写真で見るフォルクスワーゲン「シャラン」 |
1997年に日本に導入されたフォルクスワーゲンのミニバン「シャラン」だが、日本独自に発展したミニバン市場には受け入れられず、2年で販売をやめてしまった。12年ぶりに復活した2代目シャランは、同社が「ガラパゴス」と呼ぶその特殊な市場に、満を持して投入される。
ミニバン然とした4855×1910×1750mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2920mmのモノフォルムのボディー内には、2-3-2の3列シートを配置。余裕のある室内空間に自在なシートアレンジ、両側パワースライドドア、3ゾーンフルオートエアコン、バイキセノンヘッドライト(ダイナミックコーナーリングライト機能付き)、レインセンサー付きオートワイパーなど、競合車と同等の快適装備を満載する。
ドイツ製ピープルムーバーのシートアレンジといえば、安全性や座ったときの快適性を優先したシートが大きく重く、小柄で非力な日本人には操作しにくい、というのが当たり前。しかし、2代目シャランのそれは、安全性や快適性はそのままに、より少ない力で、ワンタッチでアレンジできるように改良されている。ここだけでも、同社がこの市場にかける本気ぶりが見て取れるように思う。
一方でフォルクスワーゲンらしさもきっちりと打ち出しており、その筆頭が直噴ツインチャージャーTSIエンジンと6速デュアルクラッチAT「DSG」だろう。1830kgのラージサイズミニバンには似つかわしく思われない1.4リッターという小排気量だが、パフォーマンスは十分。ドイツ車らしい締まった足まわりとあいまって、競合車ではめったに話題に上らない“ドライビングプレジャー”という言葉が、このクルマではしっかりと維持されている。
TSI+DSGのダウンサイジングコンセプトに加えて、「ブルーモーションテクノロジー」を名乗るアイドリングストップやエネルギー回生システム、空力ボディーにより、10・15モード燃費は14km/L、エコカー減税の対象車となっている。国産ミニバンを凌ぐ全幅のボディーを見るにつけ、この環境性能の高さが光るというもの。
用意されるモデルは、379万円の「コンフォートライン」と、438万円の「ハイライン」の2つ。ハイラインにはバイキセノンヘッドライトとダイナミックコーナーリングライト、ヘッドライトウォッシャー、ヒーテッドウォッシャーノズル、6連CDチェンジャー、リアビューカメラ、キーレスエントリー、パワーテールゲート、パドルシフト、フットウェルランプな、1列目シートヒーターなどが装備され、16インチホイールの代わりに17インチホイールを、ファブリックの代わりにレザーの内装を備える。両モデルとも横滑り装置や各種パッシブセーフティー装備は標準で搭載する。
ただし、コンフォートラインのベース車であるハロゲンヘッドライト仕様は受注生産。バイキセノンヘッドライトやダイナミックコーナーリングライトを含むパッケージオプションは16万8000円のオプションとなる。
撮影車両はハイラインで、ボディーカラーはナイトブルーメタリック。
空間効率優先のパッセンジャールームに、短いエンジンフードが着いた、ワンモーションフォルムのボディー。燃費改善のため、空力にも配慮されている |
ターンシグナルランプなどが一体になったヘッドライトアッセンブリー。ポジションランプはこのところのフォルクスワーゲンのアイデンティティーとなっている、LEDのU字型のもの | ||
テールランプのアッセンブリーの意匠も、最近のフォルクスワーゲンの流儀に沿ったもの |
ターンシグナルランプを内蔵したドアミラー。助手席側ミラーの下には、左フェンダー横を確認できる小さなサイドアンダーミラーが付く | |
ハイラインのタイヤは225/50 R17。小さな穴ならタイヤ内側の補修材が自動的に塞いでくれる「モビリティタイヤ」を履く | シルバーのルーフレールは全車標準装備 |
1.4リッターのTSIエンジン。スーパーチャージャーとターボチャージャーで過給するツインチャージャーなので、リアの「TSI」バッヂはSとIが赤に(シングルチャージャーならIだけが赤)。ブルーモーションテクノロジーのバッヂも付く | |
75%のエコカー減税を受けられる | エキゾーストパイプは下向きに取り付けられ、外からは見えない |
センターコンソール後部、アームレスト下の小物入れには電源とAUX端子がある | ダッシュボード上中央の物入れにはiPodやUSBオーディオ用端子がある |
グローブボックス。ETC車載器はRNS510とのパッケージオプション | ルーフコンソール。グラスホルダーを備える |
3つのシートが並ぶ2列目。それぞれ独立したリクライニング、スライド、フォールディングが可能。レバーなどでで簡単に操作できる。スライド量は160mm | |
1列目シートの後ろに付くピクニックテーブル | ピクニックテーブルの下にはフックがある |
2列目以降のエアコンコントロールはセンターコンソール後端にある |
センターコンソール後端のカップホルダー | カップホルダーはドアにも | 2列目床下には浅い物入れがある |
2列目のルーフランプ。ポジションがアイコンで分かりやすく描かれたダイヤル式 | パワースライドドアは、車内からはレバーとBピラーのスイッチで操作できる。はさみ込み防止センサーを備えるほか、頭の挟みこみを防ぐため、窓が開いているとドアが途中までしか開かないなどの安全機構を備える |
3列目へアクセスするには、2列目シートの肩にあるレバーを引けば、前方へたためる。操作は非常に軽い |
3列目も独立シート | 3列目を倒すとフルフラットになる |
3列目シートを立てた状態のラゲッジスペース。トノカバーが付く。モビリティタイヤなのでスペアタイヤは積んでいない | 3列目を倒したときは2列目のすぐ後ろからトノカバーをかけられる |
2列目も3座を独立して倒せる | ||
ラゲッジスペースの電源とフック、照明 | ラゲッジスペース右の小さな空間 | パワーテールゲートはハイラインのみの装備 |
【お詫びと訂正】記事初出時、「ハイラインは革内装」と記述しましたが、正しくはレザー&アルカンタラシートであり、レザーシートはオプションでした。お詫びして訂正させていただきます。
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http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/
(編集部:田中真一郎)
2011年 3月 3日