車載機器をリセットせずにバッテリー交換
メモリーバックアップ ITEM No.1686
メーカー:エーモン工業
価格:オープンプライス(購入価格:1300円)

 

 愛車のバッテリーは前回の交換からすでに4年ほど経過していて、いつ上がってもおかしくない状況。とりあえずセルモーターは問題なく回っているが、放置後まれにこの車種のバッテリー電圧アラームにあたる「Economy mode active」という表示(エンジンをかけずに長時間バッテリーを消費すると表示される警告)がマルチファンクションディスプレイに表示されてしまうことがある。これは電圧が低下していると判断でき、そろそろ替え時だろう。

 バッテリー交換時に注意したいのが、電装品のメモリーバックアップ(保護)だ。車内の電装品は電源OFFの状態でもバッテリーを使ってメモリーの設定値などの情報を記憶させておくものがある。これらの情報はバッテリーを外すとすべて初期状態に戻ってしまう。昔のクルマでは時計とラジオのプリセット程度だったので、あまり気にすることもなかったのだが、近年の車はコンピューター制御されている機器が多くなり、さまざまな不都合が出ることがある。そのため、バッテリー交換時にも電源が失われないようにしたいところだ。

 バックアップせずにバッテリーを外した場合に、不都合が出る可能性があるのは以下のような部分。心配であれば、正確な情報は愛車の取扱説明書を開いてみることやディーラーで聞いてみることをお勧めする。特に高級車では、複雑な電子機能が付いているので注意が必要になる。

・ECU(エンジンコントロールユニット)
・カーオーディオの設定、ラジオのプリセット
・時計、トリップメーターなどマルチファンクション情報
・カーセキュリティ
・リモコンドアロック
・パワーウインドーとサンルーフ
・リモコンエンジンスターター
・車両安定制御システム

エーモン工業「メモリーバックアップ」。電池ボックスとワニ口クリップを組み合わせた製品

 そこで今回はバッテリー交換時のメモリーバックアップ装置を選んでみた。メモリーバックアップにはいくつか方法がある。バッテリーと端子を外したときにも電源が確保できていればよいので、予備バッテリーや13.8Vの安定化電源を持っていれば、それらをヒューズを介して接続しておけばよいだけだ。ただし、くれぐれもエンジンをかけたまま交換するという荒技だけは止めてほしい。確かにエンジンをかけておけば電気は供給されるが、バッテリーはオルタネーター(エンジンを使った発電機)の出力を平滑にする役目も持っている。電装品にダメージが出る可能性が高く、交換作業中の危険も高い。

 もっとも簡単確実なのは、規定電圧(9〜13.8V)にした電池をバッテリー端子にヒューズを介して接続する方法。それを製品化したのが、今回紹介するエーモン工業の「メモリーバックアップ」になる。

 メモリーバックアップは、単3型電池×6の電池ボックスとワニ口クリップを組み合わせた製品だ。電池ボックス内に1Aのガラスヒューズと逆流防止用のダイオードが装着されている。単3型電池は1.5Vなので6本装着すると9Vが出力される。クルマのバッテリーは弱くなっても11V程度なのだが、9Vあれば電装品のバックアップには問題ないという原理なのだろう。


メモリーバックアップのパッケージ 電池ボックスには単3型電池×6を入れて使う、1.5Vのマンガンやアルカリ単3型電池に限る
ヒューズと逆流防止用ダイオードが電池ボックスに入っている アルカリ単3型電池を入れた状態での端子間電圧は約9V

 単3型電池6本で9Vが確保できるのは、1.5Vの新品のマンガンやアルカリ単3型電池を使った場合に限る。取扱説明書にも1.5Vの電池を使うことは明記されている。このため、1.2VのNi-MH単3型充電池では電圧が足りなくなるため使えないという点には注意が必要だ。

 とはいえ、すでに充電池をたくさん揃えているので、それを流用したいと考える人も多いだろう。かくいう自分もその一人。メモリーバックアップ作業で電池を使い切ることはないので、そのためだけに新品電池を6本も揃えるのはもったいない。今回はちょっとばかり工夫して、1.2VのNi-MH充電池を使えるように電池ボックスを直列に増設加工してみた。1.2Vの充電池は8本用意すれば9.6Vになる。メモリーバックアップは6本なので、あと2本追加すればよい。お約束だが、この改造によって製品保証はなくなるため、事故などでメーカー側は対応してくれなくなる。自己責任で加工してほしい。

 増設に使用したパーツは、単3型電池×4本の電池ボックスとミノ虫クリップ。この程度ならパーツショップだけでなく、大きめのホームセンターなどで手に入るだろう。今回は東京秋葉原や埼玉八潮に店舗がある秋月電子通商で入手した。同店は通販も行っている。

