レビュー

【タイヤレビュー】ダンロップの最新プレミアムコンフォート「ビューロ VE303」(前編)

静粛性能と操縦安定性能を前モデルより向上し、低燃費タイヤに

静かで力強い走りを求める人に向けて作られたプレミアムコンフォートタイヤ「ビューロ VE303」

 ダンロップ(住友ゴム工業)が、2月から順次発売を開始したのが最新プレミアムコンフォートタイヤ「VEURO VE303(ビューロ ブイイー サンマルサン)」。サイズは、275/35 R20 102W~185/65 R15 88Hの50サイズをラインアップし、ビューロとして第3世代の製品になる。

 第3世代のビューロでは時代を反映して、低燃費タイヤのラベリング制度に対応。全サイズとも転がり抵抗性能は「A」、ウェットグリップ性能は「b」となっている。

低燃費タイヤとなったビューロ
ビューロのトレッドパターン。非対称パターンを採用し、右がアウト側、左がイン側。回転方向指定はない

 ビューロで求められる性能は、何よりも静粛性能。ビューロVE303では前世代のVE302に比べて静粛性能を向上させるため、剛性の異なるコードをより合わせたハイブリッドバンドをトレッド面内部に採用。タイヤの剛性構造を変更することで、静粛性を向上させている。また、トレッドパターンから発生するノイズも、ラグ溝(横方向の溝)の容積を55%小さくすることで、低減している。その結果、ロードノイズの騒音エネルギーは前モデルのVE302に比べて19%低減、トレッドパターンの騒音エネルギーは11%低減している。

ビューロ VE303のコンセプト
ユーザー調査結果。静粛性、操縦安定性を重視して設計。時代の要請もあり、低燃費タイヤとなった
製品概要

 このビューロ VE303にも、VE302やル・マン 4同様に特殊吸音スポンジを採用。凸が2つ並んだ構造を持つこのスポンジで、タイヤ内部の空気の振動を抑制し、空洞共鳴音を低減している。端的に言えば、「パコパコ」とした乾いた音が、しっとりとした音に変化している。

 VE303では、イン/アウト非対称のトレッドパターンを採用。イン側、アウト側の剛性分布を最適化することで、接地圧分布をイン側からアウト側まで均一にしようとしている。この剛性分布により、操縦性と安定性の向上を目指しているわけだ。

VE303に採用された新構造と、トレッドパターン
タイヤ内の音を低減する特殊吸音スポンジも採用している
タイヤパターンにおいては、剛性分布を最適化

 ウェットグリップ性能は「b」とラベリングされており、高性能な部類に属する(ウェットグリップ性能が「a」のタイヤは、サイズが限られたスペシャルな製品が多い)。ウェットブレーキ性能では、従来製品のVE303より6%向上しており、タイヤの中央部に走る主溝容積を増やしたことや、ウェットグリップ向上剤を新たに配合したことが効いている。

 転がり抵抗性能は「A」となり、従来より9%低減。また、このVE303では、トレッド部の不要な動きを抑制したことにより、耐摩耗性が25%向上しており、従来製品から著しい性能向上を果たしている。ダンロップは昨年秋に発売したスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX(ウインターマックス)」においても、従来モデルから耐摩耗性を48%向上しており、新世代の何らかの技術を投入してきていると思われる。とくに説明はなかったものの、フラグシップ低燃費タイヤ「エナセーブ PREMIUM(プレミアム)」にも使われていた、真円プロファイルも採用。この真円プロファイルは、タイヤのショルダー部の内部壁を真円にたわみを均一にコントロールするもの。設計者によると、すでにダンロップの基幹技術になっているとのことだ。

ウェットグリップ向上も図った
ウェットグリップと相反する要素である低燃費性能も新開発のコンパウンドで引き上げた
耐摩耗性は25%向上。ダンロップの新製品では、この項目の改善が著しい
プレミアムタイヤのため、外観にも気を配った設計となっている
製品のサイドウォール部
従来製品との比較レーダーチャート
サイズラインアップ

 サイズラインアップは、275/35 R20 102W~185/65 R15 88Hの50サイズとワイドなもので、26サイズはEXTRA LOAD規格に対応。インチアップユーザーや、輸入車ユーザーをターゲットにしている。

 後編では、モータージャーナリスト岡本幸一郎氏の試乗により、ビューロ VE303の実力をお届けする。

後編では、ダンロップのテストコースでのウェットグリップ比較や、一般道試乗などの模様をお届けする

編集部:谷川 潔

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