カーグッズ・ミニレビュー

iPhoneの音声認識機能「Siri Eyes Free」に国内初対応した「カロッツェリア MVH-790」

スマホとBluetooth接続でき、未来感覚を味わえる1DINカーオーディオ

カロッツェリア MVH-790(価格:1万6800円)

光学ドライブレスでBluetoothとUSB接続でメディア再生

 近年の市販カーナビはAV機能が充実しており、車内での音楽再生はカーナビにおまかせしている人が多いと思う。とはいえカーオーディオユニットは、直感的な操作ができる点にまだまだアドバンテージがあるし、PND(Portable Navigation Device)やスマートフォンアプリなど、AV機能のないカーナビを使っている人は、それらと組み合わせて使いたい機器だろう。

 これまで使っていた愛車のオーディオユニットはiPod用のDock(30ピン)コネクタを装備しているのだが、最新iPhoneのLightningコネクタには対応していない。また圧縮オーディオを入れて焼いたCD-Rの再生には対応しているが、USBメモリをダイレクトに読み込む機能は持っていないなど、いささか古さを感じるようになってきた。これをiPhoneなどのスマホから手軽に再生できるようにアップグレードを考えてみた。今回考慮したのは以下のポイントだ。

・スマホ内の曲をUSBやBluetooth接続で再生できる
・背面の接続端子でUSBメモリが接続できる
・Bluetoothでハンズフリー通話ができる
・イルミ色は車内と統一するアンバー(オレンジ色)が選べる
・音楽CDプレイヤーは不要(ここ数年クルマで音楽CDは使用していない)
・曲情報の日本語表示にはこだわらない
・サイズは1DIN

 この条件で選択したのが、今回紹介するカロッツェリア(パイオニア)の「MVH-790」。2013年11月に発売された製品だ。CDなどの光学ドライブを廃しているのが大きな特徴。その分スマホとの連携機能を充実させ、USB経由の接続だけでなく、Bluetoothでの接続にも対応している。

 なかでも大きな特徴と言えるのが、iPhone 5s/5cなどiOS 6.1以上でのSiriを使った「Eyes Free(アイズフリー)」機能に対応していることだ。Bluetoothで接続したiPhoneのSiriの機能をユニット側から呼び出し、音声認識による各種コントロールができる。

 Bluetooth以外で再生に使用可能なメディアは、背面から付属のUSBケーブルを使って接続できる。iOS系機器のほかAndroid 4.0以降でのMTP(Media Transfer Protocol)接続にも対応している。SDカードリーダーは装備されていないので、USBメモリなどを直接接続して利用する。再生対応フォーマットは、MP3、WMA、WAVで、AACの再生に直接対応していないのは残念だが、iPhone/iPodを経由で利用すれば再生できるので、特に問題にならないだろう。上位機種の「DEH-790」はAAC再生にも対応している。アンプは50W×4chと、ここ数年のカロッツェリアオーディオ機器では一般的な性能だ。

 やや安価な「MVH-590」(価格:1万3650円)という姉妹モデルも用意されていて、こちらもBluetooth接続やEyes Free対応といった機能は同じ、USBポートとAUX端子が前面にあり、レバーキーが省略されていて、イルミ色が青と赤のみになっている。今回愛車では、背面ポート接続とアンバーのイルミ色は譲れなかったので「MVH-790」を選んでみだ。

MVH-790の内容物。専用ハーネス、USB接続ケーブル、AUX接続用ステレオミニジャックケーブル、ハンズフリー用マイク、リモコン、取り付けネジなどが入っている
これまで装着していた1DINユニット(左)と比べると、MVH-790(右)は光学ドライブがないこともあり奥行きがかなり短い
背面の端子。USBポートとステレオミニのAUXは背面にある。アンプへの外部出力RCA端子も揃っているし、サブウーファへの出力も備えている。1万円台の機器でここまで充実している
前面パネルは、盗難防止目的で外しておくことが可能。1DINユニットでは一般的な機能だ
ボリュームノブにあたるロータリーコマンダー近影。レバーがあるのが特徴的。曲のスキップやラジオの選局に利用する。Bluetoothでスマホを接続しておきハンズフリーで着信をさせるボタンもある

取り付けはDIYでやってみた

 カーオーディオの取り付けは購入店で頼んでもよいが、以前取り付けてみて難しくなかったので、今回も自分で行ってみた。車種別の取り付けキットを別途購入するなどして用意し、パネル周辺の整備方法さえ分かれば、特に難しいことはない。ただし、配線は根気よく繋ぐ必要はある。

