ワイパーアームに連動するウィンドーウォッシャー
Garage HRS「ワイパーウォッシャー」
メーカー:エイチアールエス
価格:4725円

 

ウォッシャーを使うとできるシミ。放っておくと落ちにくくなってくる厄介者だ

 最近のクルマでは少ないが、筆者の平成一桁の年式のマツダユーノスロードスターは、ボンネットにウィンドーウォッシャーノズルが付いている。この場合、ウォッシャーを使うと、その液が垂れてボンネットにシミができてしまう。さらにオープンカーならではの問題もあって、屋根をあけているところでウォッシャーを吹くと車内に液が飛び込んでくる。それを避けるためにノズルを下に向けると、高速走行中に使用した場合に、今度は走行風に負けて低くしか飛ばなくなり、ワイパーに直撃するような状態になってしまう。そこで今回、Garage HRSというお店が扱っている「ワイパーウォッシャー」を使ってみることにした。

 これはワイパーアームにウォッシャーノズルを移設するというもの。ワイパーアームの先に付けたノズルからワイパーブレード周辺に噴射するので、走行風の影響も受けにくい。さらにワイパーを動かせばノズルも動くので、払拭面全体にウォッシャー液を吹き付けることができる。例えばトラックや、三菱の「i」などでも同様のシステムが使われていて、ネットで検索すると、それらのノズルを流用している人も見受けられる。

 HRSのキットには、取り付け説明書と、ノズル、延長ホース、タイラップ、クリップが2セットずつ入っている。ただしクリップとホースの太さがまったく合っていないので、クリップを使うことはなさそうだ。汎用のキットということだが、ノズルの向きからして、一般的な右ハンドル車用。正面から見たときにワイパーが反時計回りに動き始めるものに適合する。逆の場合だとワイパーブレードが通過した後に液を噴射することになってしまう。その場合は、輸出仕様のトラック用のものなどを流用するしかないだろう。

ガレージHRSの「ワイパーウォッシャー」ワイパーに取り付けるノズル部
噴射口は1つのノズルに2つあり、それぞれ角度を付けることができるホースを固定するためのクリップは、ホースのサイズが合わず使い物にならない

 取り付けには、ワイパーを外すためのレンチやプラスドライバーといった一般的な工具のほか、2.5mmのドリルとM3のタップ、車種によってはリューターなどが必要になる。

 まずは、ワイパーアームを外して、ノズルの位置決めをする。できるだけ先端に付けた方がよいが、ワイパーのアーチ部分などに干渉位置に装着しよう。このとき、ホースも繋いでおいて、ホースが干渉しないかも確認するとよいだろう。位置が決まったらドリルで穴を開け、タップでねじ山を切ったら、付属のビスでノズルを固定する。ノズルの噴射口の部分は、ピンなどを指してねじると首を振るようになっている。2つの噴射口が丁度よい向きを向くように調整しておこう。

ワイパーアームのネジは、フタなどで隠れている場合が多い。ロードスターの場合はゴムのキャップだったキャップを外すとボルトが現れるので、ボルトを外すワイパーアームがうまく外れない場合は、写真の部分を押してみよう。テンションが取れて楽に抜けるはずだ
運転席側のワイパーアームには最初からねじ穴が開いていた。おそらく初期のロードスターに付いていたワイパーフィン用の穴だろう。ということは初期ロードスターでのワイパーフィンとの併用は難しいということかノズルの取り付け位置を決めて穴にマーキングする。ワイパーのアーチ部分などとも干渉しない位置を見つけよう2.5mmのドリルで穴を開ける
最初の穴が大きくずれてしまったので、正しい位置に開け直したタップという工具でねじ山を切る。曲がらないように慎重に作業しようねじ山が切れた。写真は助手席側
付属のビスでノズルを固定装着状態での噴射口の様子最適な角度になるように噴射口の向きを調整する

 ワイパーアームにノズルが付いたらホースを繋いでタイラップで固定する。車種によってはワイパーアームの内側にあるスプリングの中心にホースを通すようなことができるらしいが、ロードスターではできなかったので、別のタイラップを持ってきて、ノズルのそばと、スプリングの脇の2カ所で固定した。このときピンと張って固定すると、ワイパーを起こしたときにホースが引っ張られる形になるので、ある程度たるませた状態で固定した方がよいだろう。

 ワイパーアームを車両に取り付け、ワイパーの根本周辺からエンジンルームへとホースを引き込む。この取り回しは車種によって異なるので、各自調整してほしい。ロードスターではすき間から通ったものの、周囲の樹脂パーツとこすれてしまうので、樹脂パーツをヤスリで削ってすき間を拡大した。さらにボンネット裏で従来のノズルに繋がっていたホースを外し、取り回しを変えて新しいノズルと接続する。キットに付属しているホースはかなり柔軟性が高いので、ジョイント径が多少違っても問題なく接続できるだろう。ロードスターでは問題なかったが、ホースの長さが足りない場合は、ホースを追加する必要がある。ただし水槽用のホースなどでは、油や熱でだめになってしまうかもしれないので、できれば純正部品でホースを注文したほうがよいだろう。

付属のタイラップでアームにホースを固定するもう一カ所スプリングにも固定した。この辺りは車両ごとによい方法を探して欲しいワイパーアームを取り付ける
運転席側のホースの取り回し助手席側はこの樹脂パーツのすき間からホースを通すことにしたクリアランスが小さかったためヤスリで削ってすき間を拡大
ボンネット裏にはわされていた純正のホースを外し、取り回しを変えて、キットのホースと接続する。ちなみにジョイント部は1ウェイバルブの役割を果たしている場合もある外れないジョイントはニッパーで切り取って使った。新品を注文しても高くはないだろう

 装着できたら実際に稼働させてテスト。最初はホース内が空っぽなので噴射するまでに時間がかかる。実際に試して見ると、ワイパーの中央付近にばかり噴射していたので、再度噴射口の角度を調整した。

 当然のことながらボンネットのノズルからは液が出ないので、余計なシミを造ることはない。もちろん走行風による影響も少なく概ね良好。ワイパーを動かす度にホースも動くのだが、特にこすれているような様子はなさそうだ。オープンでのテストは行っていないが、ルーフにしぶきが付いていないことからも問題はないだろう。

 運転席から見ると、ワイパーにぽっこりとノズルの頭が出ているのが分かる。しかしこれは視界を妨げるようなものではない。ただ、高速走行時にワイパーを使うと、今までよりワイパー作動時のビビリ音が若干大きくなったような気がする。もしかしたらワイパーの先に大きなノズルが付いたことで、走行風によってブレード本体が浮きやすくなったのかもしれない。と言っても、それによって払拭性能が落ちているようなものではないが。

装着完成
作動させてみるワイパーと一緒に動きながら噴射する車内から見た状態。目立つが運転に支障のあるものではない

(瀬戸 学)
2010年 3月 5日