L.A.クルマ三昧

夕方のサンタモニカストリートを走るG37コンバーチブル

 3週連続でパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムについてお届けしましたが、パイクスへは直行便がないため、ロサンゼルス経由でコロラドスプリングス空港に向かうことになりました。そこでせっかくの機会と思い、ちょっとだけ住んでいたこともあるロサンゼルスで、土日を過ごすことにしました。

 お気に入りのレストランで友人たちと久しぶりに会い、食べて、飲んで、喋りまくる。そしてドライブも楽しめたらいいなぁ~ということで、ブルーのインフィニティ「G37コンバーチブル」が私のドライブのお共をしてくれました。

 インフィニティG37コンバーチブルは日本の「スカイライン クーペ」のオープンモデルと言えば分かりやすいでしょうか。スタイリングの美しさは言うまでもなく、ハードトップのルーフを持つこのモデルは、クローズドの状態でもクーペスタイルを楽しめるところが魅力です。また、よく見るとフロントバンパー周辺のデザインが一新されており、その何とも言えぬ曲線具合がとてもエレガント。わずかな変更ながら、インフィニティブランドらしい上質さを感じさせてくれました。

G37コンバーチブルはカッチリとしたボディに引き締まった骨太感のある乗り味がとても好印象だった。想像ではもっと硬い乗り心地を想像していたが、路面の悪いハイウエイでも滑らか
ハードトップのルーフを閉じた状態はまるでクーペのような流麗なスタイル。1台で2台分のスタイルが楽しめるフルオートマチックで開閉できるルーフ。ルーフを閉じた状態なら、ラゲッジに大型のスーツケース1個が収まる

 エンジンはV型6気筒3.7リッター(325馬力)、そしてトランスミッションは……クルマをお借りする手続きを済ませ、スタッフの方に「サンキュー」なんてジャングリッシュ(ジャパニーズ・イングリッシュ=流暢な英語ではないという意味です)で軽く挨拶をし、スタートしようとシフトレバーを握ると、その感触は想像していたものと違い、よくよく足元を見るとクラッチがあるではありませんか。そう、6速MTだったのです。

 「アメリカと言えばAT」と決めつけていた私は、想定外のこの事態を“ヤル気(走る気)”に変え、ホテルに向かってサンディエゴフリーウエイ405を走りました。このとき、私のヤル気をさらに盛り上げてくれたのは、ショートストロークのシフトチェンジとステキなエンジンサウンド。シャキ、シャキ(シフトチェンジ)、ブオーン! てな感じです。

サンディエゴフリーウエイ405を北に向かう。反対車線はお約束とも言えるラッシュアワーの大渋滞

 反対車線はお約束のラッシュアワー大渋滞。「ヘイ、そこのアメリカ人たち~、みんな渋滞だからってヌルイATドライブしてるんじゃ~ないよ~、ふふっ」と私が言ったかどうかは想像にお任せしますが、久しぶりでL.A.を走った私も、ラッシュアワーの街中をオープンで走るのに照れもあり、ひとまずは屋根を閉めた状態でドライブするという軟弱者でした(笑)。

 オープンカーは、アメリカでも特に西海岸で人気が高いと言われていますが、それはホントです。ロサンゼルスでは、頻繁にオープンカーを見かけることができます。雨の少ないLAの気候を楽しむなら、オープンカーがオシャレでピッタリ! 今回も6月下旬のロサンゼルスの陽射しはまばゆいばかり。しかし湿度は低く、日陰に入れば涼しく、肌寒いとさえ思えるほどです。

街で見かけたオープンカー、BMW 3シリーズのカブリオレ。欧州車はアウディやメルセデス、ジャガーやベントレーなど様々な大小のコンバーチブルを、探さずとも見かけることができたポンティアック「ソルスティス」? そのお隣はランボルギーニ「ガヤルド・スパイダー」マスタングや写真のようなカマロなど、アメリカ車はわざわざご紹介するまでもなく、コンバーチブルも人気
旧いレッドのコルベットの存在感は新しいモデルに負けてなかったMINI カブリオレビバリーヒルズの地下駐車場で見かけた、ユニークなMINIのオープン

 梅雨時期の日本を脱出した1人のアジア人が、このお天気と青い空、オープンカーに乗りながら道行くオープンカーオーナーたちに出会ってウキウキしてしまう気持ち、分かっていただけるでしょうか。

 さらに私を興奮させてくれたのが日曜日。セールが始まっていたL.A.でジーンズでも買おうとサンタモニカに向かうつもりが、急遽ビバリーヒルズへ目的地を変更。「ビバリーヒルズってセレブのお買いものご用達エリアじゃないか」と思われるかもしれませんが、この日ばかりはブランドストリートがビンテージカーストリートに変わっていたのです。その名も「ビバリーヒルズ・コンクールデレガンス」。

 今年は「The Art of Italian Motoring」と題し、100台のイタリアン・ヴィンテージカーと、14台14色のフィアット「500」が展示されていました。新しいクルマはもちろんですが、旧いクルマも大好物の私としては、目についたクルマをひたすらカメラにおさめる始末です。カラフルなフィアット500も可愛く、人気者でした。

ビバリーヒルズ・コンクールデレガンスがイタリア車をフィーチャーしたのは、今年イタリア統一150周年を迎えたことを記念する意味もあった色とりどり14色のフィアット500は大人から子供まで大人気最も多く展示されていたのはフェラーリだったようだ
高級ブランドストリートはご覧のとおりとにかく人、人、人……歩くのも大変なほどで写真を撮るのはもっと大変だった

 ただでさえ華やかなストリートが、色とりどりのイタリア車で埋め尽くされた1日。この季節は毎週末、どこかでのビーチや街で小さなヴィンテージカーショーが行われているのですが、たいていはアメリカ車が中心です。私としては、そんなショーでも訪れたいと考えていたのですが、願わずして沢山の貴重なイタリアン・ヴィンテージカーを愛でることができ、ラッキー&ハッピー!

 結果的にはインフィニティG37コンバーチブルでドライブを楽しみ、ビバリーヒルズのヴィンテージカーショーを汗だくになりながら(ガツガツ歩けば汗も出ます)歩きたおした2日間。夜の会食ももちろん楽しみましたが、何だかんだ言ってクルマ三昧になってしまったL.A.滞在なのでした。んまあ、私らしいのかな……。

クルマばかりでもさみしいので……サンビセンテ通り(ブレントウッド)にある「TAKAO」という和食レストランは、オーナーのTAKAOさんがカリフォルニアワイン好きで、美味しいお食事とワインが楽しめるサンビセント通りと交差するバーリントン通りにある「Sor Tino」(ソルティーノ)というイタリアンレストランは、前菜からパスタ、お肉料理もヴォーノ!「ソルティー」のオーナー、Agoさんはウエストハリウッドでも有名な「Ago」というイタリアンをロバート・デニーロと共同経営している。ちなみに、このスケベそうなおじさんがそんな方だと知ったのは、通い始めてからかなり後のこと。いつもこのお店の隅でお友達とワインを飲んでいたのだが、お店の雰囲気もAgoさんも相変わらずだったのがちょっとうれしかった

飯田裕子のCar Life Diary バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/cld/

(飯田裕子 )
2011年 7月 14日