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「ロードスター・パーティレースIII」シリーズ開幕前の合同テスト

新タイヤ「RE-71R」について開発ドライバー山野哲也氏が解説

2016年3月19日 開催

 マツダ「ロードスター」を使用したアマチュア向けレース「ロードスター・パーティレースIII」を主催するビースポーツは3月19日、スポーツランドSUGO(宮城県村田町)において、シリーズ開幕前の合同テストを開催した。

ND型ロードスター NR-A
今年から指定タイヤとなったポテンザ RE-71R。サイズは195/50 R16

 ロードスター・パーティレースは2002年から開催されている人気のシリーズ。2016年はND型ロードスター「NR-A」のデビューによりNDクラスを新設するとともに、北日本をはじめ東日本、西日本の各地域でのシリーズ戦が開催。「ロードスター・パーティレースIII」として生まれ変わることになった。各地域シリーズは計4戦で争われ、NDシリーズ戦については各地域の上位者で戦う日本一決定戦も開催される。

 同レースは昨年までブリヂストン「POTENZA RE-11A」が指定タイヤとなっていたが、今年は「史上最速のストリートラジアル」を謳う「POTENZA RE-71R」に変更になっている。

 NDのデビューに加え新タイヤ導入もあっての合同テストというわけだ。今回、開催されたのは北日本戦の参加者向けで、今後4月19日に筑波サーキットで東日本戦、5月10日には岡山国際サーキットで西日本戦の合同テストが予定されている。

 今回のテストにはインストラクターとしてTCR JAPANの加藤彰彬氏、地元仙台でケンオートを営む小原健一氏に加え、さらに新タイヤの開発ドライバーである山野哲也氏も参加。

パドックには参加者向けのホスピタリティテントが用意された
走行前にミーティングを実施
TCR JAPAN 加藤彰彬氏
ケンオート 小原健一氏
「レインボーコーナーはどこでインに付いたらいいの?」と加藤氏がツッコミを入れる場面も
フラッグの説明など

 テスト走行前の講義では、加藤氏が「SUGOはスピードの高いコーナーが多い」「NCよりNDのほうがステアリングのセンターが敏感」「ロードスターはコーナーでブレーキを残さない方が速く走れる」とロードスターの走り方を伝授。

 続いて地元の小原氏がコースを説明。「ウエット路面では最終コーナーがキモ。劇的にタイムが上がるポイント。チャレンジしてほしい」「3コーナーと最終コーナー、SPのアウトが危険。アウト側のセーフティゾーンはタップリあるもののイン巻してしまうと内側のバリアに当ってしまうパターンがあるので注意」とアドバイスした。

 当日の参加台数はNC型、ND型それぞれ4台の計8台。朝方まで雨が降っていたため完全なドライコンディションではなかったものの、1時間40分とタップリ用意された走行枠を使い、それぞれにタイヤやクルマの挙動を確かめていた。

フィーリングを確かめる参加者
スタート練習も行なわれた

 走行後に行なわれた講義では、加藤氏が今年のブレーキパッドは「軽く踏んだくらいで効く」、小原氏は「1コーナーで必要以上に速度を落としている。クルマを転がすことを意識してハンドルを余計に切らないように意識」「行き詰まったらセッティングを変えてみる」などとアドバイスした。

パッドが変わったのでブレーキのかけ方に注意と加藤氏
1コーナーで必要以上に速度を落としている人が多いと小原氏

新タイヤ「RE-71R」について山野氏が解説

ポテンザ RE-71R

 講義の中で、RE-71Rの開発ドライバーを務めた山野哲也氏が新タイヤRE-71Rについて解説。RE-71Rは、RE-11Aの後継モデルとして開発がスタート。“速いタイヤ”をコンセプトに「モノありきで作るのではなくゼロからのスタート」で、当初はスリックタイヤで剛性やショルダーの形状など、今までとは違うアプローチから入ったと説明した。

 まずは“主溝”の本数、深さ、位置などをトライアンドエラーで決定。現場で溝を掘りながら試行錯誤を繰り返し、「低速、中速、高速コーナー、すべて同じ挙動になるプロフィール」を作り上げたという。その後、横や斜めの溝に着手。最初はブリヂストンのプルーピンググラウンド、次にサーキット(主に筑波)でのテストに移行した。

