iPhone/iPodが繋がる1DINカーオーディオ
カロッツェリア「DEH-P650」
メーカー:パイオニア
価格:2万2050円

 

カロッツェリア「DEH-P650」

 ここ最近の純正カーナビでは、iPodやiPhoneの接続やコントロールができるものも増えているが、少し前のカーナビでは、純正でiPodやiPhoneの接続ができるものは少なかった。

 カーナビであってもそのような状況で、純正オーディオに関しては、AUX入力があることもマレ。多くの場合はFMトランスミッターなどを使い、FMラジオでiPodやiPhoneの音楽を楽しむことになる。

 そこで今回試してみたのがUSB接続でiPodやiPhoneのコントロールができるパイオニアはカロッツェリアの1DINメインユニット「DEH-P650」だ。発売されたのはほぼ1年前で、新しいラインアップに切り替わることがすでに発表されている。

 ではなぜもうすぐ型落ちとなるこの機種を選んだのかと言うと、新型では600番台の機種がなくなること、古いモデルということで、実売価格1万5000円程度と手頃な価格になっているからだ。

 筆者は、同じくカロッツェリアのオンダッシュタイプの楽ナビを付けている。これはいわゆるAVNタイプとは異なり、パワーアンプを内蔵していない。しかし音楽CDのHDDレコーディング機能は持っており、今まではこの楽ナビで記録したものを、外部接続で別のオーディオに繋いで鳴らしていた。

 わずらわしいディスク交換なしでさまざまな曲を楽しめるという点ではこれで問題なかったが、音質にこだわるという点では、ビットレートなど自由に設定できない筆者のカーナビの圧縮音源より、パソコンで好みの設定で圧縮した音源のほうが優れる。iPhone/iPodであれば、iTunesでの取り込み時にWAVやApple Losslessで読み込めば、理論上元の音楽CDと同じ音質を再現することができる。それに友人を乗せたときなどに、友人のiPhone/iPodの音源をそのまま聞けるというのもうれしい。

ロータリーコマンダー。回すとボリューム、上下左右でメニューセレクトや選曲、押すことで決定といった操作ができるフロントパネル部にUSB端子とAUX端子が用意されるリモコンも付属
装着状態。表示部は有機ELディスプレイを採用し、イルミネーションはブルーで統一されるCD再生状態。CD-TEXTやMP3などを再生している場合、アーティスト名なども表示できるラジオ受信状態。ご覧のとおり放送局名も表示する

 DEH-P650はフロントパネル部にUSB端子を持っており、ここにiPhone/iPodを接続することで認識する。専用ケーブルが別売で用意されているが、iPhone/iPodに標準で付属するUSBケーブルでも認識する。ただしiPhone/iPod付属ケーブルは車内での使用を考慮しておらず、真夏の炎天下などでの耐候性に問題があるので、別売のiPod用USB変換ケーブルCD-IU50(3150円)を使用するよう説明書に明記されている。

 iPod/iPhoneの操作はDEH-P650本体で可能。本体には回転のほか、十字操作と押し操作もできるロータリーコマンダーがあり、これを使うことで直感的に操作することができる。

 「ミュージックブラウザーモード」にすれば、アルバム名やアーティスト名、プレイリストなどから選ぶこともできる。また、モードを「コントロールモード」に切り替えれば、iPod/iPhoneからの操作が可能だが、本体側で操作するかiPod/iPhone側で操作するかは、どちらかしか選ぶことができない。助手席の人に操作してもらう場合などは、iPod/iPhone側の操作にすれば、いちいち操作を説明する手間もいらないだろう。

iPhoneを接続するとiPhone側は操作できなくなり、本体のロータリーコマンダーで操作することにプレイリストやアーティスト名から選曲できる。ロータリーコマンダーの使い勝手もよい
3桁で日本語表示ができるモードを変更するとiPhone側での操作が可能になる

 筆者にとっては、いちいちiPhone/iPodを接続するというのもちょっと面倒に感じる。そこで便利なのが、USBメモリーを使ったオーディオ再生だ。iPhone/iPodの代わりに音楽ファイルを入れたUSBメモリーを常に接続しっぱなしにしておくのが便利そうだ。

 曲の検索方法はメモリー内のフォルダー分けに準じて階層を探していくもの。パソコンに慣れていれば違和感のない検索方法だ。iPhone/iPodと違ってプレイリストはないが、フォルダ分けを工夫することでそれに近いことはできるだろう。また、最初にデータベースを構築する作業さえしてしまえば、ミュージックブラウズモードでアーティスト名やアルバム名から検索することも可能だ。

音楽ファイルを入れたUSBメモリーを繋ぐことで、大量の曲を聴くことができるUSBメモリーの再生状態。音楽ファイルはWMA/MP3/AAC/WAVに対応するUSBメモリー内のフォルダの階層に応じて曲のセレクトができる
アーティストの階層でYUIをセレクトYUIのアルバムが2つ保存されているさらにアルバムのフォルダを選ぶと曲目が見られる

 音楽ファイルはiPhone/iPod用の音楽ファイルをそのままコピーすればよいので難しいことはない。USBメモリーならば容量を気にせずさらに高音質な音源を用意することもできるだろう。ただし注意しなければいけないのは、Apple Losslessには対応していないということ。もしこれまでApple Losslessでデータを作っていた場合、別の形式にエンコードし直すか、iPhone/iPod経由で再生することになる。

 他に前面にAUX入力端子も持つが、USB端子があるとそれほど活躍の場は多くなさそうだ。また、背面のIP-BUSを使って外部入力やパイオニア製のカーナビを接続可能。さらに別売のBluetoothアダプター「CD-BTB10」(2万1000円)を組み合わせれば、Bluetoothを使ったオーディオ再生や、携帯電話のハンズフリー通話も可能となる。

 この価格でこれだけの機能を備えるというのはひと昔前では考えられないことだったが、一方で安いなりの部分もなくはない。外部出力端子はRCA端子が1系統しかなく、フルレンジのリアスピーカー出力か、ローパスのサブウーファー出力を選ぶことになる。外部アンプを使って……、なんていう使い方には不向きだ。さらに一時はミドルクラスにも搭載されたタイムアライメント機能がないのも悲しいところ。しかしそれでもこの価格でこれだけの機能を持っているというのはやはりスゴイ。PNDとの組み合わせ、純正オーディオからのステップアップなど、気軽に使えて満足度の高い1DINカーオーディオと言えるだろう。

背面を見るとRCA端子は1組しかなく、拡張性が高いとは言えないフロントパネルを外すことができる。盗難対策のため

(瀬戸 学)
2011年 1月 21日

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