【第57回】郷土料理研究家さんが作る川越の絶品御膳ですの、の巻


さつま芋タウン川越のオススメ家庭料理の店!

 

 今回のグルメ隊は小江戸・川越。川越といえばさつま芋が有名ですわね。ときに皆さま、「九里(栗)より(四里)うまい十三里」という言葉をご存知でしょうか。

 江戸時代、それまで蒸かして食べていたさつま芋を焼いた“焼き芋”が大ブレークし、栗(=九里)に近い味ということで“八里半”なんていう呼び名で売られていたんだそうです。その様子は名所江戸百景の114景「びくにはし雪中」でも描かれているほど。

 で、十三里がどこから出てきたかというと、当時、川越城主の松平氏が江戸の将軍様に川越で採れたさつま芋を献上したところ、その色といい味といい大変おいしく、たいそう喜ばれたんだそうですの。そこで江戸から川越までの距離が十三里だったことから、栗(九里)より(四里)うまいで十三里という洒落が生まれて広まったんだとか。今だったら流行語大賞を狙えるくらいナイスなキャッチフレーズですわよね。

 今回おじゃましたのはそんなさつま芋タウン川越にある「えぷろん亭」。こちらでは郷土料理研究家で店主の原京子さん手作りのおもてなし家庭料理がいただけるんですの。

「川越っていつ来ても観光客であふれていますわ~」
「そうですね。若者からお年寄りまで、これだけ老若男女問わず愛される観光地もめずらしいですよね」

午前中はご覧の通りあいにくの雨で、蔵通りも人がまばらでした築100年以上という町屋造りの建物を利用したえぷろん亭今年で25年目を迎えます
玄関前に置かれたガス灯が目印です20席ほどある店内はやさしい照明の落ち着いた雰囲気
2階は20名ほどの宴会も可能。同窓会などで使われることが多いそうです店主・原さんのお友達で陶芸家さんの作品の展示販売も

 蔵造りの街並みが続く一番街商店街をブラブラ散策しながらお店に到着したグルメ隊。今回は、月替わりの膳「川越散歩膳」(2625円・要予約)と、ランチ(1050円)をそれぞれいただくことに。ちなみに川越散歩膳にはボリュームを抑えた2100円の「小」というのもあって、こちらは予約不要です。

 川越散歩膳は趣向を凝らしたお芋中心のお料理計6品とご飯・味噌汁・香の物、そしてデザート2品という内容。まずはゆきぴゅー、「さつま芋と人参と干し柿の甘酒あえ」の味付けにノックアウト! どの食材も素材の味をしっかり主張しつつ、和えた甘酒の甘みに包まれてほんのりとお上品に仕上がっていますの。

 お聞きすると、さつま芋はパサパサしないようにしっとり系の品種を使っていたり、人参は酸味を加えるために梅干しと一緒に煮ていたり、甘酒に使う酒粕は毎年同じ酒造会社さんからとびきりの吟醸酒から出た酒粕で作っていたりするんだそう。先付けだけでもこれだけのこだわりが詰まった一品なのですから、この御膳のおいしさがお分かりいただけるかと思います。ちなみにエイミーはデザートの「紫芋のアイスクリーム」がお気に入りだったようですわよ。

「川越散歩膳」(2625円)はこのようなお品書きを頂けますの「店主の原京子さんは長年さつま芋料理の研究をされている方なんですのよ」さつま芋、人参、干し柿の甘酒あえ。これが絶品!
揚げ物2品はさつま芋の大葉揚げと紅揚げ揚げ里芋のあんかけはやさしいお味まぐろサラダ風味にはわさびドレッシングをかけて
煮染め3品。ゆきぴゅーは特にひじきのカレー風味がお気に入り見た目美しい肉団子は紅白でフタを開けてハート型の人参に思わずにっこり
デザートは紫イモのアイスクリームと白玉団子。秋にはこれがさつま芋のお団子に予約無しでOKのランチは1050円。この日のメインは豚肉かりかり揚げ。こちらもバランスがとれた体によさそうなメニュー

 食べ終わった後、料理研究家の原京子さんが厨房から出てきてくださいました。しなやかでお上品な雰囲気のとっても素敵な方だったんですの。人柄ってお料理に出るんだなぁとあらためて感じましたわ。

「しっかりと下ごしらえをして、ひと手間加えられているお料理だっていうのがわかりました」
「そうでしたか、そう言って喜んでいただけるのがうれしくて、もう40年も料理を続けています。今は時期的に地元川越のさつま芋が採れない時なので少ないのですが、新イモが出回る9月はさつま芋料理のフルコースといってもいいくらいになりますよ」

「わぁ~、それもまた食べてみたいです!」
「また是非いらして下さいね」

 伝統食を生かして、旬の食材を使い、バランスよく仕上げたえぷろん亭のお料理。ちなみに3月は桃の節句にちなんで、ご飯がちらし寿司になるそうですの。

 さあ、もうすぐ桜のシーズン到来! 川越は桜の名所が多いことでも有名です。この春はお花見がてら小江戸川越までドライブ計画立ててみてはいかがでしょうか。

川越のシンボル「時の鐘」は今でもゴーン♪と毎日4回、時を知らせています。えぷろん亭から徒歩2~3分ほどこちらも歩いて数分の「菓子屋横丁」。昔懐かしいお菓子がいっぱいでついキョロキョロ川越市街を囲むようにして流れる新河岸川沿いは桜の名所です

えぷろん亭http://www.kawagoe.com/aprontei/
埼玉県川越市元町2-1-19
電話:049-226-3370
営業時間:11時30分~14時30分(売り切れまで)
定休日:月曜日
駐車場:あり(道路を挟んで斜め向かいの共同駐車場に3台分)

アクセス:関越自動車道の川越インターから4km、12分。

今回ご紹介した川越散歩膳(2625円)は月替わりです。掲載時とは内容が変わりますのでご了承下さい。

 

 

このクルマでドライブしました!

アルファ ロメオ「ジュリエッタ」



プロフィール

ゆきぴゅーゆきぴゅーおふぃしゃるほーむぺえじ
イラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”。長野でフツーのOLをしていたが何の因果か鬼畜デジカメライターの弟子(奴隷)となり2000年に上京。日々の過酷でセクハラな毎日を絵日記で綴っているうちに絵の道に目覚め、ついに2005年独立。以降あちこちでタダでごはんを食べながらポンチ絵画家としてのお気楽な人生を歩んでいる。


エイミー
女性カメラマン。カメラマンとして名を馳せるべくボスニアに戦場カメラマンとして渡るも、行った早々流れ弾に当たってしまいあえなく帰国。車にまったく興味がないゆきぴゅーとは正反対に機械モノが大好き。食べるのも大好き。封印したはずの赤いバンダナは、ネット上で復活希望の声があるとかないとか(でももうしません!)



2012年 3月 7日