 MVH-790は、1DIN規格のメインヘッドユニット。1DINのDIN(ディン)はドイツ工業規格のことで、カーオーディオユニットでは一般的なサイズ。1DINは幅180×高さ50mm。横幅はそのままで高さが100mmになると2DINとなる。2DINサイズに1DINユニットを装着して、余った1DINを小物入れにするというパターンも可能だ(カロッツェリアでは「AD-378」が用意されている)。2DIN分の空きがある場合は、この選択が便利だ。愛車の場合は、元から1DIN×1なので選択の余地はない。

 このカーオーディオ装着部に実際にユニットを取り付けるには、メーカーや車種別に用意された取り付けキットが必要になる。純正品は電源とスピーカーなどの配線がコネクタで直接付いているものを、市販カーオーディオでは1本ごとにバラバラに変換する必要があるためだ。

 愛車では以前のユニットを取り付けた際に、欧州車規格のISO 16ピンコネクタからハーネスをバラして取り出すキットと、1DINに装着するためのマウントを使っているので、今回はそれをそのまま流用している。クルマに合った取り付けキットを用意して欲しい。

 一部の高級車では、オーディオシステムの交換を想定していない設計(たとえばトヨタのライブサウンドシステムなど)もあったり、交換すると電装品の動作が不安定になるケースがあるようだ。心配な場合には、無理にDIY作業はせずに専門店に任せたほうがよいだろう。自力でやる場合には、一度ディーラーなどに相談してほしい。カロッツェリアのWebサイトでも、車種別のフィッティング情報が公開されている。ここで必要な取り付けキットとある程度のパネル分解方法が分かる。

●カロッツェリア車種別JUST FIT
http://carrozzeria.pmcnet.co.jp/

 取り付けと配線作業をするときには、必ずバッテリーのアース側の端子を外した状態にする。プラスとマイナス、どちらがアース側か分からない場合は、購入時にカー用品店やディーラーに取り付けをお願いしたほうがよいだろう。取り付け時に、ショート(短絡)などが起きて、クルマにトラブルが発生する可能性があるからだ。

 なお、今回取り付けに使ったプジョー206は、「ACC」と「+BTT」が逆な特殊なタイプ(プジョー206であっても逆でない場合もあるので注意)なので、取り付け写真のハーネスの色や記号などは参考にしないでほしい。

配線用ハーネスを接続するとこのようになる。あらかじめ接続しておくと作業がしやすい
古いユニットを取り外す。ユニットのみを引き出す方法もあるが、結線作業がしやすいようにパネル全体を外してしまった
ユニット裏はこのように複雑な配線になっている。元配線のケーブルがなにか表記があることを確認して配線を外す
新しいユニットを車載キットを使ってパネルに取り付けた
ハーネスはギボシ端子になっているので、取説の配線図を確認しながらしっかり結線する。電源とスピーカーに分けて見ると分かりやすい。写真はスピーカー関連の結線
電源のマイナスケーブルはクワ型端子になっているので、ボディーアースにネジ止めする。アースはユニット取り付け部近辺に必ず用意されている
USBケーブルとステレオミニジャックAUXケーブルは、グローブボックス内に引き込んだ。写真ではアップル純正の接続ケーブルを使っているが、耐熱性が保証されていないため長時間車内に置かないように注意したい
なお、USBケーブルとAUXケーブルは必ず付属のものを利用する。写真左は以前使っていたユニット用のiPodケーブルだが、アップル純正品よりも太く耐久性がある。8年程度使ったが劣化しているようには見えない
マイクは声の届きやすいハンドル周辺に取り付けるとよい。ウインカーレバー横にちょうど挟める部分があった。レバー操作に支障がないことは確認済み
パネルを元に戻し通電を確認。初回起動時は時計のセットをする。さっそくイルミネーション色をアンバー(AMBER)に切り替え車内の色を合わせた

Bluetooth接続はいたって簡単

 Bluetooth機器を登録するには、MVH-790からではなくスマホ側から検索したほうが分かりやすい。iOS側からBluetooth検索をすると「MVH-790」が表示される。接続するとPINコードが表示されるが、iPhone側で操作しなくてもロータリコマンダーを押すと登録される。Androidでもほぼ同じで、Android機器側から検索し、双方にPINコードが表示されるので確認して進めていくだけで登録ができる。登録はスマホ側から検索すれば難しい手順はない。これには、検出状態の「VISIBLE」がONになっていることと、自動ペアリングの機能「A.PAIRING」をオンにしておく必要があるのだが、これらはどちらも初期状態でONなので、設定作業は不要だ。なお、手元のBluetooth搭載の携帯電話でも登録は問題なくできた。機器によってはPINコードの入力が必要になる。

