ワールドリポート

2800PSのロータリー・スーパーカー誕生か?

ロータリー・スーパーカーズのWebサイト。浮かび上がるのはプレデターGTのシルエット?

 2013年初の「ワールドレポート」は、いつもとは少々趣向を変えてのスタート。実現の可能性がかなり「眉唾」モノ? ということで、通常の当コーナーでも取り上げることが若干ためらわれるようなスクープ情報をお届けすることにしたい。Car Watchファンの皆様には、ちょっと遅めの「初夢」という程度の気構えで、気楽にお楽しみいただければ幸いである。

 今回の話題の主は、ドイツに本拠を置く、その名も「ロータリー・スーパーカーズ」が2012年12月にティーザーCG(?)を公表した「プレデターGT」。現代スーパーカーの最高峰、ブガッティ「ヴェイロン」を遥かに凌駕する(らしい?)、超々弩級のスーパーカーである。

 この謎のコンストラクターは、どうやらこれまで自動車生産の経験は無いようだが、それでもマツダ製13Bロータリーエンジンを2基連結した4ローターとし、ツインターボを組み合わせることで1200PSを発揮するという、こちらも充分に驚異的なスーパーカー「ラプターGT」の開発構想を、2010年に明らかにしていた。

 ところが、その際に公表されたレンダリングといえば、明らかにフェラーリの写真から起こした? と思われる急ごしらえのもの。その結果、ロータリー・スーパーカーズの本気度には疑問を呈する意見が多勢を占めることになった。

 しかし同社の夢のような計画は、実現を迎える以前にいっそうエスカレートしてしまったようで、今回公表されたプレデターGTでは、エンジンをさらに2倍となる8ローター(!)にスケールアップすると主張している。

 「RSC 52R4T」と名付けられたロータリーエンジンは、マツダ「RX-8」用の「13B MSP」ユニットから各コンポーネントを流用して製作するという。メーカー側資料で公表されている排気量は5.2リッター、つまり、マツダ13B系に共通となる1308cc×4ということだろう。そして4基のターボチャージャーによって過給され、最大出力2800PS、最大トルク357kgmという常人の想像を遥かに超える驚異的パワーを発生するとのことなのだ。

 また、フェラーリ「599」のようなFRを想定していた? と推測されるラプターGTに対して、ミッドシップに搭載されると思しきプレデターGTの8ローターエンジンは、8速シーケンシャル・トランスミッションを介して4輪を駆動。北米のドラッグレースでも使用されているアルコール混合燃料を使用することで、0-100km/h加速は0.9秒以下、最高速度は450km/hを超えるという。これが本当に実現するならば、ヴェイロンの最終バージョンに相当する「スーパースポーツ」さえも圧倒する、まさに恐るべきパフォーマンスと言えるだろう

 一方、現時点ではシャシーについてのリリースはなされていないが、ボディーは総カーボンファイバー製で、サイズはホイールベースが3000mmという堂々たる体躯。その割に車両重量は1350kgに抑えられる予定とされる。また、アクティブ・サスペンションを採用するとも言われている。

 現時点ではその実態がほとんど明らかにされていないロータリー・スーパーカーズとプレデターGT。本当に試作車が実在するかさえも疑問視する向きもあるようだが、同社では4月18日から、モナコの見本市会場「グリマルディ・フォーラム」で開催されるプレミアムカー&スーパーカー専門のモーターショー「トップ・マークス・モナコ」でプロトタイプを発表。その後は最大で年間12台を生産する計画をぶち上げているとのこと。

 つまりこの種の超弩級スーパーカーについては、これまでにも多数の例が存在した話だが、恐らく新型車の話題を提供することで出資者を集め、首尾よく開発・生産資金が調達できれば生産化に移行する? といった類いのものと考えるのが自然だろう。

 しかし、ロータリーエンジンの最後の砦であるマツダが、2010年のヨーロッパ市場向け生産終了に続いて、昨2012年6月22日をもって北米・日本市場向けのRX-8の生産も終えてしまった今、ロータリーエンジンの可能性に着目したプロジェクトが存在するということだけでも、心を湧き立たせる「初夢」として受け取っておきたいとも思ってしまうのである。

武田公実