り組んでいますが、もう1つの形が“ライトサイジング”です。ポルシェは昨年のル・マン24時間レースにおいて17年ぶりの総合優勝を果たしました。ライバルたちと比べて最も小さな排気量ながら、効率性に優れた919 ハイブリッドでの勝利は、ポルシェの“ライトサイジング”コンセプトや、ターボテクノロジーが以下に優れているかの証であります」
「のちに911の歴史を振り返ったとき、エンジンの“ライトサイジング”とターボ化は、1997年のエンジン水冷化と同等か、あるいはそれ以上の大きなマイルストーンであったと言われることでしょう」と語り、新型911 カレラシリーズに与えられた水平対向6気筒3.0リッターツインターボエンジンの意義について解説した。
七五三木氏の挨拶に続き、新型911 カレラシリーズの商品概要を説明したポルシェ ジャパン 広報室 室長 塚原久氏は、スライドを交えて技術ハイライトについて解説。パワーユニットの大規模な変更にあたり、ポルシェの開発陣は新型911 カレラシリーズが持つべき特性として「エモーション」「効率化」「パフォーマンス」という3つの要素を設定したという。
911シリーズに採用している水平対向エンジンの基本的な特性について塚原氏は「高回転まで不快な振動を感じさせないスムーズな吹け上がり、ドライバーの右足のわずかな動きも見逃さない俊敏なレスポンス、アイドリングクオリティをはじめとする日常的な快適性、フラット6エンジン独特のサウンド、直列やV型といったエンジンでは不可能とも言える低い重心位置など、どの点を取ってもポルシェ 911になくてはならない要素です」と紹介し、「今回の“ライトサイジング”ターボの投入でも、こうした特徴は一切失うことなく、より効率化を推し進めることをエンジニアたちは義務づけられました」と解説。
自動車業界でダウンサイジングのコンセプトが一般化したのは10年ほど前からで、これを受けた開発責任者は、911の「991モデル」で搭載する自然吸気の3.4リッターと3.8リッターの両方のエンジンと同等以上の性能を確保しつつ、3.0リッターよりもさらに小さな排気量までテストして開発を実施。しかし、排気量が小さくなるとモード燃費では成果があっても、実燃費ではメリットが少ないというテスト結果が出たことを受け、この3.0リッターという排気量を選択。これについて塚原氏は「私どもがダウンサイジングではなく、“ライトサイジング”ターボという名前で呼ぶ理由はこの点にあります」と述べている。
この“ライトサイジング”ターボエンジンに加え、塚原氏は「918スパイダーの採用品をモチーフにしたステアリングは、オプションのスポーツクロノパッケージを装着した場合に4種類のモード切替が可能になり、さらにPDK仕様車では、高い過給圧やエンジン回転の高回転域などを積極的に使い、最大20秒まで加速力を高めるスポーツレスポンスボタンを装着していること」「911 ターボやGT3 RSにも導入されたリアアクスルステアをオプション装着し、80km/h以下でステアリングと逆位相に最大2°、80km/h以上では同位相に最大1.5°まで操舵して、最小回転半径の短縮と高速走行時の安定性を両立していること」「油圧によってフロントタイヤ側の車高を30mm高め、日常シーンでの使い勝手を向上させるフロントアクスルリフトをオプション装着していること」などを新しい魅力として紹介している。
新装備となる「ポルシェ コミュニケーション・マネージメントシステム(PCM)」についてはポルシェ ジャパン マーケティング部 ポルシェコネクト兼プロダクト&プライシング部長の都鳥清人氏から解説が行なわれた。
都鳥氏は、「PCMはさまざまなメリットを持っております。日本市場では新型911 カレラシリーズから新たに採用になりました。標準装備となる『コネクトプラスオプション』を利用すると、Googleの地図サービスやアップルの『CarPlay』、スマートフォンにあるアプリとの連携などが利用可能になります。また、これまでもプレミアムオーディオとして日本国内ではボーズの製品を提供してきましたが、PCMはデジタル接続を採用しており、ボーズ製品でもこれまで利用できなかった機能が使えるようになり、同時にブルメスター製品もお選びいただけるようになっております」と解説。
さらに都鳥氏は「通信にはSIMカードをが必要になりますが、このSIMカードは弊社より提供いたします、これにより、弊社はMVNO(仮想移動体通信事業者)ともなっています。このSIMカードでは音声通話やSMSの通信などはできない仕様となり、あくまでもPCMでデータ通信を行なうだけのSIMカードとなります」と語っている。