 テストでは「10種類のパターン違いを持ち込み、タイムとフィーリングがマッチした2つのタイヤを選ぶ。次はその2つのタイヤを中心に10種類作り、また2つに絞り込む」と言う作業を繰り返し、結局、3年掛かって完成したと完成までの苦労を語った。

RE-71Rの開発ドライバーを務めた山野哲也氏
開発の経緯やタイヤの使い方を説明
ロードスターとRE-71Rの組み合わせは「クルマの挙動を自由自在に“操れる”感が高い」と山野氏も太鼓判
コクピットに収る山野氏

 そうして完成したRE-71Rは、「ストリートからサーキット、ドライからウェットまで、幅広い使用に耐えうるタイヤ」で、「低温に強くグリップの発動に温度をあまり必要としない」と特長をアピールした。

走行後にタイヤ温度を確かめる山野氏
参加したインストラクターもコースを走行
走行後のトレッド
速く走るには操作の使い分けが重要と山野氏

 走行後の講義で、山野氏はタイヤに関して「ショルダーが斜めに減ってる人はストレスを与えすぎ。キレイに面が出てくるのを目指してほしい」とコメント。「操舵してからクルマが反応するまでには“時差”がある。早い操作とゆっくりした操作を使い分けることで、タイヤをキレイに使うことができる」とアドバイスした。

 また、アライメントによっても減り方が変わってくるが、最適なところを見つけるためには「たくさんトライしてみるしかないが、速い人のデータを真似するのも1つの手」だとした。

ドライバーに直接アドバイスを貰うこともできた
山野氏とメディア4耐Car Watchチームの助っ人、石川氏。石川氏のNDはこの日、納車されたばかりだとか
「この後スキーに行く」なんて人も。ナンバー付車両で行われるパーティレースならではの光景
MZ-Racingはパーティレース推奨データロガーをアピール。GPSと3軸の加速度センサー内蔵しておりOBD接続で30項目ぐらいのデータが取得できる
その場で使い方や参加者へのアドバイスも

ロードスター・パーティレースIII 開催日程

北日本シリーズ NDシリーズ/クラブマンクラス(スポーツランドSUGO/8周)

大会 開催日 編入レース大会名
第1戦 4月10日 マツダファン東北ミーティング in SUGO
第2戦 5月15日 スーパー耐久シリーズ 第2戦
第3戦 7月10日 SUGOチャンピオンカップレース Rd.2
第4戦 9月11日 SUGOチャンピオンカップレース Rd.4

北日本シリーズ NC/NBシリーズクラス(スポーツランドSUGO/8周)

大会 開催日 編入レース大会名
第1戦 4月24日 SUGOチャンピオンカップレース Rd.1
第2戦 7月10日 SUGOチャンピオンカップレース Rd.2
第3戦 9月11日 SUGOチャンピオンカップレース Rd.4
第4戦 9月25日 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦
SUGOチャンピオンカップレース Rd.5

東日本シリーズ 全クラス同時開催 (筑波サーキット/15周)

大会 開催日 編入レース大会名
第1戦 5月5日 コカ・コーラ オールドナウ・カーフェスティバル
第2戦 5月22日 SCCN MAY RACE MEETING in TSUKUBA
第3戦 9月3日 第27回 メディア対抗ロードスター4時間耐久レース
第4戦 11月13日 筑波チャレンジクラブマンレース 第3戦

西日本シリーズ NDシリーズ/クラブマンクラスのみ(岡山国際サーキット/8周)

大会 開催日 編入レース大会名
第1戦 5月28日 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第2戦
第2戦 7月3日 GT ASIA(岡山チャレンジカップ 第3戦)
第3戦 7月31日 岡山チャレンジカップ 第4戦
第4戦 10月22日 スーパー耐久シリーズ 第5戦

日本一決定戦 NDシリーズクラスのみ(岡山国際サーキット/11周)

大会 開催日 編入レース大会名
日本一 12月3日 マツダファンフェスタ2016 in 岡山

合同テストが行われたスポーツランドSUGO

(安田 剛)