いつでも最新情報が手に入るAndroido用カーナビアプリ 全力案内!ナビ | |
980円(半年) / ユビークリンク [XPERIA(SO-01B)/HTC Desire(X06HT)/IS01(KDDI)] |
「iPhone&Android」ってタイトルなのにiPhoneアプリばっかりじゃねーか! と、お嘆きのAndroidユーザーの皆様、お待たせいたしました。今回は連載初となるAndroidアプリ「全力案内!ナビ」をご紹介しましょう。ただ、トップのイラストと違って、Android担当ナビゲーターはヲタクなオッサンなので、オシャレさんな雰囲気とは一切無縁。そのぶんディープに、よりマニアックに、攻めていこうと思っております。
前置きはこのぐらいにして本題。今回紹介する「全力案内!ナビ」は、ユビークリンクがリリースするマルチプラットフォームのナビゲーションアプリ。携帯電話だけでなく、スマートフォン向けの開発にも力を入れており、先にリリースされたiPhone版に続く第2弾として登場したのがAndroid版。
わかりやすいトップメニューが用意されカーナビらしい操作性を実現 |
単なる移植ではなく、Android向けに最適化を行なうとともに、細部をブラッシュアップすることで使い勝手の向上が図られているのが特長だ。ちなみにiPhone版はのりたまこさんが記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/car_app/20100601_371292.html)にしているので興味がある向きはそちらも参照して欲しい。
さて、まずは同アプリの特長から紹介していこう。最大のポイントといえるのは、「UTIS」と呼ばれる独自のプローブ方式による交通情報に対応してるってコト。これは、全国各地の契約タクシー約1万3000台および会員の走行情報を元に、リアルタイムに交通情報を取得、通過時間などから渋滞や混雑といった状況を判断するモノ。
一般的なPNDでもFM放送を利用したVICS交通情報が取得できるけど、当然ながらセンサーがある道路(約7万km)のみにしか対応できない。対して、プローブ方式の場合は、実際にクルマが走った情報を元にしているので、センサーがない道路の情報も取得できるってワケ。加えてタクシーの走行情報をベースにすることで、抜け道的な道路の状況まで分かってしまうという副次的な効能もあったり。「渋滞は耐えられん!」とか、「遠回りでも動いてる方がイイッ!」とか、って人にはもの凄く実用的な機能なのだ。
ルート案内中の地図画面。本体の置き方次第で縦/横表示は自動で切り替えられる |
プローブによる交通情報は地図上に渋滞が赤、混雑が橙、空いている道路を青色の各実線で表示。VICSではフォローできない一方通行の狭い道までサポートされているから実用度はすこぶる高い |
もうひとつポイントとして挙げておきたいのが、ローカルでは地図データを持たないという点。そのため自車位置測位や地点検索、ルート探索などの際には、通信を行なって地図をダウンロードしてくる。ちょっとメンドクサイし時間も掛かるし、と不便なようにも感じられるけれど、実は「常に最新の情報を利用してナビが使える」という大きなメリットがある。
一般的なスタンドアローンのカーナビだと年1回発売される更新用ディスクを使って書き換えとかの面倒な作業が必要で、さらに費用は数万円にもなってしまうため、なかなか更新できないって人が多いのでは? 一方、こちらは重要な地点情報は随時&地図は半年に1回程度更新され、費用も利用料に含まれると、とってもオトクな感じ。面倒な作業が必要ないのも嬉しい。
ただ注意したいのは、通信不可能な場所での振る舞い。通信可能な場所で情報を取得しておけば、キャッシュに貯まった分は参照できるけど、当然ながら新たに地図の書き換えやルート探索などは行なえない。まぁ、カーナビとして使う上では、それほど圏外となる場所で利用する必要はないだろうけど。
また説明が長くなってしまったが、最後にiPhone版とどこがどう変わったかというのも書いておこう。最大の違いはルート周辺の施設やスポットをピックアップする「ルート周辺検索」が実装されたこと。ドライブ中にガソリンスタンドやコンビニを探すなど、使用頻度が高い機能だけに実用度が大幅にアップしたのは間違いない。
さらにiPhone版レビューで不満点として挙げられていた、交差点の音声案内に対応したほか、UIの変更などによって使い勝手を向上するなど、後発らしく痒いところに手が届く改良が行なわれている。
またiPhone版では、基本メニューに追加オプションで交差点拡大やプローブ交通情報、VICS交通情報を加えていく構成となっていたけれど、Android版ではすべての機能を詰め込んだオールインワンパッケージとなった。若干構成が異なるのでストレートな比較はできないとはいえ、ほぼ同様の構成だと2400円(年額)となるiPhone版より、割安感がある設定となった。クルマで使うなら交差点拡大図は必須だし、プローブ交通情報も外せないってことを考えれば、結局ところトータルで安上がりになるこの変更は嬉しい限り、なのだ。
ルート案内時は交差点拡大図を画面右側に表示。さらに音声での案内も行なわれるなど、とてもわかりやすい。ただ、拡大図側に自車位置が表示されないのがちょっと残念 |
便利な周辺検索を搭載。これは現在地周辺での検索結果だけど、Android版ではルート周辺でも同様のことが行なえる。検索範囲は設定で200m、400m、700m、1km、2km、5km、10kmと変更できる |
空いている駐車場を検索できるのも通信機能を持つカーナビならでは | 徒歩モードも用意。表示そのものはクルマモード時と同じで、iPhone版のようなコンパス表示はない模様。ルートを探索した際には歩行距離や時間が表示されるのは便利 |
地図の縮尺は31段階も用意されており、もっとも詳細となる30mスケールだと歩道も幅をもって描かれるほどに詳しい。UTIS情報の表示は250mスケールまで |
内容は分かった、それじゃ実際どうなのよ? と聞かれれば「かなり満足できるデキ」と答えたい。今回はXperiaを使ってテストを行なったんだけど、ハードのパフォーマンスも手伝ってか、かなり快適に使うことができた。
すべての情報をサーバーから持ってくるという仕様上、レスポンスが気になるところだけど、ほぼストレスなく使える感じ。さすがにHDDやSSDなどを使ったナビにはかなわないものの、DVDナビとならよい勝負じゃないの? といったところ。長距離の地図スクロールとかをすれば、データのダウンロードに時間がかかるけれど、普通はそんなことをするシチュエーションは少ないはず。
そんなに便利なら専用機はもう不要か、といえばやっぱり不満もないわけじゃない。一番は自車位置精度で、据え置き型はもちろん、自律航法を搭載した最近のPNDにも劣ると言わざるを得ない。そのほかにもルート案内は、交差点拡大図を表示できるのはよいけれど、もう少し分かりやすさが欲しいところだし、各種検索データも鮮度は高いとはいえ探すことができる件数は少なめだし、と物足りなさを感じる部分は少なくない。
それでも、である。プローブ交通情報に代表される新鮮なネタをリアルタイムで手に入れられるメリットは大きく、大多数のナビ専用機に勝るポイントでもある。このテのアプリとしては価格設定が高く感じるかもしれないけれど、専用機を新たに購入するよりはずっと手軽。あれこれ考える前にまずは試してみるのをオススメしたい。
※価格やバージョンは執筆時のものです。購入時はAppStoreにてご確認ください。
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(安田 剛 )
2010年 8月 24日