写真で見るリンカーン「MKX」


 フォードのプレミアムブランド「リンカーン」。4月2日に新型が発売された「MKX」(エム・ケー・エックス)は、ミドルサイズのCUV(クロスオーバー・ユーティリティ・ビークル)だ。この新型は2006年にデビューした初代モデルから基本構造を受け継ぎつつ、エクステリアおよびパワートレーンを一新している。

 エクステリアの最大の特徴となるのが、「スプリット・ウイング・グリル」。このいかにもアメ車的な大型のメッキグリルは、1941年型「コンチネンタル」の「ウォーター・スプリットグリル」をモチーフとしたもので、大海原を行くクルーザーの船首が海面を切り裂いていくようなイメージだ。

 エンジンは従来の3.5リッターから3.7リッターのV型6気筒DOHCユニットに変更。吸排気独立可変バルブタイミング機構「Ti-VCT」や減速時燃料遮断機構「ADFSO」などの採用により、227kW(309PS)/6500rpm、380Nm(38.7kgm)/4000rpmのスペックを実現している。

 駆動系はマニュアルシフト操作が可能な電子制御6速ATと、FFをベースに路面状況に応じて駆動力を最適配分するインテリジェントAWDの組み合わせ。また、フロント/リアだけでなく左右のトルク配分も可変とすることで、車両の安定性を高める「RSC(ロール・スタビリティ・コントロール)付アドバンストラック」も採用している。RSCはジャイロスコープセンサーでロール角やロール加速度を毎秒150回もの頻度で検知し、横転を軽減する役割も果たしている。

 インテリアはブラックカラーのレザーとウォールナット・ウッドパネルでコーディネートするとともに、クローム・アクセントを随所に配置。コンサバではあるものの、ラグジュアリーなムードを感じさせるものだ。その一方でセンタースタックにはタッチパネルで各種操作が可能なセンター・スクリーン「マイ・リンカーン・タッチ」、指先で簡単にオーディオのボリュームやエアコンの風量を調節できるフィンガータッチ&スライダーを装備するなど、先進的な部分も併せ持っている。

 MKXには装備違いなどのバリエーションモデルは存在せず、ワングレードのみのラインナップ。そのため装備はかなり充実したものとなっているが、価格は630万円と初代より低く抑えられており、お買い得度の高い内容となっている。ボディーカラーはタキシードブラックとホワイトプラチナムの2色が用意されており、撮影車両はタキシードブラック。

ボディーサイズは4740×1930×1685mm(全長×全幅×全高)と、初代とほぼ同じ。フロントグリルが丸みを帯びたデザインとなったため、押し出しの強さが薄れスマートなイメージとなった

 

排気量アップに加え、可変バルブタイミング機構などを採用したことにより性能が大幅に向上しているホイールはアメリカンムード満点のポリッシュ仕上げで、18インチの大径タイプ。タイヤは245/60 R18で、オンロード向きのいわゆるH/Tタイプマフラーはテールパイプから左右に分割するタイプ
初代とは大きく趣が異なりフロントマスクはスマートな印象となったヘッドライトはグリルと一体感のシャープな造形となったヘッドライトのレンズ部分はよく見ると細かな突起が設けられている
ロービームとウインカーを点灯した状態フォグランプの点灯状態。フォグランプが収まるアンダーグリルも、メッキパーツによってウイング風のデザインとなっているワイパーは一般的なフレームがあるタイプ
上部をメッキパーツでデコレートしたサイドミラー。右ミラー下部にはアプローチライトのほかにカメラが装着され、ドライバーの死角をサポート。映像はバックミラーに内蔵するモニターに映し出されるミラー面は曲率の異なる「ブラインドスポットミラー」とのコンビネーションタイプ
フェンダー部に装着されるサイドマーカーはクリアタイプ。その横には「リンカーン・スター」のオーナメントもホイールアーチからサイドへとつながるラインはボリュームを強調、力強さを感じさせる処理となっている運転席側のドアハンドル上部のボタンで数字を入力することで、ドアのロック/アンロックが可能だ
フューエルリッドは運転席側となる左サイド。燃料は無鉛レギュラーガソリンで、タンク容量は72Lハイマウントスポットランプ付きのリアスポイラーを標準装備
電動開閉可能なリアゲートの中央、オーナメント下にはバックカメラを装着。映像はセンタースタックのモニターに表示される
リアゲート右隅に車名のエンブレムリアゲート左隅にはブランドエンブレムリアコンビランプもウイング風の意匠となっている
リアコンビランプの点灯状態。下部はバックランプウインカーはコンビランプ内ではなくバンパー部に。LEDのため後続車へのアピール度はかなり高い