 実際に使用したパーツは以下のとおり。

電池ボックス 単3型×4本用
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-00311/

みの虫クリップ(黒)
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gC-00068/

みの虫クリップ(赤)
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gC-00070/

 6本の電池ボックスの2本分を使って接続用のミノ虫クリップを入れ、4本のボックスと直列につなげるという単純な仕組み。アルカリ電池が用意できる場合には、このクリップを外していつでも元に戻して使用できる。外部への配線はワニ口クリップが出ている穴とヒューズのフタ部分をうまく使うことにした。

増設用に用意した単3型×4本ボックス。フタをすることができ、あらかじめ芯線がむかれたケーブルが付いている ミノ虫クリップとケーブルをハンダ付けする作業は若干面倒。まず、カバーを通して、クリップの爪でケーブルを押さえておく。ケーブルは芯線を穴に通しておく 芯線を半田ごてで熱してハンダを流し込み、ハンダ付けする。電子部品ではないので、多少長めに熱してもかまわない
追加用電池ボックスの完成。充電池は三洋電機のエネループを使った メモリーバックアップの電池ボックス手前側の「+」端子をミノ虫クリップで挟みやすいように折り曲げる ミノ虫クリップで端子を挟む。「+」を赤に「ー」を黒に間違えないように接続
電池ボックスの壁をケーブルが通るように少し削った。ヒューズボックス内をケーブルが通るようにした ヒューズボックスフタを閉めることで、ケーブルを押さえる仕組み 完成写真。バンドでまとめておくと使いやすい。これで単3型×8本になる
1.2VのNi-MH充電池が8本で、端子間電圧は約10Vになった。メモリーバックアップに問題ない電圧。増設した電池ボックスにはスイッチがあるので使用時にONにするのを忘れないように ちなみに、このような8本用の電池ボックスも販売されている。これとワニ口クリップを使い充電池専用のメモリーバックアップをゼロから自作してもよいだろう。間にヒューズを入れることを忘れないように

 実際にメモリーバックアップ装置を使ってバッテリー交換をしてみよう。今回は改造してNi-MH充電池を8本入れたものを使っているが、使い方は改造前の製品でも変わらない。結果からいえば、特に問題なくメモリーバックアップすることができた。

 バッテリーの交換手順は以下のとおり。

エンジンを切ってキーを抜く。ルームランプなどキーを抜いても使われる電気はスイッチでOFFに。ONにならないよう、ドアを開けないなど注意する。とにかく作業中に電気を使わないように 新しいバッテリーを用意しておく。カバーを外し、固定金具を外して、古いバッテリーを取り外せるように準備する
バッテリーの接続ターミナル部分にメモリーバックアップのワニ口クリップを接続する。「+」に赤を「ー」に黒を接続。多少動かしても外れないようにしっかりとくわえられる部分をうまく使う バッテリーの接続ターミナルを「ー」側から外す 「+」側を外した後、ボディーと接触しないように雑巾や軍手などでくるんでおく。ボディーなど金属部分に接触するとショートする。端子間にはメモリーバックアップの電気が来ていることを確認した
新旧のバッテリーを入れ替える。かなり重量があるので、手や腰を痛めないように注意 新しいバッテリーの「+」側から接続する。端子にはグリスを塗っておくとベスト
メモリーバックアップのワニ口クリップを「ー」側から外す。取り付け金具を元通りに装着する 最後に動作確認。カーオーディオのラジオプリセットもそのまま保持されていた。メモリーバックアップは成功のようだ

 バッテリー交換後、きちんとメモリーバックアップが効いていたかを確認したところ、アイドリング不調も起きず、電装品もすべて以前と変わらずに動作した。メモリーバックアップはうまくいったようだ。

 なお、バッテリーの取り付けは外れないようしっかりと行ってほしい。取り付け不良で端子が短絡してしまい、車両火災にいたってしまうケースもある。取り付け後しばらく走ったら、増し締めをしておくなど、事故には十分に気をつけたい

 クルマのバッテリー寿命は3年ほどと言われているが、多くの人は5年程度は使ってしまうのではないだろうか。使用期限がアバウトなのは、使えなくなる寿命の見極めが難しいからだが、なるべく早めに交換しておいたほうが、出先でバッテリーが上がってしまうトラブルが避けられ結果的に安く済む。

 なお、交換後のバッテリー廃棄は、普段愛車の整備をしている整備工場やディーラー、ガソリンスタンド、廃品回収業者などに引き取ってもらうようにする。鉛を多く使っている自動車用バッテリーはリサイクルルートが確立しているので、とくに問題なく引き取ってくれる。通常自治体のゴミとしては出せないので注意してほしい。また、「カーバッテリーで停電・節電対策のバックアップ電源」(http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/minigoods/20110513_444820.html)の記事で使ったバッテリーとして活用するには、使い古しのバッテリーが最適だ。

(村上俊一)
2011年 7月 8日

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