【連載】橋本洋平の「GAZOO Racing 86/BRZ Race」奮闘記
第14回:装いを新たにクラブマンシリーズに参戦! 初戦の結果はなんと……
(2015/4/24 00:00)
今年はクラブマンシリーズに参戦します
ナンバー付きレースカーの「86 Racing」を購入しておよそ2年。これまで2万5000kmを走破し、GAZOO Racing 86/BRZ Raceに14戦も参加することができた。まずはこれまでにご協力いただいたすべての方々、そしてこの連載をご覧いただいた方々へ御礼を言いたいと思います。これまで本当にありがとうございました。おかげさまで40歳を迎えたオッサンアマチュアドライバーは、かなり充実した人生を送ることができました!
まるで引退宣言かのような書き出しだが、実は2014年末の時点ではレースを辞めるつもりだった。GAZOO Racing 86/BRZ Raceは皆さんもご存じの通り、多くのプロドライバーが本気の体制で参戦し、上位争いを展開している。与えられるクルマは積載車移動が当たり前であり、ナンバー付きレースカーとはいえ、公道を走っている上位車両はほぼ存在しない。まさにプロのレースをやっているのが現状だ。
対してコチラはといえば、ローン回数がまだ60回(84回からスタートだからかなり減りましたが)あるクルマを自走で運んでレースに参戦する体制。2014年のオートポリス大会では往復で3300kmも走るほどの辛い状況にあった。プロに少しでも近づきたいという思いでやってきたものの、現実はかなり厳しく、この体制では土台無理な話ではないかと意気消沈してしまったのだ。
だが、今年のGAZOO Racing 86/BRZ Raceは昨年のレギュレーションとは打って変わり、プロフェッショナルシリーズとクラブマンシリーズに分けて行われると発表されたことで、レースに対する思いが再燃したのだ。
プロフェッショナルシリーズは、主催者からプロドライバー認定された人のほかに、アマチュアドライバーでもプロにトライした人であれば参戦OK。タイヤは昨年と同じく、タイヤメーカーがGAZOO Racing 86/BRZ Race用に開発したタイヤを用いることが可能になり、さらにTRD(トヨタテクノクラフト)製の機械式LSDを取り付けることも許されたことがポイントだ。また、プロドライバーが参戦するに相応しい賞金設定(優勝30万円、シリーズ賞金300万円)になったこともトピックの1つ。対してエントリーフィーが4万3000円から6万5000円に引き上げられている。
クラブマンシリーズは、主催者からプロドライバー認定された人以外が参加できるレース。タイヤはいわゆる市販ラジアルのみが使用可能。LSDについても純正のトルセンLSDを装着することしか許されていない。すなわち、クルマは昨年と同じで、タイヤのみを市販ラジアルにすれば即座に参戦することができるのだ。
自分に合っているレースはどちらか? それは言わずもがなクラブマンシリーズだと直感した。昨年、一度入賞したことはあるものの、シリーズポイントで上位に行くこともなく、その甲斐あって(?)プロドライバー認定されることもなかったおかげでクラブマンシリーズへの参戦も可能になったワタクシ。機械式LSDを購入する必要もなく、さらにはリーズナブルな価格でレースをできるとなれば、クラブマンシリーズに参戦する方が自然だと考えた。
さらに、初年度から愛用しているブリヂストンタイヤが、「POTENZA RE-71R」をリリースしたこともクラブマンシリーズへの思いを後押ししてくれたのだ。そのタイヤについては関連記事をご覧いただきたいが、筑波サーキットを走った感触で「これならイケる!」という感触があったからこそ、再びレースに出たいと素直に思えたのだ。
●ブリヂストン、POTENZA史上最速のストリートラジアル「RE-71R」説明&試乗会(後編)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/review/20141217_680628.html
このRE-71Rの評判は瞬く間に広まり、実際にはクラブマンシリーズの9割以上がこのタイヤを装着することになってしまった。つまり、タイヤによる優位性はない。ワンメイク状態に近くなってしまったのだ。これは嬉しいやら悲しいやら……。あとは己の腕を信じるのみ!
ドライビングポジションの重要性を再確認
こうして参戦することを決めたからには車両のリフレッシュである。昨年の最終戦でヒットしてしまった部分を板金するとともに、カラーリングを一新させることに。さらに使い古したトルセンLSDを、未使用に近いというものをネットオークションで購入して交換。ブレーキはキャリパーを新品にした。本当なら足まわりやエンジン、さらにはトランスミッションなどもリフレッシュしたいところだが、予算の関係でそれは見送りに……。
ただ、自分でも手が届きそうなところは改善しようと思った。それはドライビングポジションが低すぎたことの改善である。現在レカロシートを使っているのだが、レールについては他社の超ローポジションレールを使っていたため、ほかのどのクルマよりも低い位置に座ることを可能にしていた。はじめはそれがレーシーだと喜んでいたが、実際のところはコーナーのイン側が見えず、攻めきれなかったところがしばしば。
これではいけないと、レカロに精通しているASM横浜(http://autobacs-asm.com/)の門を叩き、相談してみることにした。すると、店長の金山さんから「現在装着されているレカロのTS-Gは、シート自体が低いアイポイントになる形状になっているため、それにこのレールを合わせたのであれば低すぎて当然です」というお言葉が。そこでレカロ純正のシートレールに変更し、アイポイントを少し引き上げることに成功。サーキットで程よいアイポイントが得られるようになった。シートとレールの組み合わせはかなり大切だということを思い知ったのでありました。
初のクラブマンシリーズ参戦、その結果は……?