 本体には3台までのBluetooth機器が登録可能で、選択状態にある機器は以後自動的に車内(電波エリア内)にスマホを置いておけば接続されるようになる。MVH-790の電話キーを長押しすると、登録機器の選択や削除などのBluetooth関連の設定ができる。機器を複数登録していて、接続したい機器を変更する場合には「DEVICELIST」から選択し直せばよい。

 Bluetoothで接続後は、ソース切り替えの「SRC」ボタンで「BT AUDIO」に切り替え、再生ボタンを押せばスマホ内の音楽再生が始まる。もちろんスマホ側から選局して再生してもよいし、後述する音声認識のSiri(Eyes Free)を利用して再生することもできる。一度繋いでしまえば無線であることを意識する必要はない。

 便利なのは、一度エンジンを切って停車後、再始動したときに同じ曲の同じ再生位置から自動的に再生が始まることだ。もちろん同じスマホが車内にある場合に限るが、このあたりはカーオーディオならではの機能。通常のメディア再生で可能なので当然といえばそれまでだが、無線のBluetooth接続でもそれを感じさせないのはさすがだ。

 また、スマホのアプリからの音を再生させることもできる。たとえばネットラジオをアプリで再生させて楽しむことが可能だ。モバイル回線でストリーミング再生を楽しむときには、転送容量制限になるべくかからないように、音質には目をつぶってビットレートが低いラジオ局を選ぶとよいだろう。

 なお、MVH-790で対応しているBluetoothプロファイルは、「GAP/OPP/HFP/PBAP/A2DP/AVRCP/SPP」となっている。オーディオ転送のA2DPの使われるコーデックは標準のSBCで、apt-xとAACを使った圧縮転送には残念ながら対応していない。車内での利用ではユニットとスマホの距離が近いこともあり、再生の遅延や音が途切れるようなことはまったくなかった。また音質の劣化を、USBケーブル接続時と比較して感じることはなかった。

 再生音は、現代的でクッキリとしたハデ目の音。ポップスやロックなどの音楽を楽しく聴ける印象だ。特に小音量時に低音と高音を補正するラウドネスは、強さを3種類から選ぶことができ、「HI」にするとかなり激しく強調される。コンプレッション機能は搭載されていないが、各ソースの音量を均一にする「SLA(Source Level Adjuster)」という機能はある。音量調整の幅が密で、古いデジタルボリュームにありがちなちょうどいい音量に調整しにくいということもなくスムーズだ。

iOSでは、「設定」>「Bluetooth」で「Bluetooth」をオンにし、「デバイス」に「MVH-790」が表示されるのを待つ。表示されたらタップする
「MVH-790」でPINコードが表示されるので、ロータリコマンダーを押す
Bluetoothで接続されると機器名が表示され、接続中はアイコンが表示される
Bluetooth接続で再生するには、「SRC」ボタンで「BT-Audio」に切り替える
スマホ側には現在再生中の曲が表示される。どちらからも選曲可能

ユニットから「Siri」の音声認識操作ができる「Eyes Free」に対応

 この「MVH-790」は、iPhoneなどiOS機器(iOS 6.1以降)に搭載されている音声認識機能の「Siri」をドライブ中に使う「Eyes Free」に対応している。これは国内で初搭載。Eyes Freeでは、iPhoneの画面を見たりタップしたりすることなくMVH-790側から呼び出して操作できることがメリットだ。そのため運転中であっても利用できる。

 Eyes Freeで利用中は、運転中であることを認識していて、通常のSiriと動作が少し異なり、画面表示はせずに、結果はすべて音声での読み上げで応答してくれる。

 Siri自体がどのような質問にて動作するかは、iOS機器でホームボタンを長押ししてSiriを起動し、左下の「?」アイコンからヘルプを見てみると理解できる。ただしEyes Freeでは、マップやSafariでの検索など画面表示がともなう操作は受けつけてもらえないので、Siriのすべての操作ができるわけではない。なお、iPhone側を操作してSiriを起動させることもでき、その場合には画面にも情報が表示されるが、検索できることはEyes Freeに準じていて読みあげも行われる。