 

サテンブロンズカラーのセンタースタックを中心に、ウイング状の意匠が施されたインパネまわり。左ハンドル車のみの設定だステアリングはウッドとレザーのコンビネーションタイプ。センタースタック同様、サテンブロンズパネルが装着され華やかな雰囲気だ。ステアリングの革巻き部分を暖めるヒーターも内蔵イグニッションはステアリング右奥。キー本体でリモコンエンジンスタート、ドアロック/アンロック、パニックアラーム、パワーリフトゲートの5つの操作が可能
ステアリングスポークには左右に同じボタンを配置。これはメーターパネル内のスピードメータ左右にあるマルチ・ファンクション・ディスプレイの操作用

 

アナログの大型スピードメーター左右にマルチ・ファンクション・ディスプレイを配置したメーターパネル。表示はステアリングスポーク左右にあるスイッチで変更できる。これは左側にタコメーター、燃料計、燃費計を表示した状態。右側はオーディオ左側に時間ごとの平均燃費を表示。5分、10分、30分の切り替えが可能だ
左側にインフォメーションを表示左側に燃料計と水温計に加えアナログ風のタコメーターを表示。水温計を省略し燃料計を大きく表示することもできる。右側はハンズフリーの状況表示だが電話は未接続の状態
左側に走行可能距離を表示インテリジェント4WDの動作状況の表示ドライブアシスト機能の設定もここで行える
右側に電子コンパスを表示右側にエアコンの状態を表示

 

センタースタックに装着されるタッチパネル式液晶ディスプレイ。画面四隅に表示されたタブに触れることで各種設定や操作がスムーズに行える。また、音声による操作も可能となっているが、現状では英語のみの対応となっている「インフォメーション」のカレンダー表示「オーディオ」のAMチューナー表示。カーナビは内蔵されていない
エアコンおよびシートヒーターなどの設定画面。グラフィカルな表示でとても分かりやすい
Bluetoothによるハンズフリーに対応するだけでなくオーディオ再生も可能だ

 

センタースタック下部にはオーディオ&エアコンの操作パネルを用意。ウイング状のバーに触れたり、指をスライドさせたりすることで、オーディオの音量やエアコンの風量操作がスムーズに行える車内には合計14個ものスピーカーが装着される。センターコンソール上面、中央にはセンタースピーカーが備わるトランスミッションはマニュアルモードを備えた6速AT。マニュアルシフトはシフトノブ部分のスイッチで行う
ステアリング左奥にあるパネルではライト関連および、シート位置やドアミラー角度、ステアリング位置のメモリーが可能なドライバーメモリー、パワーリフトゲートの操作が可能グローブボックスは深さはあるものの容量は少なめ。オプションのETCユニットもここにセンタースタック下部にはオーディオのインターフェイス。映像/音声のRCAのほか、SDカードリーダー、USBコネクターが備わる
アメリカンSUVならではのゆったりとしたシート運転席、助手席ともに8ウェイの電動パワーシートを採用し、シートヒーター&シートクーラーを標準で装備する。ランバーサポートも電動式運転席側のドアにはパワーウインドーとドアロック/アンロックスイッチのほか、ドアミラーのコントローラーも
助手席側はドアおよびパワーウインドースイッチのみサイドシルにはブランドロゴ入りのガードプレートを装着助手席の足下にDC12Vソケットを用意
センターコンソールボックス上部はアームレストを兼ねており、左右独立して前後位置の調節が可能。内部は収納になっている
リアシートは3人掛けでヘッドレストも人数分装着される中央部分はアームレストにも。上部にはドリンクホルダーが用意されている後席ドア。ルーフ部にグリップがなく、アームレストがグリップを兼ねる。ドアノブ前方にはシートヒーターのスイッチがあるが、左右のみで中央席は非装着
ルーフにはマップランプと電動パノラミック・ビスタルーフの操作スイッチ。サングラスホルダーも用意サンバイザー裏には照明付きのバニティミラーが備わる
後席用のマップランプおよびルームランプ前後2分割で高い開放感を得られる電動パノラミック・ビスタルーフを標準装着する

 

広いラゲッジスペース。リアシートは6:4の分割可倒式で荷物のサイズや乗車人数などによって使い分けが可能
パワーリフトゲートのスイッチはリアゲートではなくラゲッジルームの壁面にスイッチ操作によりリアシートの背もたれをワンタッチで収納可能。ラゲッジルームにもDC12Vソケットが用意されているフロア下部にはスペアタイヤが収納されている

 


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(安田 剛)
2011年 4月 27日