女性をキレイにする効果のあるクルマ?~アルファロメオ「ジュリエッタ」

デザイン性の高さや個性、走りやパッケージングのバランスのとれたジュリエッタ。価格も国内や欧州のライバル車たちを意識

 先日、アルファロメオ「ジュリエッタ」を試乗しました。エクステリアは「8C」や「ミト」と同じ流れを汲み、スポーティーという言葉だけでは表現しきれない、見る者を引き付ける魅力的なデザインを与えられ、人間に例えるなら父母ともに美男/美女のもとで生まれた、イケてるDNAを受け継ぐ羨ましい子供のようです。

 一方、インテリアはメーターまわりのデザインが強調されているものの、センターパネル上には必要十分と思われる小ぶりなスイッチ類が並ぶだけの、比較的シンプルな印象を受けます。そんなインテリアでも、スイッチやシートのデザインが凝っていたり、クロームの使い方にも嫌味がなく質感が保たれており、好感が持てます。

 というのが、ジュリエッタの表面的な印象です。

 数十分間の試乗では乗り心地や軽量にこだわったクルマ造りが生む軽快なドライブフィール、ハンドリングなどを「ふむふむ……」と確認。と同時に、ふとした瞬間に「ん?」と、何だか不思議な空気というかムードに包まれているような気がしていたのです。「何だろう、キレイ(美人)効果が上がっていくようなこの感覚は……」と。それは高級感とかスポーティーさとか、人それぞれに尺度や解釈は微妙に異なるものの、明確な感覚から導き出されるものではない“何か”が作用している感じ。

 ジュリエッタのボディサイズは4,300×1,800×1,460mm(全長×全幅×全高)。これはフォルクスワーゲン「ゴルフ」やプジョー「308」、シトロエン「C4」、ルノー「メガーヌ」など欧州のCセグメントに属します。このあたりは日本でも親しみやすく扱いやすいモデルとして、どれもおすすめです。そしてそれぞれの室内にはムードがあり、同時に気分をアゲる効果のあるクルマもあればよい意味でないクルマもあります。そんな中でこのジュリエッタには前述したようなムードを感じたのです。

 それはまるで大好きな男性とデートをしているときのような、高揚感にも似た感覚。女性は恋をするとキレイになるとよく言われます。それは女性が恋をすると「エストロゲン」というホルモンが分泌されるからなのだとか。このエストロゲンには体型を魅力的に変化させたり、お肌にハリやツヤ、髪の毛をも艶やかにする効果があるのだそうです。つまり、私がジュリエッタをガツガツと試乗している間にも、私はエストロゲンを分泌していたのではないか……、と。

 近年のクルマではアロマディフューザーを用意したものも増えており、それらを購入すれば運転中の癒しやリフレッシュ効果を得ることもできます。またトヨタのパッソではお肌の潤い=美肌効果や美髪効果のある「ナノイードライブシャワー」をオプションに採用。ドライブシャワーが他メーカーのクルマにも装着できないか、と私に聞いてきた女友達がいるほど、女性には魅力的な装備です。そういうプラスαのアイテムを使わずして、女性がキレイになるような気分にさせてくれるジュリエッタは凄い。

 試乗会ではスタンダードモデルの「スプリント」、スポーティな「コンペティツィオーネ」、もっとスポーティな「クアドリフォリオ ヴェルデ」の3モデルを試乗しました。乗り味やインテリアが創り出す雰囲気はそれぞれ異なるものの、エストロゲンの分泌を促すようなアロマ的な効果は変わりません。

 そこで私が導き出した結果。不思議なアロマ的効果は、ステアリングの中央に配されたアルファロメオのバッヂ(エンブレム)から発生しているのではないか、と。エンブレムの由来の説明は省きますが、このようにカラフルでデザイン的な魅力を感じる人が多いのがアルファロメオのバッヂです。

見方によっては質感も十分な“単なる”スポーティなインテリアという印象を受けるかもしれないのですが、私が両手でステアリングを握るその中央のバッヂがいつになく気になり、「例のアロマはココから出てるにちがいない」と推察していたのでしたステアリング中央のバッヂ。右半分の少年を銜えた大蛇はミラノのビスコンティ家の紋章。ビスコンティ家は美男美女ぞろいだったのかも?

 私の周囲の大人の女性たちはアルファロメオの色気を感じさせるデザインや「盾」型グリル、そしてアルファロメオのバッヂまでも好きだと言います。ジュリエッタが受け継いできたのは魅力的なデザインのみならず……ということになるのでしょうか。穿った見方をすれば、仮にインテリアが少々ショボくても、バッヂが全体の印象を高めることも可能かもしれません。お洋服のアクセサリーみたいな感覚とも言えるでしょう。

 大好きなクルマの、とりわけ室内の居心地に好感を抱けば、どんなクルマであってもそのムードが“イイ女”効果を上げてくれると私は信じていますが、色気混じりのアロマを発すると感じたのはこのジュリエッタだったのです。単にバッヂの効果であればアルファ ロメオの他モデルでも同じ感覚が得られるのかもしれませんが、それは改めて今後、試してみたいところです。

 いずれにしても今回は根拠のない話なのですが、少なくともジュリエッタのデザイン面ではスポーティーでありながら女性の大好物な言葉“イロ”“ツヤ”“ハリ”を備えたクルマであるのは間違いありませんから、それだけでも女性におすすめする価値はあるでしょう。

 ちなみに、男性にとっても恋は男っぷりを上げる効果があるようです。「テストステロン」というホルモンが分泌され、骨格を強化し、筋肉増強にも作用するのだとか。それがジュリエッタなのか、それとも他のどんなクルマがテストステロン分泌効果を高めるのかはわかりません。「アドレナリンが分泌されるクルマならすぐに思い出せるんだけどな……」。男性からはそんなつぶやきが聞こえてきそうです。

ジュリエッタのインテリアにはアルファ ロメオのエンブレムがいっぱい

飯田裕子のCar Life Diary バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/cld/

(飯田裕子 )
2012年 1月 13日