写真で見るランボルギーニ「ガヤルド」


 世界的に有名なスーパースポーツカーのメーカーであるランボルギーニ。現在は、巨大な6.5リッターのV型12気筒エンジンを搭載する「ムルシエラゴ(Murcielago)」と、今回取り上げる比較的コンパクトな「ガヤルド(Gallardo)」の2モデルが中心になっている。

 ガヤルドは2003年に登場。2008年にマイナーチェンジを行い、現行モデルとなった。現在はクーペの「LP560-4」と、オープンバージョンの「LP560-4 スパイダー(Spyder)」が用意され、それぞれに6速MTと「e-gear」(セミAT)が組み合わせられる。通常モデルの駆動方式はフルタイム4WDだが、限定モデルとして後輪駆動の「LP550-2 バレンティーノ・バルボーニ(Valentino Balboni)」も発売されている。

 また、2011年モデルとして、カーボンファイバーを多用し、軽量化を図ったガヤルドのトップモデル「LP570-4 スーパーレジェーラ(Super Leggera)」が6月1日に登場した。これは2007年にデビューした先代スーパーレジェーラのヒットを受け、新たにデビューしたもの。

 ランボルギーニは闘牛の血統を車名に用いることが多く、「ガヤルド」も有名な血統名の1つ。また「LP」は“Longitudinale Posteriore”の略で、後方(ミッドシップ)縦置きという意味。それに続く数字は最高出力であり、「560」なら560PSを発揮する。バレンティーノ・バルボーニはランボルギーニの有名な開発者の名前から付けられている。また、スーパーレジャーラは“スーパーライト”、つまり超軽量という意味を持っている。

 今回撮影したモデルは「ガヤルド LP560-4」。ムルシエラゴよりコンパクトといっても十分な迫力がある。全長4345mmは一般的なサイズだが、全幅は1900mmもある。全高は1165mmと極端に低い。車両重量1500kgは、フロントに43%、リアに57%の重量配分となる。縦置きされるエンジンは5.2リッターの90度V型10気筒。最高出力は560PSに達する。ビスカストラクションシステムを採用したフルタイム4WDは、基本的に前3:後7の割合で駆動力を分配するが、路面状況によりリニアに割合を変化させる。

 セミATの「e-gear」は、ステアリング前方のパドルシフトでシフトチェンジを行う。「ノーマル」「スポーツ」「コルサ(レースの意味)」など、5種類のシフトモードが選択でき、完全に自動でシフトチェンジを行う「オートマチック」も用意される。

 ボディーはアルミ押し出し材によるスペースフレーム構造。軽量であることはもちろん、ねじり剛性にも優れている。外板にもアルミが使われている。サスペンションは定番のダブルウイッシュボーンだが、これもアルミ製となる。ドアはカウンタックなどでおなじみのスイングアップではなく、通常の前ヒンジ式となる。

 ガヤルド(e-gear車)の価格は2533万1250円だが、撮影したモデルは各種オプションが装備され、2848万305円だった。ちなみに6速MT車の価格は2428万1250円。

エンジン縦置きのミッドシップは乗員が前方寄りに位置することになるが、それを逆手にとったみごとなウエッジシェイプのスタイル。カウンタック以降、ランボルギーニが得意とするデザインだが、ガヤルドはクリーンな面で構成され、クセのないスタイルに仕上がっている
フロントまわり。短いボンネットから大きなフロントスクリーンへ面が連続しているランボルギーニのエンブレムである“ファイティング・ブル”ヘッドライトは、バイキセノンランプの下に15個のLEDを並べた「デイタイム」を備える
大きなリアフェンダーを避けるため、ミラーは大きく突出しているタイヤは前235/35 ZR19、後295/30 ZR19という極太サイズ。銘柄はピレリ「P zero」が標準リアフェンダー部の大きなエアインテーク。フェンダー上部にもある。ドアノブは目立たないデザイン
V型10気筒エンジンが収まるリアまわり。リアスポイラーは可動式テールライトにもLEDを使用。ブレーキランプはムルシエラゴなどと同じイメージのY字形状エキゾースト・パイプは左右各2本出し
視界の悪さを補うため、スポイラーにリアビューカメラが装備されるナンバー下のリアフォグランプ。デフの一部が覗いているエクステリアでの「Lamborghini」のロゴはここだけ
エンジンカバーは透明で、外からエンジンを見ることができるカバーを開けた状態。といっても見えるのはエンジンのごく一部に過ぎないフロントのトランクは110Lの容量がある
コクピット。ステアリングの直前のL字形のレバーがパドルシフトメーター。クラシカルなデザインだが、中央にはマルチファンクション・ディスプレイを装備極めて低いポジションのレザー製スポーツシート
e-gear仕様はシフトレバーがなく、代わりにボタンが3つ置かれているセンターコンソール前部のボタン。右はフロントの車高を上げるリフティングシステムのボタンe-gear仕様は2ペダルとなる。現在、ランボルギーニのユーザーの大半はe-gearを選ぶと言う
インパネ中央に並ぶ各種メーター。左から油圧、油温、電圧エアコンは左右独立して調整できる。カーナビはケンウッド製極太のサイドシルには「GALLARDO」のロゴが描かれる

(西尾 淳(WINDY Co.) /Photo:石川 智 )
2010年 6月 21日