ラベリング制度対応「低燃費タイヤカタログ」 転がり抵抗とウェットグリップ性能でエコタイヤの横比較が可能に |
タイヤの性能を測る指標と言えば、スポーツタイヤであればグリップ力、プレミアムタイヤであれば静粛性、スタッドレスタイヤであれば氷上雪上性能などが挙げられるだろう。しかし今、ユーザーの関心を集めており、タイヤ業界も注力しているのが、「エコ」という指標だ。
そこには、製造過程や原料レベルでの環境負荷の低減といった意味合いも含まれているが、やはり利用者にとって気になるのは、実際にクルマに装着して、走ったときの燃費だろう。燃費がよくなれば環境だけでなく、お財布にも優しいのはうれしい限りだ。
すでにCar Watchでも何度か報じているとおり、今年の1月にはJATMA(日本自動車タイヤ協会)が、業界自主基準となるラベリング制度(低燃費タイヤ等普及促進に関する表示ガイドライン)の運用を始めている。これは統一の基準で低燃費度の指標となる転がり抵抗を測定し、その結果を表示するというもの。
銘柄の異なるタイヤの性能を横並びで比較することができ、安全性という観点からウェットグリップ性能も記される。ユーザーはこのラベルを見ることで低燃費なタイヤ、ウェットグリップ性能の高いタイヤを比較的容易に選ぶことができる。
ラベリング制度対応タイヤには、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能のグレードが表示されるほか、転がり抵抗の評価がA以上で、かつウェットグリップ評価がd以上のタイヤには「低燃費タイヤ」のマークが入る |
転がり抵抗性能における等級分けは、転がり抵抗係数(RRC)に応じてグレードAAA、AA、A、B、Cの5等級に分類しAAAが最もよく、ウェットグリップ性能(G)はa、b、c、dの4等級に分類し、aが最もよいものとなっている。また、転がり抵抗の評価がA以上で、かつウェットグリップ評価がd以上のタイヤには「低燃費タイヤ」のマークを付けることができる。
ここでは、そんなラベリング制度に対応した低燃費タイヤを紹介していく。
■ダンロップ(住友ゴム工業)
http://tyre.dunlop.co.jp/
ENASAVE 97 |
●ENASAVE 97(エナセーブ キュウジュウナナ)
転がり抵抗:AA
ウェットグリップ性能:b
サイズラインアップ:185/65 R15 88H~195/55 R16 86Vの全4サイズ
製品情報:http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/passenger/enasave97/
多くの低燃費タイヤが転がり抵抗の低減を主題として開発されているのに対し、転がり抵抗はもちろん、製造段階からのCO2の削減に取り組んだのがENASAVE 97だ。
名前の97は原材料の97%に天然資源を使用しているという意味。天然資源を多用することで製造過程でのCO2発生を減らすだけでなく、原材料の資源となる植物を育てる段階でCO2を吸収するため、相対的にCO2削減へと繋がる。
天然ゴムは石油由来の合成ゴムに比べ発熱しにくく転がり抵抗は小さいが、その分ウェットグリップが低くなる。そこで天然ゴムを改質することで、ブレーキやコーナリングなど負荷が掛かった際には発熱しやすくし、転がり抵抗性能をAAにしながら、ウェットグリップ性能でもbと、高い次元で性能をバランスさせている。
石油外の天然資源比率97%を実現したENASAVE 97 | 合成ゴムの代わりに改質天然ゴムを使うことで耐久性も確保 | 転がり抵抗を低減するため方向性パターンを採用 |
ENASAVE RV503 |
●ENASAVE RV503(エナセーブ アールブイ ゴーマルサン)
転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:175/65 R14 82H~225/45 R19 96Wの全38サイズ
製品情報:http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/passenger/rv503/
重心の高いミニバン専用に開発された低燃費タイヤ。トレッドパターンを非対称とし、インサイド・アウトサイド指定とすることで、ミニバンならではのふらつきや偏摩耗を防ぐ。
トレッド面のゴムには、分子レベルでの無駄な振動を抑え不要な発熱を防ぐ合成ゴム「末端変性SBR」と、ブレーキやコーナリングなどで負荷が掛かると素早く発熱する「改質天然ゴム」をあわせた「RV503用コロエネゴム」を採用。
通常走行時は発熱を抑えて転がり抵抗を抑えながら、ブレーキングなどでタイヤに負荷が掛かったときには素早く発熱し、ウェット路面でもグリップ力を確保している。転がり抵抗性能でA、ウェットグリップ性能でcを獲得している。
