新生児から4歳まで使えるISO-FIX対応チャイルドシート
タカタ「takata04-ifix Premium」
メーカー:タカタ
価格:59,800円

 

takata04-ifix Premium、カラーはブラック

 チャイルドシートを固定する方法として、金具で確実に結合するISO-FIXという方法がある。クルマ側は現在の新車ではほぼ汎用ISO-FIXが装備されるが、肝心のチャイルドシートの種類は少なく、国内メーカー製はメーカー純正品以外は皆無という状況だった。

 そんな状況のなか、今年、チャイルドシートやシートベルトで実績のあるタカタからISO-FIXのシートが登場した。それがtakata04-ifixシリーズで、新基準(EC基準)対応のISO-FIXでは国内初の製品。3種類のグレードが揃って登場した。

 今回試したのは、中間グレードとなる「takata04-ifix Premium」(59,800円)。ほかにシートの装飾を簡略化した49,800円の「takata04-ifix」、レザー貼りで受注生産品となる157,500円の「takata04-ifix leather Selection」がある。いずれも基本機能や安全性能に差はない。

新生児から4歳まで、対応車種も幅広い
 takata04-ifix Premiumが対応する子供の年齢は新生児から4歳くらいまで、体重は18kgまで。1つのシートで生まれてから4歳まで対応するのは、現在の売れ筋のチャイルドシートと同じだ。シートの向きは幼児向けの前向き座りはもちろん、後ろ向きに座る乳児モードのどちらにも対応する。

 このシートのISO-FIXは、どの汎用ISO-FIXのクルマにも装着できる汎用ISO-FIXではなく、対応車種が限られた準汎用ISO-FIX。後ろ向きに対応するシートの場合、汎用ISO-FIXとはならないのでこれは仕方がない。しかし、決して対応車種が少ないというわけではなく、国産車をはじめ輸入車にも幅広く適合するほか、メーカーの対応表には汎用ISO-FIX登場以前のISO-FIX搭載車種まで数多く記載されている。

 また、準汎用のおかげもあってか、固定の際に上部にひっかけるテザーアンカー(ベルト)の装着の必要はなく、装着がさらに簡単になる。制限があるとすれば、テザーアンカーの代わりにサポートレッグで床を踏ん張る形になるため、足下に床下収納のある車種が対応から外されていることくらいだ。

後ろ向き装着をすれば新生児用から使えるシートに貼られたシールには、準汎用型として認可を受けていることが明記してある

装着はガチャンとはめるだけ
 チャイルドシートの装着と言えば、残念なことにJAF(日本自動車連盟)の調査でも正しく装着されている割合が低いことが明らかになっている。実際、装着するときにシートベルトをしっかり張るために大きな力が必要だったりするし、取り付け方法が多種多様で説明書がなければ分かりにくいという点もあった。

 そこで、規格化した金具を付けて結合させてしまえば、誰でも確実に装着ができる。それがISO-FIXだ。しかもクルマのボディーとチャイルドシートが金属で結合されるのだから、シートベルト装着よりも結合状態がわるくなるはずがない。

 takata04-ifix Premiumの装着は、まずベース側にあるISO-FIXのバーを伸ばしてクルマ側の金具にガチャンと固定する。結合したらバーの長さをすき間がないように短くし、サポートレッグを突っ張る。ベースが固定できたら、シートをベースに引っ掛けるようにして乗せるとこれまたガチャンと固定される。それぞれのレバーのところには印がついており、いずれも緑色のマークが見えるようにすればよい。

 いきなり説明書なしでの装着は少し難しいかもしれないが、緑色のマークの確認をしながら装着すれば、間違うことはないだろう。何よりISO-FIXの結合は確実なので、万一の際に外れてしまうという心配がないのは大きな安心感だ。