こうしてプチリフレッシュが完了した我が愛車を開幕戦が行われるツインリンクもてぎで走らせると、昨年とは打って変って乗りやすくなったことが印象的だ。ドライビングポジションが改善されたことにより、クルマを自分の支配下における感覚が高まり、クルマが小さく感じるのだ。
タイヤについても昨年まで使っていた「POTENZA RE-11A 4.0」とは異なり、限界域が探りやすい感覚がGOOD! もちろん昨年よりも限界は落ちてはいるものの、昨年の序盤に使用していた「POTENZA RE-11A 3.0」よりも好タイムをマークしている。RE-71Rは3.0と4.0の中間くらいのポテンシャルと言えばいいのかもしれない。ただ、タイムを出すにはかなり繊細に乗らなければタイムが出ない。限界の一番おいしいところをなぞるように丁寧に扱ってはじめてタイムが出るような感覚なのだ。ちょっと乱暴なアマチュアドライバーを矯正するにはよいタイヤかも、そんなことを思わせるRE-71Rだった。
こうして気をよくしながら走っていると、練習走行中に2番手のタイムを記録することに成功! これなら優勝だって夢じゃない。
だが、しかし、けれども、である。予選ではタイヤが暖まり、内圧も狙ったところに行ったであろう周回で、なんと前走車に引っ掛かってしまったのだ。遥か前方を走っていたからアタックに入ったのだが、その車両、実は今回がレース初参戦の方がドライブする車両だったらしく、みるみるうちに追いついてしまったのだ。トップから最後尾まで10秒も開きがあるこのクラブマンシリーズには、あらゆるドライバーがいる。だからこそ、より慎重なアタックラップが必要だったということだ。いずれにしても自らのミス。これで予選は7番手になってしまった。
しかし、そのミスがなかったとしても上位を獲得できていたかは疑問だ。ポールポジションタイムは自分では見たこともないタイムだったし、自己ベストタイムでも3番手がやっと。クラブマンシリーズだからといって、そう簡単にトップには立てない。上位選手はかなりテストを繰り返し、プロドライバーの指導やロガーでの解析、さらにはタイヤの一番オイシイところを使えるようにタイヤを減らしてきているところがあるほど。クラブマンシリーズとはいっても内容はかなりシビアだ。
ちなみにプロフェッショナルシリーズではトップと最後尾の差があまりなく、アタックラップ中に引っ掛かるようなことはなかったと聞く。参戦しているドライバーの何人かにお話しを伺ったが、昨年よりも予選がしやすくなったことを喜んでいる人が多かった。
こうして4列目スタートとなった決勝。だが、練習時のタイムもあるし、あとは上を目指すだけだと奮起して挑むことに。だが、しかし、けれども……。スタート直後の2コーナー脱出時に前を走るクルマがスピン! その脇をすり抜けたが、スピンしたクルマのテールと僕のクルマのテールがヒットしてしまい、バンパーが外れかけてしまった。付いているのは左側のピン1つという状況で、バンパーを引きずりながら1周を走ることに。すると我が車両にオレンジボールという旗が提示されてしまった。ピットインして修復せよという合図である。ヒットした時にアライメントもずれ、ステアリングセンターが狂っていたこともあり、その場でリタイアすることを選択した。
これはかなり残念な結末。しかし、これもまたレースだと受け止め、次戦でのリベンジを誓い、サーキットを後にした。次戦岡山では何としても好成績を収められるように頑張ってきますので、今年もまた応援よろしくお願いいたします!
2015年度開催日程
Rd. | 日程 | 開催地 | サーキット |
---|---|---|---|
Rd.1 | 3月28日~29日 | 栃木県 | ツインリンクもてぎ |
Rd.2 | 4月25日~26日 | 岡山県 | 岡山国際サーキット |
Rd.3 | 6月6日~7日 | 静岡県 | 富士スピードウェイ |
Rd.4 | 7月11日~12日 | 宮城県 | スポーツランドSUGO |
Rd.5 | 8月1日~2日 | 大分県 | オートポリス |
Rd.6 | 8月23日 | 北海道 | 十勝スピードウェイ |
Rd.7 | 9月26日~27日 | 静岡県 | 富士スピードウェイ |
Rd.8 | 11月7日~8日 | 三重県 | 鈴鹿サーキット |
特別戦 | 未定 | 未定 | 未定 |