写真で見るSTI「レガシィ ツーリングワゴン/B4 2.5GT tS」


 スバル(富士重工業)のワークスチューナーであるSTI(スバルテクニカインターナショナル)。WRCやSUPER GTに参戦するスバル車へ、エンジンなどの各種パーツを開発、供給するなど、スバルのモータースポーツ活動を支える屋台骨としての役割を持つ。その一方で、スバルの市販車をSTI流にカスタマイズしたコンプリートカーの製作・販売も行っている。現在では「インプレッサ」のグレードの1つとなっているWRX STIも、最初はSTIが開発した車両として発売されたものだ。最近では「エクシーガ tuned by STI」や、「R205」などがある。そして今回新たにSTIが手がけたコンプリートカーが「レガシィ ツーリングワゴン/B4 2.5GT tS」だ。

 ある程度スバル車に詳しい人であれば「tuned by STIとは違うのか?」と思われるだろうが、STIによれば「tS」はまさにtuned by STIを略したものであり、従来のtuned by STIに位置するものだと言う。これまでレガシィやエクシーガではtuned by STI、インプレッサではSTI 20th ANNIVERSARYなど、呼称に一貫性がなかったところで、今回よりtuned by STIの位置づけのクルマをすべてtSシリーズとし、S204やR205などと双璧を成すグレードにするとしている。

 なかでもハンドリングを主体に磨きをかけたモデルがtSだとしており、レガシィ ツーリングワゴン/B4 2.5GT tSも2.5GTにSTIチューニングを施したダンパーやスプリングを中心に、フレキシブルタワーバーやフレキシブルドロースティフナー、フレキシブルサポート・リアなど補強パーツがおごられている。かつてのtuned by STIは、STIの市販パーツをつけたお買い得車的なニュアンスが多少なりともあったが、このtSをはじめ、最近のtuned by STIではよりコンプリートカーとしての色が濃くなっており、装着されるビルシュタインダンパーやフレキシブルドロースティフナー、フレキシブルサポート・リアなどはまだ市販されていないパーツで、このレガシィで初めて採用されたものだ。

 今後パーツ単品でも市販化もされる可能性はあるが、組み合わせて使わないと効果が薄いパーツもあるとのことで、すべてのパーツが市販化されるのか、どの組み合わせで訴求するのかなど、未定の部分は多いと言う。また、ブッシュの硬度を変えるなど、カタログに載っていない部分にも手は加えられていると言い、仮に市販化されたパーツをすべて付けたとしても、完全にtSと同じ乗り味にはならないと言う。

 そのほか、エクステリアでは、STI製のフロントアンダースポイラーや、ツーリングワゴンにはルーフスポイラー、B4にはトランクスポイラーを装備。これらエクステリアパーツは、スバルが持つ1/1の風洞施設を使っての風洞実験も行われている。ホイールはSTI製の18インチアルミホイールがおごられる。また専用装備として前後に「tS」のオーナメントや、リアにはSTIオーナメントが装着される。

 インテリアはルーフまですべてブラックで統一。シートは本革とアルカンターラの専用表皮になり、STIロゴの刺繍や赤ステッチで加飾される。ステアリングも赤ステッチでSTIのロゴ入りの専用品、シフトノブやプッシュスタートスイッチもSTI製が用いられ、メーターは専用のSTIロゴ入り260km/hメーターがおごられる。ドライバーにとってもっとも目に付き、触れる部分においても、STIコンプリートカーとしての存在感をアピールしている。

 販売台数は限定600台の受注生産。ツーリングワゴンが418万7400円で、B4が402万9900円。いずれも6速MTと5速ATが用意される。車両の詳細は関連記事も参照いただきたい。

レガシィ ツーリングワゴン 2.5GT tS。撮影車のボディーカラーは専用色のWRブルー・マイカだ
バンパーはS Package専用バンパーで、ヘッドライトもS Packageのブラックベゼルタイプとなるフロントグリルにつく「tS」のオーナメント。Sの文字がチェリーレッドとなり存在感をアピールするSTI製フロントアンダースポイラー
ホイールはSTI製18インチ 8.0JアルミホイールマフラーはSTI製スポーツマフラー。デュアルテール左右出しだテールは65φ。STIのロゴが刻まれる
ツーリングワゴンにはSTI製ルーフスポイラーがノーマルのスポイラーの上に重ねるような形で付くリアゲートにはtSのオーナメント。左側にはSTIのオーナメントが付く
B4のリア。マフラーはやはりデュアルテールの左右出しだB4にはトランクスポイラーが付くトランクにtSオーナメント
ルーフスポイラーの効果などを確かめるため、実車を使っての風洞実験も行われている
インストルメントパネル全景。インテリアの撮影車両はB4の6速MTモデル。オプションのマッキントッシュサウンドシステムも装備していたステアリングは本革巻きで赤ステッチが施される。ステアリング中央にもSTIのオーナメントが付くメーターも変更される。STIのロゴが入るスピードメーターは260km/hまでスケールが刻まれる
シートは本革&アルカンターラで赤ステッチがSTIの存在感をアピールシートバック部分に黒い刺繍でSTIのロゴが刻まれる後席も本革&アルカンターラ。ドアトリムなどにも赤ステッチが施される
tSではピラーやルーフまでブラックになるバイザーやルームライト部などもブラックシフトノブもSTI製の本革巻きとなる。5速ATモデルではSTI製本革巻きセレクトレバーが付く
センターコンソール部も赤ステッチになるプッシュエンジンスイッチもSTI製に変更赤いアクセスキーカバーも付く
加飾パネルはチタンカラーのカーボン調となる
エンジン本体やターボは、ベース車の2.5GTと同じフレキシブルタワーバーのほか、フロア下にはフロントにフレキシブルドロースティフナー、リアにはフレキシブルサポートが付くサスペンションはSTI製スプリングにオリジナルセッティングのビルシュタインダンパーが付く。リアサスリンクはピロボールブッシュタイプに変更される

(鈴木賢二 / Photo:高橋 学)
2010年 6月 10日