写真で見るプジョー「3008」


 6月1日に発売されたプジョー「3008」は、同社初となるクロスオーバータイプのクルマ。原型となったのは2008年のパリモーターショーで発表されたコンセプトカー「プロローグ Hybrid4」で、トールボーイなフォルムをはじめヘッドライトの造形など、エクステリアはほぼそのままの姿で市販されることになった。

 3と8の間にひとつ増えた「0」は「従来モデルと異なるまったく新しいコンセプトのモデル」であることを示しているそうで、もしかすると今後「2007」とか「4007」のようなモデル展開があるのかもしれない。

 車名からも分かるように、基本コンポーネンツは多くの部分で同社の「308」から受け継がれている。だが、ボディーサイズは308のハッチバックモデルと比べて全長+75mm、全幅+15mm、全高+120mmとひとまわり以上大型化された。これによりフロントシートの室内幅は1565mmと308ハッチバックより75mmも広くなり、座面から天井までの高さもフロントが1100mm、リアは1050mmと余裕タップリ。標準装備となるパノラミックガラスルーフとの相乗効果により、明るく開放感あふれる室内を実現している。

 拡大されたボディーサイズの恩恵はラゲッジスペースにも現れており、フル乗車時でも432Lの容量が確保されている。リアシートはワンタッチで折り畳むことが可能な6:4の分割可倒式を採用しており、折り畳んだ際はラゲッジルームと段差のないフラットなフロアを実現。大型のトランクなども軽々と飲み込める1241Lもの容量を得ることが可能だ。

 また、ラゲッジには3段階で高さ調節が可能なラゲッジボードが用意されており、上下2分割式のテールゲートと組み合わせることで、荷物を区分けしたり外からは見えない空間を作ったりなど、スペースを有効に活用することが可能となっている。

 インテリアは308のコンサバ系から一転、囲まれ感の強いコクピットスタイルを採用。ヘッドアップディスプレイや、トグルタイプの7連スイッチなどの航空機をイメージした細部の作り込み、効果的に配置されたメッキパーツとレザーやファブリックなどの素材が組み合わされた仕上がりは、ラグジュアリークーペ的な印象さえ感じられるもの。加えてSUV的なアップライトポジションではなく、乗用車的なドライビングポジションが設定されていることもあり、トールボーイの外見から受ける印象とは裏腹にスポーティなムード満点だ。

 実際の走りも外観の印象とは別物。エンジンは308系の上位車種にも設定されている1.6Lのターボユニットだが、156PS/24.5kgmと出力を向上。さらに新開発の6速ATや専用チューンが施されたサスペンション、ロールやピッチングを抑えるダイナミックコントロールなどを採用することで、308ハッチバックより200kgほど増えた車重をあまり感じさせないキビキビとした走りを実現している。一方でキャタライザーの改良やオイルポンプの電動化などで欧州排出ガス規制「ユーロ5」にも対応している。

 また、日本への導入は未定となっているが、欧州では来年度にディーゼルエンジンとモーターによるハイブリッドモデルのリリースも予定されているという。

 価格はスタンダードモデルとなる「Premium(プレミアム)」が339万円、ラグジュアリーグレードとなる「Griffe(グリフ)」が385万円。

 ボディーカラーは標準カラーが新色となるヒッコリー、ヴェイパー・グレーなど6色、受注生産色としてアルミナム・グレー1色、計7色が設定される。シートは「Premium」がブラック・ファブリック、「Griffe」は標準ではブラック・レザーとなるが、受注生産カラーとしてグレージュ・レザーも設定されている。

 撮影車両は「Griffe」がバビロン・レッド。「Premium」がヒッコリー。

4365×1835×1635mm(全長×全幅×全高)とワイド&トールボーイなスタイルを採用。グリルの意匠やフロントフェンダーの造形など、基本的なイメージはやはり308に似たものとなっている

 

大型のグリルやクロームメッキが施されたヘッドランプ下のプロテクターなど、細部の処理はSUVっぽい力強さを感じさせる。フォグランプは両グレードとも標準装備。ボンネットはアルミニウム製だ「Premium」のヘッドライトはハロゲンタイプ。「Griffe」とはウインカーの配置など内部構造も異なっているPremiumのタイヤサイズは225/50 R17。ホイールは標準装着の「SAVARA」
上位グレードとなるGriffe。Premiumとの外見的に見分けやすいポイントとなるのはホイールとヘッドライトフロア部分にはアルミ製のアンダーガードを装備。ちょっとオフロードカー的なイメージも感じさせるフォグランプ下とグリル下にフロントソナーのセンサーが付くのはGriffeのみ。Premiumはリアだけの装備となる
Griffeはバイキセノンタイプのヘッドライトが標準。オートレベライザーとヘッドランプウォッシャーも装着されるサイド部が「く」の字になったブーメラン型のLEDテールランプを採用。ブレーキを踏むとサイド部に加えてテールゲート部も発光
リアゲート上部はスポイラー形状で中央にはハイマウントストップランプもGriffeはタイヤサイズが1インチアップの235/45 R18。ホイールは5本スポークタイプの「EXONA」を履くフューエルリッドは手で開けるタイプで、キャップがキー付となる
ドアミラーは熱線入りの電動格納式。下部にはウインカーとエントランスライトを装備ワイパーは雨滴感知式のオートタイプ。フロントウインドーがかなり大きいためアームも長い
エンジンは1.6Lのためターボ付とはいえとてもコンパクト。燃料をシリンダーに直接噴射するダイレクトインジェクション、排気圧力を2系統に分けて効率よく駆動するツインスクロールターボチャージャー、連続可変バルブタイミング機構などの採用により、2リッターのNAユニットに迫る156PS/24.5kgmのスペックを実現した6速ATは新開発となるアイシン製のAT6型ユニット。407シリーズに搭載されているAM6型ユニットの第2世代となるもので、摩擦ロスの低減や高めの油圧制御などにより、アクセルレスポンスと燃費を向上している

