カーグッズ・ミニレビュー
広角ルームミラーと一体化した着脱自在のドライブレコーダー
上海問屋「ルームミラー型ドライブレコーダー」
(2015/9/28 00:00)
レンタカーやカーシェアリングでもカーナビが標準装備になって久しいが、いまのところ標準で装備されているケースをあまり見かけないのがドライブレコーダーだ。交通事故の記録など本来の目的だけでなく、運転席から見た視界とほぼ同じアングルからの映像を録画できるというのは、旅行で見知らぬ土地を走りつつ風景を記録するにはぴったりで、旅先でレンタカーやカーシェアリングを頻繁に使っている筆者からしてみると、うらやましいことこの上なかったりする。
もっとも、これらの車両に標準でドライブレコーダーが搭載されていなくとも、後付できるタイプのドライブレコーダーを使えば、レンタカーやカーシェアリングを利用する際に車両に取り付け、返却前に取り外すという方法が使える。今回紹介する上海問屋の「ルームミラー型ドライブレコーダー(DN-12865)」はその典型的な製品だ。さっそく試用してみた。
ミラーに挟み、電源ケーブルをシガーソケットにつなぐだけで使える
この製品は、広角ルームミラーの背面にドライブレコーダーを合体させた構造になっており、既存のルームミラーに挟み込んで使用する。レンタカーやカーシェアリング向けの車両に用意されているルームミラーは基本的にメーカーの純正品で、広角タイプのミラーに慣れていると視野の狭さを感じがちだが、この製品であればドライブレコーダー機能が使えることに加えてルームミラーの視野も広がるので、文字通りの一石二鳥というわけだ。
使い方は簡単で、取り付けステーを伸ばして純正ミラーを挟み込むだけ。縦9cm、厚さ1.4cmまでのミラーに取り付けが可能とされている。挟み込んだあとに裏面からシリコン製の落下防止ベルトで補強することで、がっちりと固定できる。試した限りでは、ステーだけでもそこそこ頑丈で多少の振動ではびくともしないが、事故などの強い衝撃でGセンサーが正しく反応できるようにするためにはきちんとベルトで固定したほうがよい。
3メガピクセルのカメラはミラーの裏面下部と一体化しており、視野角は約170度、記録画角は約130度とされている。カメラ部は左右にスイングする構造なので、乗車時にミラーの向きを調整したあと、カメラ部がきちんと正面を向くように調整してやる必要がある。ちなみに上下方向は固定となっており、概ね問題ないポジションに収まるのだが、多少なりとも調整できたほうが便利ではと感じた。
電源はシガーソケットから供給する方式で、ミラー上部のUSBコネクタに添付の専用ケーブルをつなぐことで、エンジンと連動しての録画の開始/終了が行える。電源ケーブルの長さは3.8mとそこそこあるので、ほとんどのクルマでピラー部に沿わせて配線することができそうだ。なお電源は12V仕様であり、24V車には対応しない。
フルHD動画での記録に対応。ディスプレイのサイズは4.3型
カメラの映像を見るためのディスプレイはミラーの中央部分にレイアウトされており、ONにすると映像が表示され、OFFにするとミラーに埋没して見えない仕組みになっている。サイズは4.3型ということで、スマホを全画面で表示しているのよりも一回り小さい程度のサイズだ。印象としてはかなり大きい。ちなみに録画中の映像をリアルタイムで見ることも可能だ。
動画の解像度(最大で1920×1080ドット)や、ループ録画の有無および間隔(1分/3分/5分)、動体検知の有無などはミラー下部にあるボタンで設定する。おもな設定可能項目はスクリーンショットを参照いただきたいが、左右に並んだボタンで上下方向のメニューの選択を行わなくてはいけないややこしさを別にすれば、操作性はわるくない。デフォルトでONになっている操作音がやや耳障りだが、これはOFFにしてやれば問題ないだろう。
エンジンと連動しての録画/停止が可能。映像のクオリティは高い
ではさっそく使ってみよう。といっても特別なことをする必要は何ひとつなく、エンジンをかけると録画が始まり、エンジンを止めると停止するので、ふだん何かをする必要はまったくない。本製品は動体検知機能を搭載しており、約60秒間動くものがないと自動で録画を停止するので、駐車場などでエンジンをかけたまま停車している場合、前方を誰かが横切ったりしなければ、自動的に撮影が停止する。
録画メディアはmicroSDで、ミラー上部、給電用USBコネクタの隣にあるスロットに挿入する。気をつけたいのがSDXC規格に対応しないことで、つまり記録可能な容量はSDHC規格の範囲内(上限32GB)となる。本製品はループでの上書き録画にも対応しているので、交通事故の前後だけを記録するのなら支障はないが、旅行中にドライブの様子を終日撮影する場合は足りなくなる可能性がある。
録画データは約3分ごとにひとつのmovファイルとして保存されるが、フルHDだと1ファイルあたり約300MBのサイズになるので、1時間だと約6GB、仮に8時間撮ろうとすれば約48GBと、上限の32GBをオーバーする計算になる。解像度を落としてファイルサイズを小さくするか、あるいは途中で録画メディアを交換するなどの対処が必要になりそうだ。
映像についてだが、フレームレートは最大の1080p(1920×1080ドット)でも30fpsに対応しているので、カクカクすることも一切なく滑らか。先行車両のナンバープレートは、停車中はもちろん10m近く離れていても十分読み取れるクオリティだ。色合いも自然で、これといって気になる点もない。露出補正は1/3刻みで+2.0から-2.0まで調整できるが、とくに変更する必要はなさそうだ。カメラがミラーの左右端ではなく中央にレイアウトされているため、映像のアングルが左右どちらかに偏っていないのもプラスだ。
また、最低照度は明らかにされていないが暗所での撮影にも強く、街灯とヘッドライト、および先行車のテールランプくらいしか明かりがない夜間でも、周囲の状況が明瞭に判別でき、ざらつきも見られない。同じタイプの製品では、夜間はナイトモードに切り替えなくてはいけない製品もあるが、本製品はそうした手間もかからない。
自力での追加はもちろん、レンタカーやカーシェアリングでの利用にも向く
今回は高温時の動作や長期間放置したあとの時計の精度、さらには電波干渉といったところまではテストしきれなかったが、ざっと使ったレベルで問題のある個所は見受けられなかった。上位のモデルのようにGPSやWi-Fiには対応しないものの、実売1万円を切るクラスの製品としては性能も高く、自力で手軽にドライブレコーダーを追加したいニーズにはぴったりの製品と言える。
また、装着および取り外しが容易であることから、筆者のようにレンタカーやカーシェアリングの車両に取り付けて旅の記録を残したいユーザにもベストマッチの製品だ。収納用のポーチないしはケースを自前で用意すれば、持ち歩きがさらに容易になるだろう。
あえてマイナスを挙げるとすれば、マニュアルが英語もしくは中国語仕様のものしか添付されておらず、使い方を把握するまでやや苦労する。今回は紹介していないが、静止画を撮影する機能もあり、適当にボタンをポチポチやっているうちにそちらに切り替わってしまい元に戻すのに苦労したこともあった。とはいえ、どんな機能があるかを知っておけば、1~2回のドライブで慣れてしまうレベルなので、まずは気軽に使ってみるところから試してみてほしい。