レビュー
【タイヤレビュー】ダンロップの最新プレミアムコンフォート「ビューロ VE303」(前編)
静粛性能と操縦安定性能を前モデルより向上し、低燃費タイヤに
(2013/5/1 00:00)
ダンロップ(住友ゴム工業)が、2月から順次発売を開始したのが最新プレミアムコンフォートタイヤ「VEURO VE303(ビューロ ブイイー サンマルサン)」。サイズは、275/35 R20 102W~185/65 R15 88Hの50サイズをラインアップし、ビューロとして第3世代の製品になる。
第3世代のビューロでは時代を反映して、低燃費タイヤのラベリング制度に対応。全サイズとも転がり抵抗性能は「A」、ウェットグリップ性能は「b」となっている。
ビューロで求められる性能は、何よりも静粛性能。ビューロVE303では前世代のVE302に比べて静粛性能を向上させるため、剛性の異なるコードをより合わせたハイブリッドバンドをトレッド面内部に採用。タイヤの剛性構造を変更することで、静粛性を向上させている。また、トレッドパターンから発生するノイズも、ラグ溝(横方向の溝)の容積を55%小さくすることで、低減している。その結果、ロードノイズの騒音エネルギーは前モデルのVE302に比べて19%低減、トレッドパターンの騒音エネルギーは11%低減している。
このビューロ VE303にも、VE302やル・マン 4同様に特殊吸音スポンジを採用。凸が2つ並んだ構造を持つこのスポンジで、タイヤ内部の空気の振動を抑制し、空洞共鳴音を低減している。端的に言えば、「パコパコ」とした乾いた音が、しっとりとした音に変化している。
VE303では、イン/アウト非対称のトレッドパターンを採用。イン側、アウト側の剛性分布を最適化することで、接地圧分布をイン側からアウト側まで均一にしようとしている。この剛性分布により、操縦性と安定性の向上を目指しているわけだ。
ウェットグリップ性能は「b」とラベリングされており、高性能な部類に属する(ウェットグリップ性能が「a」のタイヤは、サイズが限られたスペシャルな製品が多い)。ウェットブレーキ性能では、従来製品のVE303より6%向上しており、タイヤの中央部に走る主溝容積を増やしたことや、ウェットグリップ向上剤を新たに配合したことが効いている。
転がり抵抗性能は「A」となり、従来より9%低減。また、このVE303では、トレッド部の不要な動きを抑制したことにより、耐摩耗性が25%向上しており、従来製品から著しい性能向上を果たしている。ダンロップは昨年秋に発売したスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX(ウインターマックス)」においても、従来モデルから耐摩耗性を48%向上しており、新世代の何らかの技術を投入してきていると思われる。とくに説明はなかったものの、フラグシップ低燃費タイヤ「エナセーブ PREMIUM(プレミアム)」にも使われていた、真円プロファイルも採用。この真円プロファイルは、タイヤのショルダー部の内部壁を真円にたわみを均一にコントロールするもの。設計者によると、すでにダンロップの基幹技術になっているとのことだ。
サイズラインアップは、275/35 R20 102W~185/65 R15 88Hの50サイズとワイドなもので、26サイズはEXTRA LOAD規格に対応。インチアップユーザーや、輸入車ユーザーをターゲットにしている。
後編では、モータージャーナリスト岡本幸一郎氏の試乗により、ビューロ VE303の実力をお届けする。