合成ゴムのポリマーの末端を補強剤とつなげることで無駄な振動を抑え発熱を抑制 | 天然ゴムを改質することでグリップ力を向上 | インサイドとアウトサイドを非対称のパターンとすることで、ふらつきや偏摩耗を抑制 |
ENASAVE EC202 |
●ENASAVE EC202(エナセーブ イーシーニーマルニ)
転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:145/65 R13 69S~215/55 R17 94Vの全67サイズ
製品情報:http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/passenger/ec202/
開発者インタビュー:http://ad.impress.co.jp/special/dunlop1007/
製品レビュー:http://ad.impress.co.jp/special/dunlop1007_2/
ENASAVE RV503で使われたコロエネゴムをさらに進化させたのがENASAVE EC202だ。合成ゴムには従来より無駄な振動・発熱を抑制する「マルチ変性SBR」を採用。さらにENASAVE RV503やENASAVE 97でも使われている「改質天然ゴム」を組み合わせた「EC202用コロエネゴム」をトレッド表面に用いており、その下側のベース部分には発熱の小さい天然ゴムを採用している。
これらにより通常走行時は発熱を抑えて転がり抵抗を抑え、ブレーキやコーナリングなどの負荷が掛かった際には素早く発熱してグリップを確保する。同社の従来モデルであるEC201との比較では、転がり抵抗で約20%低減、燃費で3.6%向上したとしている。また、ウェット路面でのブレーキ制動距離では、EC201と同等の性能を維持している。
無駄な振動を抑え発熱を抑制するコロエネゴムと、ベース部には天然ゴムを使うことで転がり抵抗を低減 | トレッドパターンはシミュレーションにより排水性や接地圧の最適化などを行っている | トレッド幅が175以下のサイズでは4リブのトレッドパターンとすることでブロック剛性を確保 |
■ブリヂストン
http://www.bridgestone.co.jp/
ECOPIA EP100S |
●ECOPIA EP100S(エコピア イーピーヒャクエス)
転がり抵抗性能:AAA
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:185/65 R15 88H、195/65 R15 91H
製品情報:http://www.bridgestone.co.jp/tire/ecopia_ep100s/
ECOPIAシリーズの最新モデルで、転がり抵抗性能で最高グレードとなるAAAを獲得した低燃費タイヤ。EP100と同様にトレッド部のゴムは、ナノプロ・テックにより微細構造をコントロール。ゴムの中に含まれるカーボンを分散して配置することにより、カーボン同士が擦れ合って発熱するのを防いでいる。さらにEP100Sのみの技術として、タイヤサイド部の形状を最適化。部材ごとの重量バランスを最適化することで、EP100よりも転がり抵抗を低減した。
ウェット性能に関してはEP100と同等の性能を確保。低燃費性能とは直接関係はないが、タイヤのトレッドブロックを路面に水平に接地する形状とすることで偏摩耗を防いでいる。
末端変性ポリマーによりカーボンの配置を分散したナノプロ・テックのほか、タイヤの形状や重量バランスの最適化により転がり抵抗を低減 | ドラム試験器によるテストでは、同社のB'STYLE EXと比べ、転がり抵抗を39%低減 | ウェットグリップ性能はB'STYLE EXと同等の性能を確保 |
ECOPIA EP100 |
●ECOPIA EP100(エコピア イーピーヒャク)
転がり抵抗性能:AA~A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:155/65 R13 73H~225/45 R18 91Wの全23サイズ
製品情報:http://www.bridgestone.co.jp/tire/ecopia_ep100/
転がり抵抗性能でAA(一部サイズでA)、ウェットグリップ性能でcグレードの低燃費タイヤ。トレッドゴムのナノプロ・テックによってカーボンを分散し、カーボン同士が擦れ合って発生する熱を抑え、エネルギーロスを低減する。さらにサイドゴムにも転動によるエネルギーロスを減らすものを採用。同社の他銘柄のタイヤ(B'STYLE EX)との比較では、転がり抵抗を30%低減することで、燃費が4.2%向上したと言う。
トレッドパターンは静粛性、ブロック剛性を確保しつつ、ハイアングルラグと呼ばれる斜めの横溝をセンター部に配置。ブレーキング時に接地面に加わる力を分散し、接地面積を確保することで、B'STYLE EXと同等のウェットグリップ性能を確保している。
