トピック

岡本幸一郎のFOCALカーディオ専門店「FOCAL PLUG&PLAY STORE」に行ってみました

メルセデス・ベンツ「Cクラス」の音質をアップグレードするスピーカー「PS 80 F for MB」を体験

2017年7月15日(土曜日) グランドオープン

FOCALカーディオ専門店「FOCAL PLUG&PLAY STORE」でスピーカー交換されたCクラスのサウンドを、モータージャーナリストの岡本幸一郎氏が体験

 好きな音楽をクルマで、できるだけよい音質で楽しみたいと思っている人は少なくないはず。純正装着のカーオーディオのサウンドをなんとかしたい人にもってこいの耳寄りな話があるのでぜひ紹介したい。

 高級スピーカーの世界的リーダーとして、オーディオ愛好家や音のプロフェッショナルから信頼されるフランスの名門「FOCAL(フォーカル)」が、新コンセプトのカーオーディオ専門店を日本に出店するというのだ(プレオープン時の記事:FOCALカーディオ専門店「FOCAL PLUG&PLAY STORE」が千葉県木更津市にプレオープン)。据え置き型では実に1基2500万円級というものすごい商品もある一方で、カーオーディオではリーズナブルな価格の汎用品や、車種別の専用のキットをラインアップしているブランドだ。

 実際にどんな感じのお店なのかを確かめるべく、「三井アウトレットパーク 木更津」の近くに、このほどオープンしたばかりの店舗「FOCAL PLUG&PLAY STORE」を訪ねた。木更津のアウトレットといえば、オフ会なども盛んに行なわれているクルマ好きにはおなじみの場所。東京湾アクアラインを房総側にわたって千葉県に入ってまもないエリアだから、東京や横浜などからのアクセスもよく、ショールームからアウトレットまで歩いてすぐ行けるほどの至近距離。作業の間はアウトレットで買い物などを楽しめるのもありがたい。

「FOCAL PLUG&PLAY STORE」店舗外観
ホームオーディオの試聴コーナーも併設されている

純正装着スピーカーをアップグレードする「PS 80 F for MB」「ES 80 K for MB」

 今回、そこでインストール作業がされていたのは現行のW205型メルセデス・ベンツの「Cクラス」。まずは純正オーディオがどんなものなのかについて教えてもらったところ、なんと驚愕の事実が隠されていた。

Cクラスのドアパネル
助手席足下にウーファーが組み込まれているCクラス。今回作業を行なった車両は高音域もウーファーで再生されていてなんとなくバランスが悪い

 標準状態ではフロント2スピーカー、リア2スピーカー、ウーファーの計5スピーカーが装着されているのだが、なんとトゥイーターが付くべきスペースはあるのに空洞になっていて付いていない。さらには、助手席足下に設置されたウーファーがフルレンジ状態になっていて、本来出すべき低音だけでなくいろいろな音が出ているので、なんとなくバランスがよくない。ドアに付いているフルレンジスピーカーも見るからに作りがイマヒトツだ。

 これが従来型のW204までのCクラスならもっとちゃんとしていてトゥイーターもあるし、現行モデルでもEクラス以上であれば、それなりに上等なオーディオが付いているらしいというのだが……。実際、W205型メルセデス・ベンツ Cクラスの純正オーディオは音質の評判がよろしくないというのだ。

 最近では有名オーディオブランドの名前を掲げた純正カーオーディオシステムの採用例が増えていることだし、プレミアムブランドのクルマならなおのことオーディオに気を使っていると思ったら……、純正では反対にむしろコストダウンを図っているわけだ。

 それなら、オプションで設定されているはずの有名ブランドのオーディオを選べばよいのではと思うのだが、例えば現行Cクラスに用意される「Burmesterサラウンドサウンドシステム」を装着できるのは「C250」よりも上のモデル。売れ筋の「C180」や「C200」「C220d」では選択することすらできない。「C250」だってパッケージオプションで、しかもけっして安くはない。さらには車両価格が1000万円級のAMGモデルですら標準装備されないのが実情だ。

 このようにCクラスといっても、純正オーディオの現実を知ると結構がっかりするような状況なんだよね……。考えてみると、Cクラスのようなクルマこそ裕福な人だけでなく、ちょっと無理をしてでも手に入れたいという人も少なくないはず。そういう人は何事にもコダワリを持つからオーディオにも思い入れがあるはずなのに、クルマのほうがそれに応えていないわけだ。

 そこでFOCALの新商品の出番! 現行Cクラス⽤として、ハイグレードな上級ユニットを採⽤した2モデルをリリースしている。

Cクラス専用80mm2ウェイスピーカーキット「PS 80 F for MB」
フランス特産の天然繊維FLAX(亜麻)を活かしたWサンドウィッチ構造を採用

 その2モデルの一方、今回紹介する「PS 80 F for MB」は、スピーカーの素材に麻を用いたFOCALならではのアイテム。世界最高品質とされるフランス特産の亜麻(FLAX)が秘めた理想的な音響特性に着目したFOCALが、5年の歳月をかけて完成させたものだ。

