降雪時の緊急脱出用に最適な極細チェーン
Gneed「スピーディスリム」
メーカー:エンパイヤ自動車
価格:オープンプライス(購入価格:5975円)

 

若干季節外れかもしれないが、あると役に立つのがチェーン。今回は、金属チェーンのGneed「スピーディスリム」を紹介する

 11月~3月あたりの雪が降る可能性がある季節は、スタッドレスタイヤを履いているというドライバーは多いことと思う。山岳地の多い日本では雪道への備えをしておかないと、冬場はクルマでの行動範囲が限られてしまう。首都圏でもシーズンに数回は降雪があり、中央自動車道の山間部では、ゴールデンウィークになってもたまに積雪の可能性がある。

 スタッドレスタイヤを装着していれば、ほとんどの雪道において問題なく走れるのだが、雪の坂道やアイスバーン、深雪などでは、雪がかまずに空転してしまい立ち往生してしまう状況も、ごくまれにだが遭遇してしまう。駆動方式が4WDであれば改善するが、2WDのFFやFRでは苦労する場面も多くなる。万一の備えとしてチェーンも携行しておけば安心感は高いだろう。

 また、降雪により「チェーン規制」(冬用タイヤ[滑り止め装置]規制」)が発せられた場合は、スタッドレスタイヤで走行は可能だが、さらに降雪がひどい場合には「全車両チェーン装着規制」というものにランクアップすることがある。こうなってしまうと、チェーンを装着していないと走行できなくなってしまう。

 スタッドレスタイヤにチェーンを装着するというケースは考えておく必要があり、、雪が予想される地域に向かうなら、雪に対して万全の備えをしておく必要があるだろう。

 今回のチェーン購入では、雪の状況がホントに酷い万一の脱出に対応するためになるので、いくつかの条件を考えた。夏用タイヤ向けに首都圏での万一の降雪に備える場合とは、少し考え方が異なってくると思う。

 関東以西では若干季節外れの感はあるが、今回のカーグッズミニレビューでは、チェーンを紹介していくことにする。チェーンの製品選択にあたって考えたのは以下のポイント。

 まず、収納場所を極力取らないこと。これは冬季の間ほぼ常時トランクに入れっぱなしにしておくことを考えると、省スペースであるほうがよい。じゃまだからと降ろしてしまった出先で雪に降られてしまっては残念だ。

 そして、通常はスタッドレスタイヤを装備し、チェーンでは深い雪の場所からの脱出だけを考え、長距離走行を考慮に入れないことにする。つまり、さほど耐久性は必要としないため、スペースをとらない細めで軽量なチェーンで問題ないという作戦なのだ。愛車では、タイヤとサスペンションとの間のクリアランスが極端に小さいことも、極力細いチェーンに目を向ける理由となっている。とくに大径・低偏平タイヤを履いているクルマの場合、クリアランスが小さいことが多い。愛車に装着可能なチェーンかどうかは購入時に必ず確認しておきたいところでもある。

 ご存知のようにチェーンは大きく分けると金属と非金属タイプがある。簡単に特徴を挙げれば、金属タイプは価格が安価で効きがよい、非金属タイプは金属タイプと比べると高価になるが振動が少なく快適な走行ができる。今回は低速時での脱出専用と想定したので、予算のかからない金属タイプにした。収納時の大きさも金属タイプのほうがコンパクトになる。

 こういった条件で選んだのが、Gneed「スピーディスリム」という細めの金属コマを使ったワンタッチ装着チェーン。一般的な金属チェーンよりも細く小さめの9mm幅のコマを用いたチェーンで、タイヤをジャッキアップしなくても装着できる亀甲型のパターンになっている。Gneed「スピーディX」というモデルもあり、こちらは一般的な太さのコマのチェーンとなる。

 このチェーンを持ったときに驚いたのが、一般的な金属チェーンよりとても軽く、たたむとコンパクトになること。常時携帯するにはベストだが、チェーンの耐久性は通常の金属チェーンより低くなるだろう。そのためか、チェーンが切れた場合に使う修理用のチェーンコマが付属している。雪道脱出の短距離にとどめ、アスファルト面が出ている場所で、装着したまま長距離を走行しないように気をつける必要はあると思われる。