取り付け時はまずガイドカップを用意する。コネクターの挿入が楽に行えるガイドカップをクルマ側のISO-FIX取り付けバーにはめるコネクターを伸ばす
サポートレッグを垂直に伸ばしておくコネクターをガイドカップに向けて差し込むコネクターとバーが結合すると緑色になる
コネクター調整ボタンを押してベース全体をシートに押し付けるコネクターが縮んでベースがシートに密着する。ロックさせると緑色の表示が出るコネクターが縮むと数字が見える。この車種では奥まで入れて「3」が見えた
サポートレッグが床に付くように長さを調整する。緑色が見えていれば調整機能がロックされた証拠だサポートレッグが床に密着するこれでベースの装着が完了した
シート本体の裏側には前後に棒状の取り付けピンが見えるベースにはめる取り付けピンの進行方向前側は取付部にひっかけるようにする
前側をひっかけたまま、シートの後方を下ろすと結合するしっかり止まっていれば、本体着脱ボタンのところにも緑色表示が出るこれで装着は完了だ
シート自体は大きめなので、格納タイプのヘッドレストと干渉することもある。その場合はヘッドレストを上に持ちあげれば解決する後ろ向きの場合はフロントシートと近くなる。取り付けたクルマは2010年式のフォルクスワーゲン・ポロシートは高さがあるため、乗せられた子供も見晴らしがよいだろう。重心が高くなるものの、ISO-FIXの固定なら不安はない
新生児用のクッションを取り付けた様子。なお、新生児や乳児が乗車する際は後ろ向きを厳守したい幼児の乗車状態。シートベルト位置は上にもできるシートベルトの位置は3個所。座高の成長に合わせて位置を変える
バックル部分と大型の肩当てパッド金具はマグネットが付いていて左右を合わせやすい
ベルトの長さ調節は下にあるレバーで行う乳児の後ろ向き乗車位置肩当てパッドの裏側には滑り止め加工がしてある

背もたれの通気性もよさそう
 肝心なチャイルドシートとしての性能だが、安全性という面では発売からまだ日がたっていないこともあり、今後の自動車アセスメント(JNCAP:Japan New Car Assessment Program)などの結果を待ちたい。ただ、2010年発売の「takata04-neo premium」が乳児、幼児とも「優」を受けていること、大きなサイドサポートや5点式シートベルト、ISO-FIXによる確実な固定などから高い評価が期待できるだろう。

 また、装着時に左右のベルトの金具を合わせるわけだが、金具にマグネットが付いていて合わせやすく、バックルにはめ込みやすい。バックルの裏側のクッションも厚めになっており、バックルが当たって痛いということもなさそうだ。

 通気性では、ちょうど子供の背中に当たる部分が粗い網目になった「ブレスエアー」とよばれる構造となっていて良好そうだ。分解も難しくないので、シートの布の部分を丸洗いすることもできる。新生児用の補助クッションも中のスポンジを外して洗うこともできるようになっている。

シートの表皮の取り外しは難しくない。サイドの装飾プレートをはがし、端から布をはがしていく背中の部分だけ「ブレスエアー」と呼ばれる構造になっている

現時点では、数少ないISO-FIX対応品
 takata04-ifix シリーズは、現時点で日本で選べる数少ないISO-FIXのシートの1つ。しかも、新生児から4歳まで長期に使える点や、日本人の子供や日本の気候を想定した国内メーカー品となると、唯一無二の製品だ。しかも、現時点で大手ベビー用品チェーン店の店頭で現物が確認しやすいISO-FIXシートも、筆者が知るかぎりこれだけだ。

 アセスメント結果などはまだ出てないが、少なくともISO-FIXによるミスのない確実な固定という大きなアドバンテージがある限り、シートベルト固定の製品に比べて現実的な安全性は高いだろう。ISO-FIX対応のクルマに乗っているなら、まず検討すべきチャイルドシートと言えるのではないだろうか。

ホンダ「フィット」に装着したところ。国内メーカー品だけに相性は抜群。後ろ向き乗車でもシート位置を最後部まで下げられるフィットで前向き装着した場合のシート位置。子供も景色が見える

(正田拓也)
2011年 12月 9日

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