飯田裕子のCar Life Diary
2年に1度の「東京モーターショー」が開幕中!
(2013/11/29 17:58)
2年に一度の「東京モーターショー」が東京ビッグサイトで12月1日まで開催されています。そこで、今回は会場に行けないという方のために、かなり個人的なショーの印象を紹介したいと思います。
日本で開催されるもっとも大きなモーターショーが東京モーターショーであることは今さら説明するまでもないことかもしれませんが、今後の私たちのクルマ生活やクルマを含む道路や街の風景、環境を想像するきっかけを作るのに適した場所であることは間違いないでしょう。夢を抱けるかどうかはさておき、理想と現実の両方をうかがい知ることのできる場所。
東京ビッグサイトでモーターショーが開催されるのはこれで2回目。幕張メッセに比べ会場スペースは狭いですが、出展台数は前回の402台から426台に増え、イタリアやアメリカビッグ3系の出展がないのは残念ながら、オーストリアのKTMやアメリカのテスラなどもやってきてくれました。ワールドプレミア(世界初公開)も53台から76台に増え、注目のモデルをいち早く見ることができるのは嬉しい。また、前回の総来場者数は10日で84万人でしたが、今年はすでに平日でも7万人~8万人弱が訪れていることもあり、前回を超えるのは間違いなさそうです。というわけで、平日もかなり混み合っている会場ですが、この数日も会場に通っている私が見た感じでは17時以降くらいになるとグッと空いてきて、見学しやすくなっています。
では早速会場に目を移してみましょう。東と西に分かれ、東館は通路を挟んで6ホールあり、片側3ホールをイッキに見られるという具合になっています。各展示車の紹介はすでに色々なところで紹介されていると思いますので、本当に独断かつソコソコちゃんと見ることができた展示車や技術、写真が撮れたものを紹介していきます。
トヨタはステージ上に「FT86オープンコンセプト」と「JPNタクシーコンセプト」、そして2015年から市販化を決めている燃料電池車「FCVコンセプト」などを展示。フロアには、来年早々にフルモデルチェンジを行うミニバン「ヴォクシー」「ノア」のコンセプトモデルが先行展示されています。
個人的にはFCVコンセプトに注目。10月に開発中のFCVの試乗をさせていただいたのですが、そのスムーズさや瞬発力を含む仕上がり具合に驚くとともに、「こんなカタチで売られることになったら、プリウスが初登場したときのように新しいクルマと対面できる感が増すだろうなぁ、でもトヨタだからもう少し控えめになってしまうかも……?」などと考えながらジーーーーッと見ていました。
JPNタクシーは「こんなタクシーがあったらいろんな意味でよいでしょう?」と、担当された方と立ち話をしていたのですが、確かに低床フロアは乗降性に優れているし、足下も広く天井も高く、ミニバン系のタクシーよりも上質。駅前のタクシー乗り場でJPタクシーを見つけたら、コレに乗れるまで後ろの方に順番を譲ってもいいと思えそうです。余談ですがドライバーの写真がトヨタ社長の豊田章男さんだったのに苦笑……。トヨタでは社長をそんなに登場させたいのかと思ったら、「社長の子供のころの夢がタクシーの運転手さんだったそうなんです」ですって。
会場を歩いている中で華やかさが感じられたのは、フォルクスワーゲン連合と言ったら失礼かもしれませんが、ポルシェ、フォルクスワーゲン、アウディの一角。展示ブース的にはボルボと日産自動車、ダイハツ工業も2階を作って見やすくして下さっていました。欧州メーカーは世界中のショーを同一のコンセプトでデザインしていて、その規模は国によりさまざまですが、日本でもその雰囲気を味わえるのはステキだなぁと思います。
裏話をすると、近年、日本のモーターショーに対し本社扱いでブースを構えることができないメーカーもあるわけで……。例えばボルボは今回、ウッディでガラス張りのいかにもスカンジナビアンテイストな建物を構えています。テーブルやソファーなどもしかり。ですが、ここまでの仕立てにするために日本法人が本国に交渉してサポートをお願いしているという環境にあるようです。今後、日本のショールームではこのようなテイストを取り入れたデザインに変わっていくのだとか。そんなことを想像しながら、展示車とともにボルボブースを歩いてみると楽しくなりそうですよ。
日産ブースの周辺はいいニオイがします。それは日産がパフュームを発しているからなんです。今年は「GT-R」のマイナーチェンジが大きな話題になっているからか、スポーティな印象が強い。ステージ上の「ID-x」しかり、GT-Rが展示されている上階へと繋がるスロープの片側には長いショーケースがあり、日産の歴史をミニカーと一緒に見ることなどができます。ただし、大混雑時にはそのために人の流れが滞ってしまうため、ゆっくり見るのは難しいかもしれません。上階のGT-Rはベースモデルの2014年モデル(カラーは新色の「ゴールドフレークレッドパール」)で、シートに座ることもできるそうです。
ちなみに、11月30日10時30分から、ステージでパフォーマンストークライブが開催されます。会場では開発指揮をとられた田村さん、ニュルで最速タイムを叩き出したミハエル・クルム選手、近藤真彦監督がやってきてGT-Rトークを行います。私が司会を務めさせていただきますので、よろしければお越しくださいませ。
ルノーのブースは人生と恋がテーマ「The Cycle of Life」。男女が恋に落ちている“LOVE”な状況を中央のコンセプトカー「Dezir(デジール)」が表現しています。例えば、ボディーサイドのボツボツは鳥肌が立つような想いを表現しているそうで、それぞれの内外デザイン、ディテールに意味を持たせているそうです。そしてそんな2人が世界を冒険するためのクルマが「Captur(キャプチャー)」。家族を持ちファミリーが楽しい生活をクリエイトするモデルの例えが「カングー」。やがて子供が育ち、また夫婦2人がドライビングを楽しむときには「ルーテシア RS」、なんていう感じでした。
“スペシャリティカー”という言葉は最近使われませんかね。会場を見てまわり強く印象に残るのはクーペスタイルやオープンモデル。「やっぱり美しいクルマはイイね!」と思うのは乙女心からでしょうか。
ダウンサイジング傾向を強く感じさせてくれるのは、コンパクトクロスオーバー系モデル。ホンダ「VEZEL(ヴェゼル)」や、写真はないけれどフォルクスワーゲンでは「クロスup!」が登場し、BMWは「Concept Active Tourer Outdoor」というFFのプラグインハイブリッドを展示。ルノーは来年から日本でも発売を開始する「キャプチャー」、プジョーも「2008」を来年日本導入します。
元々スモールカーメーカーとして生業をされているスズキでは、「ハスラー」を12月24日に発売することが決まっていますが、ステージ上の2モデルに特に目が向きました。その1つ「クロスハイカー」は前回の「レジーナ」のクロスオーバー版と言えそうで、個人的に「レジーナ」の市販化を待望している手前、今回のコンセプトカーにも自然と注目してしまう次第です。ボディーや動力系にエコ技術を集めた1台となっており、販売を実現させるためには諸々の事情がまとまらなければムリなのかもしれませんが、軽自動車にも夢や楽しさを抱けるように、日本の道路を楽しくするためにも事情はどうあれ、ユニークな軽自動車の登場を待ちたい、そんな気持ちが強くなるモデルでした(クロスハイカーは1.0リッターカーですが)。
最後に、こうして見ると今年は赤いクルマが多かったように思いますが、気のせいなのか、はたまた経済状況のせいか……? 筆者にとって後者はあまり実感がありませんが、モーターショーが華やかに開催されたことは実感しています。まだ訪れていない方はこの週末がラストチャンスです!