カーボン同士の摩擦による発熱を抑え転がり抵抗を低減。B'STYLE EXと比べ、転がり抵抗を30%低減、燃費が4.2%向上した | 坂道からギアをニュートラルで転がした時の完全停止までの距離では、B'STYLE EXと比べ43%向上 | ウェット路面で、80km/hからのフル制動での完全停止までの距離。B'STYLE EXとほぼ同じ距離で停止 |
ECOPIA EX10 |
●ECOPIA EX10(エコピア イーエックステン)
転がり抵抗:AA~A
ウェットグリップ性能:b
サイズラインアップ:155/65 R13 73S~245/45 R19 98Wの全50サイズ
製品情報:http://www.bridgestone.co.jp/tire/ecopia_ex10/
ECOPIAシリーズの中で、スタンダードモデルとしてEP100に続き登場したのがEX10。転がり抵抗性能でA(一部でAA)、ウェットグリップ性能でbを獲得。シリカを分散して配置することで、シリカ同士の摩擦による発熱を防ぎ、省エネに貢献するナノプロ・テックを採用している。また、タイヤサイド部の形状を丸くすることでタイヤが接地するときのゆがみを抑制、部材ごとの重量バランスを適正にすることでも転がり抵抗の低減を図っている。同社の他銘柄のタイヤ(B'STYLE EX)との比較では、転がり抵抗で25%低減したと言う。
シリカの配置を最適化したゴムはウェット性能にも貢献。トレッドパターンの工夫によりブレーキング時のブロック剛性を確保し、排水性を確保しつつ、接地圧の分散、接地性を向上を図った。ウェット路面でのブレーキ制動距離では、B'STYLE EXとの比較で14%の短縮をしていると言う。また、水平設置形状や軽・コンパクトカー専用パターンの採用により、偏摩耗を防いでいる。
ナノプロ・テックによりシリカを最適に配置。また、タイヤの形状や重量バランスの最適化により転がり抵抗を低減した | トレッドパターンにもウェットグリップ性能を確保するための技術が織り込まれる | 接地面を水平にすることで、タイヤが接地したときの無駄な変形を防ぎ、偏摩耗を抑制 |
■グッドイヤー
http://www.goodyear.co.jp/
EfficientGrip |
●EfficientGrip(エフィシエントグリップ)
転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:b
サイズラインアップ:185/65 R15 88H~205/60 R16 92Hの全5サイズ
製品情報:http://www.goodyear.co.jp/products/tires/efficientgrip/efficientgrip.html
転がり抵抗を低減しながらも、ドライ・ウェットともに高いグリップを確保したというEfficientGrip。トレッド部には、専用開発されたトレッドコンパウンドを採用し、転がり抵抗を低減するとともに、ウェット路でのブレーキングやコーナリング時に、安定したグリップを発揮。さらにベースコンパウンドには、発熱や振動を効果的に吸収・緩衝する「クールクッションレイヤー」を、タイヤの骨格周辺には、転がり抵抗低減に効果のある「低発熱コンパウンド」を採用している。
トレッドパターンはインサイド・アウトサイド指定の非対称パターンを採用。排水性能とグリップ、直進安定性を高次元でバランスさせている。
トレッド部にはシリカと専用ポリマーを使ったコンパウンドを採用。転がり抵抗を低減しつつウェットでのグリップを確保している | ベースコンパウンドには発熱や振動を吸収・緩衝する「クールクッションレイヤー」を採用 | タイヤの骨格周辺には、転がり抵抗を低減する「低発熱コンパウンド」を採用 |
■横浜ゴム
http://www.yokohamatire.jp/
BluEarth AE-01 |
●BluEarth AE-01(ブルーアース・エーイーゼロワン)
転がり抵抗:AA
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:145/80 R13 75S~215/60 R16 95Hの全20サイズ
製品情報:http://www.yokohamatire.jp/yrc/japan/tire/brand/bluearth/bluearth_ae01.html
転がり抵抗を低減するため、新素材の「低発熱ポリマー」を採用。これは通常のポリマーに比べ分子鎖を長くしたもの。結果的に振動して発熱する末端部分の数を減らすことができ、さらに末端部分も発熱しにくい形状としたことで余分な発熱を抑え、低燃費性能を実現している。さらにオレンジオイルを配合。オレンジオイルはタイヤ表面のゴムをしなやかにし、路面への密着度を上げグリップを向上。また、オレンジオイルはブレーキやコーナリングで負荷が掛かった際にゴムが発熱するのを促進する。
