HID風ライトにするなら、シルバーコーティングのハロゲンバルブ
フィリップス「シルバーヴィジョン クロムホワイト」
メーカー:フィリップス
価格:4100円

 

 最近、夜間に街中を見ると、ライトの色が白っぽいクルマが多い。場所や時間帯にもよるが、対向車を含めてほとんどが真っ白で、電球色のクルマが少数派というときもある。

 カー用品店のヘッドライトバルブコーナーに行くと、いつのころか青く着色されたヘッドライトバブルが多数派を占めている。これはHIDのような青白い光のヘッドライトを、従来のハロゲンヘッドライトで実現しようというもの。そのまま点灯させるといわゆる電球色になってしまうライトに、青く着色してHIDのような色の光を実現し、HIDの気分を味わおうというグッズだ。

 しかし、電球を青く着色しただけでは、ライトの中に青い部分が映り込み、HIDに見えないばかりか、逆に格好悪くなることもある。これは点灯状態でも消灯状態でも同じで、ライトの反射板が不自然に青いクルマも多い。

 そこで、青い映り込みを少なくして、よりHID風に見せようというヘッドライトバルブが、今回紹介するフィリップスの「シルバーヴィジョン クロムホワイト」だ。バルブの表面に薄いシルバーの反射層を設けることで、消灯時にライトの反射板が青くなることを防ぐ仕組みを持つヘッドライトバルブである。

フィリップス「シルバーヴィジョン クロムホワイト」。車検対応品なので公道で使えるバルブのガラス部分は青い上に薄いシルバーのコーティングがしてある透明な一般のハロゲンバルブとは色の差がこれだけある

 「シルバーヴィジョン クロムホワイト」の装着は、ヘッドライトのバルブが切れたときの交換と同じ。車種によるが、ボンネットを開け、ヘッドライトのハウジングの後ろからバルブを交換するだけとなる。車種によってはヘッドライトバルブの交換手順が非常に複雑なクルマもあるが、たいていのクルマの場合、それほど難しくない。

 注意する点は、ヘッドライトのバルブの規格がいくつかあるため、必ず装着するクルマの規格に合ったものにすること。また、バルブは点灯時に高温になるため、交換時はライトが冷えた状態で行うこと。さらに、交換時に光軸(ヘッドライトの向き)が狂ってしまわないよう、丁寧に作業することも必要だ。

 バルブの規格は、最近のクルマであればH7やH1、ハイビームとロービームを1つのバルブで兼用するタイプではH4が多い。今回、交換にチャレンジしたのはH4だが、H7もバルブの大きさが違うだけで、取り付け方法や手順もほぼ同様となる。

 手順は車種により異なるが一般的には、(1)ボンネットを開けてヘッドライトの後ろ側にあるフタを外し、(2)バルブに接続してあるコネクターを外し、(3)バルブを押さえている止め金具を外し、(4)バルブを外す。装着はこの逆の手順で行い、ヘッドライトバルブには手袋を使うなど手の皮脂がつかないように注意する。

 コネクターを外したり、バルブを脱着するときは、無理に力を加えて光軸を狂わせないように注意したい。もし、狂ってしまったら対向車へ眩惑を与えることもあり非常に危険。そのままにせず専門業者に調整してもらう必要がある。

ヘッドライトバルブはボンネットを開け、ライトユニットの後方から交換できる装着したクルマは回転式のフタがついていた。ゴムパッキンのような構造のものもあり、車種によりさまざまだフタを外すとバルブにアクセスできる
まず、コネクターを外す。力を入れすぎるとライトの光軸調整がズレることもあるのでやさしく慎重にコネクターを外したら、針金式の金具を外すとバルブが外れる。装着の手順はこれの全く逆となる

 実際に装着してみると、消灯状態ではほとんど差が分からない。試したクルマのヘッドライトの表面のガラスが、光を均一化させるために凸凹が多いタイプだったという点も幸いしたが、目を凝らして見ないと透明のヘッドライトバルブと区別ができない。「シルバーヴィジョン クロムホワイト」の特徴が存分に活かされていると言えよう。

 一方、点灯してみると、残念ながら青い部分が少し出てしまった。とはいえ、青い部分は少なめでそれほど格好悪いものでもなさそうだ。角度によっては青い部分がさらに目立たなくなり、ライトの光も電球色から白っぽいものに変化したこともバルブ交換の成果である。

 これで、当初の狙いであった「HID風」というドレスアップはなんとか達成できた。

 ただし、青い部分があまり目立たなかったのは、あくまで今回試用したクルマでの結果。最近のクルマに多い、ライトの反射板が丸見えの構造のヘッドライトでは、消灯時も青い部分が目立ってしまうかもしれない。「シルバーヴィジョン クロムホワイト」だからと言って過度の期待は禁物だ。

消灯状態ではシルバーヴィジョン クロムホワイト(右)であることがまずわからない
近づいてみると、青い部分が僅かに確認できた
明るい状態で点灯すると色の違いは一目瞭然。写真ではスモールライトが点灯しないようにして比較した
スモールライトも付けて正面から見た状態。右は、若干青い部分が見えるが暗くなってからではわかりにくい
壁に向けて点灯したところを、カラーバランスや露出を統一して撮影した。これだけの色の違いがあることがわかる

 今回紹介したHID風の光りを実現するヘッドライトバルブは、周囲にHID風と見栄を張る以外に、自分が照らした先も電球色から白い光に変化する。クルマのライトをHIDに交換したいが、改造費用の点や保安基準の適合といった問題から躊躇している人は検討すべきアイテムだ。

 最近はHIDの交換キットで格安品も登場しているが、ハロゲンバルブとHIDのバーナーの点灯部分の構造違いによって対向車にとって迷惑で危険なライトや法規に適合しないライトになってしまったり、信頼性の問題、車両の電装系の問題など、クリアにしなければならない課題が多く、手軽に交換とはいかないのが現状だ。

 その点、「シルバーヴィジョン クロムホワイト」のようなバルブ交換なら、手軽に交換できる上、余計な問題に悩む必要がない。類似の効果を狙ってシルバーのコーティングがされたバルブは他社からも登場しており、ライトの色味を変更したい場合は検討してみたいアイテムだろう。

(正田拓也)
2010年 5月 28日