エアコン吹き出し口に装着できる
回転式iPhone/iPod Touchホルダー
メーカー:サンワサプライ
購入価格:1180円

 

 iPodが車載オーディオの主要ソースとなってからしばらく立つが、iPhoneも、カーナビとして使われるなど、もはやクルマになくてはならないものになりつつある。そしてカーナビとして使うには、今までのように車内に転がすだけではなく、ホルダーを付けて画面を見やすくしたい。

 iPhone/iPod Touchホルダーは、すでに複数の会社から複数のモデルが登場しているが、今回使用してみたのはパソコン向け周辺機器で有名なサンワサプライの「CAR-HLD2BK」。大手家電量販店で1180円という安価ながら、エアコン吹き出し口にしっかりと固定でき、保持する向きもタテとヨコの両方に対応する製品。

 装着できる機器はiPhoneに限らず、さらに小型のiPodのほか携帯電話、ポータブルオーディオ、スマートフォンなど広く装着可能だ。

 「CAR-HLD2BK」について語る前に、ホルダーの取り付けには一定の制限があることを書いておく。たとえば吹き出し口の構造によっては取り付けられないほか、取り付け強度の心配もしなくてはならない。

 吹き出し口のハウジングがフィンを兼ねる構造の場合は、たいていは強度もそこそこ期待できる。しかし、ハウジングが固定されていてフィンだけが動く構造の場合は、フィンの強度がなく、フィン自体も薄い。中古車などを探しているとき、エアコンの吹き出し口が壊れているクルマを見かけるが、こういったアクセサリーを無理に装着した結果と想像できる。

 幸いにして今回取り付けようとしている車種は一般的な形状で、フィンの強度はそこそこある。フィンの位置も吹き出し口表面からそれほど深くないところにあるため、取り付けやすそうだ。

 「CAR-HLD2BK」はパッケージに取り付け可能な条件が書かれている。水平フィンの奥行が24mm未満、間隔は6mm以上、垂直フィンの間隔は8mm、取り付ける水平フィンの厚みが3mm以上となっている。これはパッケージには記載されているが、Webサイトに情報はない。この製品に限らないことだが、購入の際はしっかり現物を確認して購入することをおすすめしたい。

「CAR-HLD2BK」に入っているもののすべて取扱説明書などはなく、パッケージに説明があるだけ。逆に言えば購入前にすべての情報が得られる取り付け可能なクルマの情報もパッケージに記載されている
ホルダー部分と取付台座は分離できる台座にクリップを取り付けたところ。この部分が吹き出し口の装着される

 装着を試みたクルマでは「CAR-HLD2BK」の取り付けにまったく問題はなかった。まずクリップを台座に付け、そのまま吹き出し口に装着する。装着の際は、水平フィンに引っ掛けた後、下の支えによって吹き出し口のハウジングが動かないように調節する。

 試したクルマの場合はピッタリの角度に収まったが、もし、下を向いてしまう場合は支えの間に何か詰め物をするなど工夫が必要だ。クルマを傷つけたくない場合にも、薄いスポンジなどを挟むとよいだろう。その際に注意しなければならないのは、車内は高温になるため、温度によって変質しない素材のものを選ぶ必要がある。

 台座が装着できたら、しっかり取り付けられたかどうかを十分に注意する必要がある。クルマは動いているため、振動や衝撃に絶えずさらされる。iPhoneの重さに耐えられるかどうかも確認しておく必要がある。

 そして、最後にホルダー本体をはめ込んだら完了だ。

装着したクルマのエアコン吹き出し口。フィンがしっかりしていて条件にマッチしている試しにクリップを差し込んでみると、しっかりと引っ掛かり、外れにくいことも確認できたクリップを刺す場所は、垂直フィンが邪魔にならない場所を探す
台座を固定したところ。下の支えがダッシュボードを押さえて固定できる。若干下向きだが実用に問題はなさそう。気になるなら詰め物でもするとよいだろうホルダー本体が装着できたiPod touchを装着したところ。操作性を優先するなら、もう少し手前の場所で挟み込むとよいだろう

 ホルダーへのiPhone/iPod Touchの装着は、iPhone/iPod Touchを乗せて左右のアームで挟むだけ。アームは挟む方向に自動ロックされるようになっており、挟むとカチカチとロック音がしてしっかりと保持できる。

 取り外すときは右下のボタンを押すとロックが緩んでアームがすっと左右に広がり、外れる構造となっている。

 さらに、ホルダー自体が360度回転するようになっており、任意の角度でストッパーをかけることができる。特にiPhone/iPod Touchでは、音楽再生時にタテ、動画はヨコなど、タテとヨコの使い分けがある。筆者がiPod Touchで試した範囲では、45度ごとにクリックがあり、ストッパーをかけなくても問題は感じなかったが、説明ではストッパーが必要と明記されている。おそらく、個体差や、使い込んでいくうちに回りが緩くなった場合などは必要となるからだろう。

 ストッパーはホルダーの裏側にあり、2~3回操作すれば手探りでも簡単に操作できる。

横幅55~106mmの物体を装着できる車載ホルダー側に回転をロックするストッパーがある。解除すれば360度回転する
タテ位置で固定したところ。ホルダーの左右のアームが少し邪魔だが実用にそれほど影響はない回転すればヨコ位置で保持もできる。このほうが機器の保持も安定するかもしれない

 今回使用した「CAR-HLD2BK」は、エアコンの吹き出し口に装着するものとしては、コストパフォーマンスが高く、満足度は高い。筆者が使用した限りではiPhone/iPod Touchがしっかり固定されて、たいへん便利になった。

 しかし、やはり装着するクルマとの相性は注意してはしいと思う。吹き出し口の位置や構造によって、使いやすさは大きく変化するからだ。取り付け場所に困る車種なら、PND(Personal Navigation Device)に付属のものと似た吸盤タイプのホルダーや、エアコン吹き出し口への取り付けタイプでも、対応を広げるためにさらに凝った構造のものもある。

 「CAR-HLD2BK」がおすすめかどうかは、取り付け場所と取り付け方法を十分に考慮した上での判断となる。装着するクルマを十分に吟味した上で最良のものを選んでほしい。

(正田拓也)
2010年 4月 30日