BluEarth AE-01では、ゴムだけでなく、低燃費シミュレーションにより、トレッドパターンやプロファイルにおいても、エネルギーロスを細かく検証し、転がり抵抗を低減。タイヤ自体の軽量化も行っている。結果的に、同社別銘柄のタイヤ(ES300)との比較で、転がり抵抗が24%低減、燃費では3.2%向上している。
低発熱ポリマーの分子構造のイメージ。一般的なポリマー(左図)と比べ、低発熱ポリマー(右図)は分子鎖が長く末端部分が振動しにくい形状に | グリップ性能のイメージ。通常巡航時は発熱を抑えて燃費をよくし、ブレーキなどのアクションが起こると発熱することで従来品と同等のグリップを発生する | 「低燃費シミュレーション」により、トレッドパターンやプロファイルによるエネルギーロスも追求。赤い部分がエネルギーロスを表す |
DNA Earth-1 |
●DNA Earth-1(ディーエヌエー アースワン)
転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:b~c
サイズラインアップ:155/65 R13 73S~245/35 R20 95Wの全76サイズ
製品情報:http://www.yokohamatire.jp/yrc/japan/tire/brand/dna/dna_earth1.html
シリカを配合した「ナノパワーゴム」に、さらに天然ゴムとオレンジオイルを使った「スーパーナノパワーゴム」技術を採用。オレンジオイルがゴム分子をしなやかにすることで接地面では路面にミクロレベルでしなやかに密着し、グリップ力をアップさせる。このオレンジオイルは、ブレーキやコーナリングなどでタイヤのゴム分子が激しく動く際には発熱を促進する。これにより低燃費性能とグリップ性能を両立したと言う。
トレッドパターンは、排水性を考慮した4本のワイドストレートグルーブや、インチアップした際にも偏摩耗を抑制するウェアコントロールショルダーなどを採用。サイズラインアップが多いのも特徴で、特にインチアップ向けのローハイトサイズでは新設計のフィラーを採用。ラウンドしたショルダー部を持つプロファイルとあわせて、突き上げ感を抑えた乗り心地を実現している。
オレンジオイルが、絡み合ったゴム分子のすき間に入り込み、ゴムをしなやかにする | 通常走行時は従来の低燃費ゴムと同レベルの発熱でありながら、ブレーキなどのアクションがあるとオレンジオイルが発熱を促進し高いグリップ性能を生む | 静粛性や偏摩耗を抑制することも踏まえて作られたトレッドパターン。ワイドな4本のグルーブで排水性も確保する |
■日本ミシュランタイヤ
http://www.michelin.co.jp/
Primacy LC |
●Primacy LC(プライマシー エルシー)
転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:195/60 R15 88V~245/45 R19 98Yの全28サイズ
製品情報:http://www.michelin.co.jp/tyre/patterndetail/PassengerCar/PrimacyLC
低燃費タイヤでありながら静粛性にもこだわったプレミアムタイヤがPrimacy LC。ゴムには分子間の摩擦抵抗が小さいという「フルシリカコンパウンド」を採用。さらにコンパウンドの柔軟性を高めることで、路面の細かな凹凸にもフィットし、ドライ、ウェットを問わず高いグリップ力を発生すると言う。
プレミアムタイヤとしての静粛性を確保するために、トレッドには「サイレント・リブテクノロジー」を採用。リブを横方向に切り取ったときに、どの部分でも溝とブロックの幅の比率が一定となるように設計することで、パターンノイズの原因であるトレッドブロックの振動を抑えている。さらにショルダーブロックには4つのピッチバリエーションを持たせることで音の周波数帯を分散。トレッドコンパウンドには振動を抑制するものを使用し、特に人の耳に聞こえやすい音域のパターンノイズを低減したとする。
横断面を見たときに常にブロックと溝の割合が同じになるように設計したサイレント・リブテクノロジー | 特に人間の耳に聞こえやすい音域のパターンノイズを低減することで静粛性をアップ |
ENERGY SAVER |
●ENERGY SAVER(エナジー セイバー)
転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:185/55 R14 80H~215/60 R16 99H XLの全20サイズ
製品情報:http://www.michelin.co.jp/tyre/patterndetail/PassengerCar/EnergySaver