 Eyes Freeを使うには、Bluetooth経由でiOS 6.1以降の機器が接続されている必要がある。USB接続では使えないので注意。MVH-790からの起動は、ロータリコマンダーを長押しする。すると音楽の音量が下がり、画面に「I'M LISTENING」と表示される。少し間をおき「ピピ↑」とSiriの開始音がしたら指示を発声すると音声認識される。ロータリコマンダーを長押ししてから、「ピピ↑」と開始音が鳴るまで間があるので、少し待つのがコツだ。また、発声までに間が空いてしまいSiriの認識終了音の「ピピ↓」が鳴ったときには、ロータリコマンダーを軽く押すと、再度「ピピ↑」と開始音がするので発声指示待ちになる。Siriの応答では、さらに「XXしますか?」などと訪ねてくることもあるので、随時発音して会話を続けよう。

 ドライブ中に使えそうな操作で、実際に試してみた音声指示は以下のような内容だ。

「(アーティスト名やジャンル、プレイリスト)を再生」>ミュージック内の曲を再生してくれる
「シャッフル再生」>ミュージックの曲をシャッフル再生してくれる
「(住所録の名前)に電話」>ハンズフリー通話
「現在地(地名)の今日(明日)の天気は?」>特定場所の天気予報と気温を読みあげ
「近くの(施設)を教えて」>もっとも近い施設の名前、方角や距離を読みあげ。コンビニ、レストラン、カフェなどを探すのに便利
「メールを確認」>新着メールの数と新着3件の読みあげ
「(発言したい内容)とツイート」>Twitterでつぶやく
「(メモの内容)とメモ」>メモに項目を追加
「X時に(予定)を設定」>
「今日の予定は?」>予定を読みあげ
「(やるべきこと)をリマインド」>リマインダーに追加
「リマインダーリストを読んで」>
「X分にタイマー(アラームも可能)をセット」>X分後にタイマーアラームが鳴る。アラーム音が鳴っている間は音楽の音量が下がる
「(知りたい用語、地名など)を教えて」>Wikipediaの結果を読みあげ

 画面表示が必要なWebや地図ルートなどの検索は、「それの操作は運転中はできません」と拒否される。たとえば、試してみて拒否されたのは以下のようなことだ。Siriの応答内容は常にアップデートされているので、変更になることがある。

「ツイートを見せて」>Twitterのつぶやきはできるが、読み上げはできなかった
「(場所)までの道順を教えて」>マップ表示はできない
「(知りたい単語)を検索」>Webでの検索(Safari)は利用できない

 こうやって実際にEyes Freeを使ってみると、音楽のシャッフル再生や曲を飛ばす操作は、ボタンのほうが手っ取り早いが、特定の曲名やアーティスト、プレイリストで再生させたいケースでは、Eyes Freeを使うとかなりスマートにできる。ただどうしても自分の発音がわるいせいか、認識できないアーティスト名があったりもした。

 天気予報や新着メールなどの各種読みあげ機能は、運転中はスマホ画面を見ることは困難なので、これまでになかった便利さを感じる。特に利用価値が高いと感じたのはメモを残す機能だ。運転中にハンズフリー電話をした後などに、忘れないようにとっさにメモを残すことができる。

ロータリコマンダーを長押ししてEyes Freeを起動すると、画面に「I'M LISTENING」と表示される。Siriの起動音がしたら指示を発声する
Eyes Freeの動作中、iOS側ではSiriの画面になるわけではなく、通知バーの色が変わりマイクアイコンが表示される

iPhoneユーザーには特におすすめのMVH-790

 MVH-790は、車内で音楽CDを使うことがなくなったiPhoneユーザーなら、導入価値が十分にある。最初はややハデかなと感じたイルミネーションも、表示色を合わせてしばらく使ってみると、ほとんど違和感は感じなくなっていた。イルミネーション変化と効果音を使って、自動ミックスしてくれる「MIXTRAX」機能もなかなか楽しめる。これは設定で1曲を再生する時間を決められるので、好みで設定するとよいだろう。

 特にEyes Freeは、クルマと会話しているかと錯覚するほどで、近未来な感覚が味わえる。今後カーナビや純正ナビなどに投入されると思うが、1万円台の投資でそれが先取りできるのはウレシイ。デートドライブでいきなり使うのにはハードルが高いかも知れないが、音声認識で操作が決まると意外に同乗者にもウケがいいかも知れない。

 とにかくBluetooth接続が便利なので、基本これを使うことになりそうだ。この場合スマホ側のバッテリーの減りに気をつけたい。USBカーチャージャーなどをうまく活用するとよいだろう。MVH-790のUSBポートに接続すると充電は可能だが、BT Audioでの再生はできなくなりUSB接続での再生となる。この状態でEyes Freeの起動はできないことはないが、再生コントロールが不安定になるようだ。メーカー側もEyes FreeはBluetooth接続で利用するとしている。

(村上俊一)