ルノー、名作「4」が“プチ・カングー”として復活?

ルノー「4」

 現行型ルノー「カングー」は、フランス母国をはじめとするヨーロッパはもちろん、日本の輸入車マーケットでも大人気を獲得しているモデル。

 しかし、これも日本でカルト的な人気を得ていた初代カングーから大幅に大型化されたことから、初代カングー、あるいはさらなる先祖に当たるルノー「エクスプレス」が担ってきたマーケットの一部が失われたとする見方もある。

 そこで「現行カングーよりもひとまわり小型のMPV」というマーケットを見越した新モデルが開発されている、という噂が浮上してきているのだ。

 母国フランスをはじめとするヨーロッパのスクープ系メディアでは「Petit Kangoo(プチ・カングー)」という仮称で呼ばれているという、この小型MPV。2010年にデビューした現行型日産「マーチ」で初めて使用され、今年秋のパリ・サロンでのワールドプレミアが予定されている次期ルノー「クリオ」、あるいは2014年のデビューが噂される次期「トゥインゴ」にも流用される可能性が高いと言われる「Vプラットフォーム」を使用し、よりユーティリティ性の高い車になるとされている。

 またヨーロッパ市場でも評価の高い、日産「キューブ」のルノー版のようなハイトワゴンになるのでは? という情報のほか、こちらも欧州では人気の高い日産「ジューク」のようなSUV色の強いモデルになる? とする観測もあるようなのだが、いずれも確定情報というにはまだ早いのが現状。もう少し先にならないと、実態は見えてこないようである。

 ところでルノーは、公社時代の1960年代から1990年代まで、数字を車名にした命名法を用いてきたが、その伝統は1990年に発表された初代クリオ(日本市場では「ルーテシア」)を契機に、暫時廃止されてきた歴史がある。しかし現在、ルノーの社内では数字のネーミングを復活させようという動きが高まりつつあるという。

 そして、その動きの嚆矢となりそうなのが上記の“プチ・カングー”で、命名される名称は、ルノーの歴史的名車に肖った「4(キャトル)」になるとされているのだ。

 1961年にデビューしたルノー4は、ルノーが初めて生産化した前輪駆動車で、誕生から31年後となる1992年末の生産終了までに約835万台という、フォルクスワーゲン「タイプ1」(初代ビートル)、フォード「モデルT」に次ぐ、単一世代の量産車としては世界第3位の生産台数を記録した傑作モデル。装飾性を徹底的に廃して実用性を極めたコンセプトは、のちの自動車にも大きな影響を与えた。

 一方わが国では、1997年に反町隆/竹野内豊のW主演で制作・放映され、圧倒的な人気を博した月9ドラマ「ビーチボーイズ(フジテレビ系列)」に登場したことでも知られており、今なおルノー・ファンのみならず、自動車マニアの間では高い人気を保っているモデルである。そのルノー4が復活するというのは、世界中のファンにとっても看過できない情報であり、その小さなビッグネームを冠する車のできばえと魅力にも、世界の視線が向けられるに違いない。

 まずは、本当にルノー製小型MPVが登場するのか? そして“ルノー4”のネーミングが与えられるのか? 今後の成り行きを見守ってゆきたいところである。

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(武田公実 )
2012年 5月 23日