従来モデル(ENERGY3)と比較し、転がり抵抗を約7%低減しながら、ウェット制動距離では約6%向上したという低燃費タイヤ。コンパウンドには転がり抵抗を低減しつつウェット制動性を向上させる「フルシリカコンパウンド」を採用。コンパウンドのミキシング工程では、フルシリカの性能を引き出すように最適化している。加えて、「デュラブルセキュリティ・コンパウンドテクノロジー」により、摩耗が進んだ際にもコンパウンドの剛性や特性が変化するのを抑え、グリップ力の低下を防いでいると言う。
トレッドパターンはインサイド・アウトサイド指定の非対称パターン。センターに配置したストレートグルーブと独自のサイピングにより、排水性とグリップ性能を両立している。また車重を考慮して2タイプのトレッドパターンを用意。これにより、コンパクトカーからミディアムカーまでさまざまな車種で安定した走りを実現する。
ロングライフ設計をうたうのもENERGY SAVERの特徴で、トレッドの接地面を均一化することでグリップ性能を最大限に確保するとともに、偏摩耗を防ぎ、耐摩耗性を考慮した。
ENERGY3との比較では、転がり抵抗で約7%低減、ウェット制動距離で約6%向上した | トレッドパターンはインサイド・アウトサイド指定の非対称パターン。14インチタイヤではトレッドパターンを変更している |
■トーヨータイヤ(東洋ゴム工業)
http://toyotires.jp/
SUPER ECO WALKER |
●SUPER ECO WALKER(スーパーエコウォーカー)
転がり抵抗:AAA
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:195/65 R15 91Hの1サイズ
製品情報:http://toyotires.jp/catalog/sew.html
日本で最初に転がり抵抗性能でAAAを獲得したのがこのSUPER ECO WALKER。トレッド面のゴムには、「スーパーアクティブポリマー」を採用。このポリマーは末端がシリカと繋がるため、無駄な振動を抑える。高反応ポリマーでもあるため、シリカが分散し、シリカ同士の摩擦を低減。
ベース部のゴムには低発熱カーボンを採用し、アクティブポリマーを結合させ、さらにシリカを配合することでエネルギーロスを減らしている。また、サイドウォールも同様にアクティブポリマーと低発熱カーボンを結合させ、ハイテクポリマーを加えることで剛性を確保している。
タイヤプロファイルも接地した際の歪みを低減し、エネルギーロスを減らす歪低減プロファイルを採用。トレッドパターンも最適化することで、接地圧分布を均一にし、転がり抵抗を低減しつつウェット制動性能、耐摩耗性を向上したと言う。
高反応ポリマーによりシリカを分散し、さらにポリマーの末端をシリカに結合させることで無駄な発熱を抑える | トレッド部に使われているコンパウンドのイメージ。シリカが分散し、スーパーアクティブポリマーがシリカに結合している | プロファイルを見直すことで接地した際の歪みを低減。赤い部分が減っているのが分かる |
ECO WALKER |
●ECO WALKER(エコウォーカー)
転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c~d
サイズラインアップ:155/65 R13 73S~215/55 R17 94Vの46サイズ
製品情報:http://toyotires.jp/catalog/ew.html
トレッド部には「低燃費トレッドキャップコンパウンド バージョン ECO WALKER」を採用。これはシリカとそれに結合するアクティブポリマー、グリーンパウダーなどを採用した高反発なゴムで、高反発なゴムほどエネルギーロスが小さく転がり抵抗も小さいと言う。耐摩耗カーボンを最適に配合することで耐久性も向上させている。
また、タイヤ全体を見直すことで、従来品と比べ約10%の軽量化を図っている。トレッド幅を最適化し、スリムにすることで転がり抵抗を低減する「軽量低燃費最適プロファイル」とし、軽量化による剛性の低下を防ぐため、「超高硬度ビードフィラー」や「高硬度プライトッピング」を採用している。軽量化は燃費向上へ貢献するほか、路面追従性がよくなり、乗り心地も向上する。
さらに接地形状と接地圧を最適化することで耐摩耗性にも配慮。トレッドパターンには、3Dマルチサイプを用いて偏摩耗を抑制するとともにウェット性能させ、サイレントウォールやノイズプロテクションシートなど、静粛性にも配慮した。
低燃費トレッドキャップコンパウンド バージョン ECO WALKERのイメージ。アクティブポリマーが末端でシリカに結合している | 燃費向上のため、タイヤ全体での軽量化も行っており、その分剛性を確保するための工夫がなされる | ECO WALKERに採用されるさまざまな技術 |
(瀬戸 学)
2010年 7月 9日