【第43回】長野県中信地方の郷土料理、山賊焼きにかぶりつくですの、の巻 |
残暑を乗り切るにはコレ!松本・塩尻地方の郷土料理「山賊焼き」をご紹介~! |
ゆきぴゅーの故郷でもある長野県は、縦に長い地形が特徴。よって同じ県内でも北と南では気候や食文化、言葉などだいぶ違っていますの。例えば「海」と言えば、北(北信地方)の人は日本海を思い浮かべますが、南(南信地方)では太平洋のほうがなじみ深いといった具合です。
今回ご紹介する山賊(さんぞく)焼きは、中信地方で昔から親しまれている郷土料理で、特に松本や塩尻周辺では、スーパーのお惣菜コーナーで売られていたり、給食で出たりするくらい馴染みのある食べ物らしいのです。が、北信地方の長野市出身であるゆきぴゅーは今の今までその存在すら知りませんでした。
「へぇ~、ゆきぴゅーさんは山賊焼きを食べたことなかったんですか」
「だって長野市には無いんですもの! 私としたことが……これじゃグルメ隊長失格ですわっ」
「そ、そんな大袈裟な……」
その未知なる郷土料理を食べるべく、新型パサートで向かった先は、松本市浅間温泉にある昭和37年創業の「山賊焼き 河昌」。ご主人の市川さんとその奥様、そして息子さんという家族経営のお店です。
そもそも山賊焼きは、鶏のもも肉やむね肉を、ニンニクを効かせた醤油ベースのタレに漬け込んで、片栗粉や小麦粉をまぶして油で揚げたもの、なんだそうです。それって竜田揚げでは? と思うのですが、山賊焼きの大きな特徴は、半身ほどの大きな切身を豪快に揚げてあるってこと。どんなものが出てくるか楽しみですわ~!
というわけで、その日グルメ隊は山賊焼き定食(手羽)と単品の山賊焼き(もも)、山賊ラー油丼と、さらに夏限定メニューの山賊冷やし中華を注文。どう考えても3、4人分ありそうですが、まぁいっか。そして待つこと10分、山賊焼きとのご対面ですの~!
「うわ~!ホント、すごいボリュームですわね。ではさっそく揚げたてをいただきまーす(ハフハフッ)」
聞いた話によるとこの山賊焼き、お店によってはただ大きいだけで大味だったりするところがあるそうですが河昌のは違いますの。秘伝のタレに2日間じっくりと漬け込んだという鶏肉には、しっかり下味がついていて、ジューシーでおいしい~!
「衣がさくさくしているのがいいですね。やっぱり揚げたてが一番!」
最初はお行儀よくお箸を使っていたふたりでしたが、いつの間にか手でつかんでかじりつき、口の周りをテカテカにしながら豪快に食べていましたの。
揚げものをこれだけ食べたというのに全く胃もたれがしなかったのは、たっぷりかけたレモンのおかげか、はたまた付け合せのキャベツのおかげか? 兎にも角にも思い出すとまた食べたくなってしまう、ある意味キケンな食べ物、それが山賊焼きなのでありました。
ご主人曰く、河昌では上田市武石産(旧:武石村)の鶏肉を丸ごと仕入れているんだとか。それもそのはず、他のメニューを見ると、山賊ラーメン、鳥ささみ定食、鳥刺身定食、山賊茶漬け、山賊野菜トマト煮など、山賊焼きの他にも色々なとり料理があるんですの。浅間温泉に素泊まりで来たお客さんが、お夕飯を食べに来たりもするそうです。
お昼どきを回った店内には、続々とお客さんが来店。「定食、手羽ね。」とだけ言ってカウンターに座り、さっと食べてさっと出ていく常連風のおじさんや、お子さん連れのファミリー、県外ナンバーの車も見られました。
そうそう、メニューに「クリスマス、家族のお祝いごと、お子様の誕生日に、名物山賊焼きのお土産をどうぞ」なんてことが書いてあって、地元の人がうらやましいなぁと思いましたわ。きっと「今日はお祝いだから河昌の山賊買ってきたよ!」って言いながら家族でワイワイ食べるんだろうなぁ~、いいなぁ、あー、また食べたくなってきちゃいましたわ~
手づかみで食べると、なお美味しいってことを発見 | 時にはおかずに、時にはビールのつまみにもなる山賊焼き | 定食についてくるおかず3品は、味の染み込んだ煮物などおふくろの味 |
トマト味噌味の河昌特製ソースはキャベツ用(ゆきぴゅーは間違えて山賊焼きにかけた) | 河昌からアルプス公園経由で安曇野市へ向かう途中の景色 |
■山賊焼きの河昌(http://www17.plala.or.jp/kawasho/)
長野県松本市浅間温泉1-17-32
電話:0263-46-5550
営業時間:11時30分~14時
17時~22時(L.O 21時)
定休日:火曜日
駐車場:あり
長野自動車道・松本ICより7km、約15分
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■■このクルマでドライブしました!■■ フォルクスワーゲン「パサート」全長4785mmの立派なセダンなのに、エンジンは1.4リッターターボという“究極”と言いたくなるようなダウンサイジングサルーンがパサート。18.4km/Lの燃費なら、長野までの遠出でもガソリン代の心配が要りません。 |
■プロフィール
イラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”。長野でフツーのOLをしていたが何の因果か鬼畜デジカメライターの弟子(奴隷)となり2000年に上京。日々の過酷でセクハラな毎日を絵日記で綴っているうちに絵の道に目覚め、ついに2005年独立。以降あちこちでタダでごはんを食べながらポンチ絵画家としてのお気楽な人生を歩んでいる。
女性カメラマン。カメラマンとして名を馳せるべくボスニアに戦場カメラマンとして渡るも、行った早々流れ弾に当たってしまいあえなく帰国。車にまったく興味がないゆきぴゅーとは正反対に機械モノが大好き。食べるのも大好き。封印したはずの赤いバンダナは、ネット上で復活希望の声があるとかないとか(でももうしません!)
2011年 8月 3日