スピードスリムは、亀甲パターンの金属チェーン。タイヤのイン側はワイヤーになっている。中央部が分かれるため、接地したままで装着が可能チェーンのコマが小さく細めなのが特徴手袋と補修用のチェーンコマが付属する

 タイヤチェーンの装着は、一度自宅で予行演習をしておきたい。いきなり雪道で説明書を見ながら装着するのは難しいし、もしかするとサイズ違いで付けられないということだってある。確認のためにも試しに装着しておくことをお勧めする。

 チェーンは駆動輪に装着する。4WDの場合に2輪のみ装着か4輪装着かは愛車の取扱説明書を確認してほしい。2輪のみだとかえってスピンしやすくなる場合もあるので注意したい。もちろん駆動方式問わず、チェーンを装着しない駆動輪以外は滑るので、スピンの可能性は常にある。直線で十分に減速してからカーブに入るようにするなど、雪道走破の基本は守って安全運転に心がけよう。通常金属チェーンの最高速度は30km/hだ。

 この種のワンタッチチェーンの装着方法は、タイヤの裏側にチェーンを回し、ワイヤーを裏側上部で接続後に手前側をフックとテンションチェーンで締めつけるという手順になっている。装着後少し動かしてみて、さらに緩みをとったら装着完了だ。ジャッキアップは不要。

 装着作業は簡単だが、装着前にチェーンがねじれているとうまく付かないので、絡まりとねじれを取る必要があるのだが、絡まっているとその作業が知恵の輪のようになるので、使う前の時間のあるときに一度広げてみておいたほうがよいだろう。その後なるべく絡まないように収納しておこう。

 外す際には、装着時と同じ接地ポイント(亀甲パターンが開いている部分)をうまく下にする必要があるが、それさえうまく決めれば、後は緩めて裏側のワイヤーを外すだけだ。位置合わせが面倒なら、ジャッキアップしてしまえば、タイヤのどの位置でも外すことができる。

最初にワイヤーをタイヤの裏側(イン側)に通して、チェーンが絡まないように広げる雪の中での作業はこのような感じ。タイヤの周囲を雪かきしてから広げると作業がしやすいタイヤ裏のワイヤーを上部手前に持ってきてジョイントを接続する。接続したら、タイヤ裏に戻す
タイヤの表側(アウト側)では、上部の青いフックをかけ、チェーンのコマを接続する次に下側の赤いフックをかける。テンションチェーンはロックを緩めてフックをかけやすくしておくロック部分は、レバーを操作して緩めない限り、逆戻りしない仕組みになっている
テンションチェーンの先はゴムのフックになっている。テンションホルダーを通してチェーンに引っかける。タイヤサイズによっては、赤いリングの個所を通さずに直接引っかけてもよい基本的な装着は、これで終了。半回転ほど前に進ませる前に進ませたら、チェーンの緩みを確認。テンションチェーンに緩みがあるようなら、テンションチェーンを引っ張り、緩みを確実に取っておく
外すときは逆の手順で。ロックのレバーを倒して、テンションチェーンを緩めることで、簡単に外すことができるようになる

 実際に雪の中で取り付けてみると、最初にタイヤの周囲の雪をどける必要はあったが、それ以外は特にとまどうことなく5分程度で装着できた。これなら雪でスタックしたときにも、すぐに装着して脱出させることが可能だろう。

収納時には、2本のチェーンが絡まないように1本だけビニール袋に入れてケースにしまうと、再度使用するときに広げやすくなる

 製品には軍手が同梱されているが、雪の中ではゴムでコーティングされている農業用などの作業用手袋を用意したほうが、作業は容易だ。取り外したチェーンをケースにしまう際には、左右の2本のチェーンが絡まないように、1本だけビニール袋に入れてケースにしまうと、次回使う場合に広げやすいと思う。

 特殊合金製とはいえ、細くて軽いチェーンがどこまで耐久性があるかが問題だが、とりあえず一度雪山を登り降りした後には、チェーン切れや錆がでるなど問題は生じなかった。今後雪の降るシーズンにはトランクに常備させておこうと思う。

(村上俊一)
2011年 4月 22日

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