【第1回】水郷佐原でうなぎですの、の巻


 9月某日。東関東自動車道を東へと走るゆきぴゅーとエイミーの姿がありました。

「エイミー、それにしてもなんで車のサイトの仕事なんか持ってくるんですの?わたくし車には全然興味ないですのよ」
「まぁいいじゃないですか」
「それにこれには絶対に何か裏があると思うんですの」
「え、何がですか?」
「だってこのご時世、毎回いい車に乗って美味しいもの食べられるだなんてそんなオイシイ仕事あるわけないですもの。きっとあの見るからに怪しい風体だった副編集長の陰謀かなにか(ブツブツ)……」
「考えすぎですよ、ゆきぴゅーさん。さぁ馬鹿なこと言ってないで張り切っていきましょー!」

 というわけで、本当にオイシイ話なのかどうなのかまだわかりませんが、これからわたくしゆきぴゅーとカメラマン・エイミーが、隔週で日帰りグルメ情報をお伝えしていくことになりましたのでどうぞよろしくお願いします。

「で、今日はどこへ何を食べに行くんでしたっけ?」
「佐原にうなぎを食べに行きます」
「えっ?サハラって、サハラ砂漠?」
「何言ってるんですか!サハラじゃないですよ、さ、わ、ら」
「何県ですの?」
「千葉県香取市です」
「で、この車は何ていうんですの?」
「スカイライン・クロスオーバーですっ!っていうかゆきぴゅーさん、それ先日の打ち合わせの席でちゃんとお話してますよ。大丈夫ですか?写真は私が撮りますから、ちゃんとグルメレポートして下さいね」

うなぎ割烹山田

 そうこう言っているうちに、渋滞もなく順調なドライブのおかげであっという間に今回の目的地「うなぎ割烹山田」に到着ですの。

「まだ開店前の10時半だっていうのにもう並んでいる人が2人いますわよ」
「こちらのお店は人気店ですからね。早めに出てきてよかったですね」

 そんなわけで開店と同時に席につくことができたふたり。ゆきぴゅーは「じか重」、エイミーは「うな重」をそれぞれ注文し、今か今かと待ちます。この“待つ時間”っていうのがある意味うなぎ屋さんの醍醐味ですわよね。そして、もう我慢の限界ですわ~という頃運ばれてきた蒲焼きのなんと香ばしい香り!あぁたまらないですわー。

「さぁ、それでは」
「いっただきま~す!!!」

 まずはそのやわらかそうな身をすくって一口。う、うま~!炭火で程よく焼かれた表面とは対照的に、身はふっくらで厚みがあってなんとも贅沢な食感!少し濃いめのタレも絶妙でご飯との相性ばっちりですの。うなぎもさることながら白飯のおいしさにも感動してしまいましたわ。後でお店の人に聞くと、やはりお米にはかなりこだわっていらっしゃるそうで「うなぎ屋はお米が美味しくなくちゃね」と“こしひかり”だけを使用とのこと。

「久々にちゃんとしたうなぎを食べてるって感じです、私」
「同感ですわ~、今はおなかいっぱいだけど数日したら思い出してまた食べたくなりそうな味ですわね。あぁ全部食べちゃうのがもったいない」

 と、こうして絶品うなぎを満喫したふたりだったのでした。

「串打ち3年、裂き8年、焼きは一生」という格言がうなぎの世界。お店の裏口にいらっしゃった板前さんにこんな貴重な串打ちの状態を見せていただきましたじか重。ご飯の上にじかに蒲焼きが乗っているので“じか重”。お店の人曰く「お客様の9割がこちらを注文されますね」とのこと
山田では、ご飯と蒲焼が別々に出てくるこちらが“うな重”ですどんぶりタイプのうな丼もあります。いずれもお吸い物・お新香付き

 

 お腹をポンポンたたきながらお店を出たところでエイミーが、

「せっかく来たんですから佐原の街を歩いてみましょうよ、ゆきぴゅーさん」
「そうですわね、少し腹ごなしが必要ですわ」

 水郷佐原は江戸時代から利根川の水運によって栄えた商業都市。街を流れる小野川沿いには、土蔵造りの商家が立ち並んでいて江戸情緒たっぷりの人気エリアなんですの。土蔵を改装したレストランや老舗のお蕎麦屋さんなど、まだまだグルメスポットはありそうです。都心からも日帰りドライブにはちょうどいい距離の「北総の小江戸・佐原」にこの秋ぜひとも訪れてみてはいかがでしょうか。

そもそもなぜ佐原がうなぎで有名なのかというと……かつて佐原は利根川の水運で栄えた街。その利根川といえば四国の四万十川や吉野川と並んで天然ウナギの一大産地なのです明治13年に建てられたという正文堂書店は千葉県の有形文化財(現在営業はしていません)こちらは佐原名物?すずめ焼き。といってもすずめではなく鮒!開いて焼いた姿がすずめに似ているからなんだそうです

「ねぇ、エイミー。わたくし今日うなぎを食べて分かりましたわ」
「なにがですか?」
「やっぱりこんなオイシイ話あるわけありませんわ、ゲップ……」

佐原までのドライブルート
都内→東関東自動車道 佐原香取ICまで約1時間半。佐原香取ICを降りて佐原の中心部までは約4kmで10分程。

行ったお店
「うなぎ割烹山田」
300年の伝統を誇る老舗で、紀州備長炭での炭火焼とコクのあるタレが特徴の人気店。1階は手軽な食堂スタイル、2階は宴会・お祝い席などで利用できる広間や個室タイプになっていてこちらは予約が必要。

千葉県香取市佐原イ457
電話:0478-52-4375
定休日:月曜日(ただし祝日の場合は翌日)
営業時間:11:00~15:00、16:30~20:00
駐車場有


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このクルマでドライブしました!

日産 スカイライン・クロスオーバー

スカイラインのスポーティーな走りとスタイルはそのまま、SUVの走破性と使い勝手、ついでに迫力まで身につけてしまった欲張りなクルマ。「東関道は弟子時代に成田まで師匠をお迎えに何度も走ったけど、こんなにいい道だったかしらと思うくらい、乗り心地もいいんですの」(ゆきぴゅー)。「天は二物を与えず、という言葉は、才能にも美貌にも恵まれたこの私と、スカイライン・クロスオーバーには当てはまりませんね」(エイミー)。

プロフィール

ゆきぴゅー(ゆきぴゅーおふぃしゃるほーむぺえじ
イラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”。長野でフツーのOLをしていたが何の因果か鬼畜デジカメライターの弟子(奴隷)となり2000年に上京。日々の過酷でセクハラな毎日を絵日記で綴っているうちに絵の道に目覚め、ついに2005年独立。以降あちこちでタダでごはんを食べながらポンチ絵画家としてのお気楽な人生を歩んでいる。


エイミー
女性カメラマン。カメラマンとして名を馳せるべくボスニアに戦場カメラマンとして渡るも、行った早々流れ弾に当たってしまいあえなく帰国。日本で消沈の日々を送っていたある日、インターネットでゆきぴゅーの存在を知り、そのあまりにもお気楽でテキトーな人生を歩む姿に一種の憧れを抱くようになっていった。そしてついにある日、1通のメールをゆきぴゅーのもとに送ったのだった。「一緒にお仕事しませんか?」


(ゆきぴゅー)
2009年 11月 11日