 

囲まれ感の強いコクピットタイプのインストルメントパネル。左がGriffe、右がPremiumだが、シート以外の違いはほとんどない。エアバッグはフロント、サイド、カーテンの6エアバッグ仕様
メーター上に設置されるヘッドアップディスプレイ。必要のないときはスイッチ操作により収納しておくことが可能。表示内容は速度のほかクルーズコントロール/スピードリミッター、ディスタンスアラートなど
メーターパネルは黒字に白の文字が浮かび上がるタイプで、シンプルだが視認性に優れたもの
メーターパネル中央部のインジケーターには外気温やメンテナンス情報などのほか、チェック機能も
運転席まわり。こちらも左がGriffe、右がPremiumステアリング右後ろにあるスイッチ群。ESPやソナーなどのON/OFFが行なえる
ATはマニュアルモードを備えたタイプ。スノー/スポーツモードも用意されているセンターコンソール上部に並ぶ7連トグルスイッチ。左3つはヘッドアップディスプレイ用、中央がハザード、その右2つがディスタンスアラート用、右端がドアロック用。オーディオは6スピーカーのAM/FMチューナー付CDプレーヤーが標準。AUX端子も装備しているプジョー初のエレクトリックパーキングブレーキを採用。イグニッションOFFで自動的に作動、アクセル操作で自動的に解除を行うほか、一定以上の勾配ではブレーキペダルから足を離しても2秒間ホールドするヒルストップ機能も備える
左右独立調整式のオートエアコンが標準。花粉フィルターも備えているシフトレバー後方にはカップホルダーとセンターコンソールボックス。ヒンジが運転席側にあるステアリングコラム下に車検証やマニュアルなどを入れるスペースを用意
グローブボックスも一般的な位置に用意されているが、助手席エアバッグのキャンセルスイッチやヒューズボックス(手前)があるため、容量はかなり小さめインパネ上部に小物入れが用意されているが、フタがないフロントガラス上部にはルームランプ。その前方にあるインジケーターはシートベルト装着の警告用
最大幅1202mm、前後長1382mm、面積約1.6m2と広大なパノラミックガラスルーフを採用。スモーク処理が施されているため熱カット率約86%、紫外線カット率約99%と、夏場でも室内の快適性を損なわない。サンシェードは電動式
フロントシートは3008専用設計。Griffeのシートはレザーで標準カラーはブラック、オプションでグレージュも用意されている。シート調節は4ウェイの電動式で、シートヒーターも内蔵
Premiumはシート素材がファブリックとなり、カラーはブラックのみの設定。シート位置の調節も手動タイプとなる。リアのセンターアームレストは両グレードとも標準だ
リアシートの足下にはフタ付の床下収納を用意センターコンソール後部にはエアコンの吹き出し口と小さなポケット、下部にはアクセサリーソケットも用意されているサイドシルにはPEUGEOTの文字が刻まれたドアステップガードを両グレードに標準装着
フロントドア。アームレストにはドアミラーの調節スイッチ、パワーウインドースイッチが並ぶ
リアドアにはブルー系のカラーが入ったスーパーティンテッドガラスを採用。アームレストにパワーウインドーのスイッチが用意されるほか、引き上げ式のシェードも内蔵されている
テールゲートはこのサイズのクルマとしては珍しい2分割タイプ。小さな荷物なら上側を開けるだけで済み、下側はベンチとしても活用できる
高さ調節が可能なフロアボードを中段にセットした状態(左)。この時、ボード上下のスペース割合は75:25。ボードを上段にセットした状態(中)。このまま下側のテールゲートを閉めれば、外から見えない広い収納スペースを作ることができる(右)。ボード上下のスペース割合は55%:45%になる
フル乗車&パーセルシェルフ使用、フロアボード中段時のラゲッジスペースパーセルシェルフを取り外すと背の高い荷物も積載可能だトランクスルーも装備しているので、4名乗車&長尺物の積み込みが可能
リアシートは6:4の分割可倒式。4名+荷物、3名+荷物とシチュエーションに応じて選べるリアシートを畳んでしまえばフラットな広いラゲッジルームを手に入れることができるフロアボードを上段にセットした状態
フロアボードを下段にセットした状態(左)。取り外してしまえばさらに(ちょっとだけ)広いスペースが確保できる
ラゲッジルームの内張を引き上げると、ここにもちょっとした収納スペース。最下部には工具と電動コンプレッサー付のパンク修理キットを用意。スペアタイヤは非搭載だラゲッジルームのサイドにはフロアボードの高さ調節用に切り込みが入っている。フロアボードは設置する高さによって耐荷重が異なっており、中段時で100kg、上段時は50kgとなっている
ラゲッジルーム左サイドにはサーチライトとしても使用できる着脱式のラゲージルームランプを用意。充電は自動的に行われ45分間の点灯が可能。蓋付きのポケットも用意されているが、フロアボードを外さないと中のモノを出し入れできない

(安田 剛 )
2010年 7月 12日