 しなやかさと軽さを両立した、Wサンドウィッチ構造のフラックス・コンポジット振動板による「80mm FLAXコーンウーファー」がミソ。これにアルミ/マグネシウム合金によるインバーテッド・ドームトゥイーターを組み合わせたユニットにより、音楽ジャンルを選ばない、ナチュラルさと情報量を併せ持った音色を実現したという。

店舗で行なわれるインストール作業を見学

 今回は、特別に店舗で行なわれている取り付け作業の様子も見せてもらった。

インナードアパネルを外したCクラスのドア

 作業にあたった岸川店長の「Cクラスは結構手間がかかる」との言葉どおり、まずバラすのが大変。インナードアパネルが何カ所も固定されているのをすべて外す必要がある。Cクラスの純正オーディオはお伝えしたとおりの感じだけど、ドアの作りがしっかりとしているのは、さすがはメルセデスといったところ。

 Aピラー付け根のドアミラー裏側にあるダミーグリル内にトゥイーターが入るべき場所があるので、そこにFOCALのトゥイーターをはめ込む。内張りの加工は不要。これにより、純正の5スピーカー構成から7スピーカー構成へとグレードアップを果たす。

トゥイーターが入るべき場所にFOCALのトゥイーターをはめ込む

 また、フロントドアスピーカーを交換するとともに、配線もFOCALが用意した効率のよい付属の専用ネットワーク&ケーブルに交換する。制振デッドニングシートは、個体によって若干パネルの共振の仕方に違いがあるらしく、状態を確認したうえで最適な場所に貼っていく。そして助手席足下に設置された純正ウーファーを低音のみ出るよう再生帯域を調整し、サブウーファーとして利用するためのローパス・フィルター用のコイルを装着する。

純正スピーカーとの比較
純正装着されたスピーカーを「PS 80 F for MB」に交換。耐水加工された木質系素材による専用バッフルボードに取り付けてしっかりと固定する
単純にスピーカーを交換するだけでなく、制振材をインナーパネルに張り付けていくなど、個体に合わせてスピーカーのパフォーマンスを最大限引き出すインストール作業が実施される
作業が終了したインナーパネル。制振材の貼り付けも個体の特性に合わせた作業が行なわれる
スピーカーのインストール作業が終了したのでインナーパネルを取り付けていく
FOCALのスピーカーシステムがインストールされたドアパネル。穴あけ等の加工がないので見た目の変化はなし。インテリアはそのままだ
インストール後は車載端末を使って音質のチューニングも行なわれる

 一般的に、こういった作業時間はスピーカーを取り付ける業者によって多少は違ってくるもので、Cクラスの場合も早ければ3時間、遅ければ5時間はかかるとのこと。しかし、このFOCAL PLUG&PLAY STOREでは1時間あたり8000円を基準とし、Cクラスなら4時間といった具合に、車種によって工賃を一定とした明瞭な料金設定をしている。つまり、メルセデス・ベンツのようなクルマであっても取付け時間が明瞭なため、事前に予約すれば、その日のうちに取付けを完了して乗って帰る事もできる。また、料金には取り付け工賃だけでなくセットアップが含まれるというのもありがたい。

 なお、岸川店長は音作りのスペシャリストとして知られる人物であり、FOCALでは今後、同氏のような熟達者を順次育てていくという。

純正装着スピーカーとFOCALのスピーカーを聞き比べ

 さて、これでオーディオの音質が劇的に変わるというから楽しみだったのだが、最後に純正オーディオと「PS 80 F for MB」装着車を同じ音源で聴き比べしたところ、やはり違いは明白だ。

純正装着スピーカーとFOCALのスピーカーを聞き比べをする岡本氏

 FOCALはメインとなるスピーカーからしっかり音が出ていて、バランスがよく、音の像がクッキリとしている。音に広がり感もあって、聴いていて気持ちがよい。とりわけ女性ボーカルの声の聴こえ方が、FOCALのほうが圧倒的にキレイだ。あるいは電子ピアノのような音も、きらびやかさがまったく違う。それでいて高周波が強くて耳障りになるようなこともない。一方で、アコースティックギターとボーカルのみのような音数の少ない曲でも充実して聴こえる。岸川店長によると、それは「情報量が増えたから」であり、音の響き、つややかさが違うからだそうだ。

 ちなみに筆者もモータージャーナリズムを生業とする前は本気で音楽で身を立てていこうと取り組んでいた時期があって、今でも音楽は大好きだし、それなりに聴く耳は持っているつもりであることをお伝えしておこう。

 わずか8万円(税抜)+工賃で、これまでとまったく違う音の世界を手に入れることができ、さらには穴あけ等、内装の加工は一切していないのでCクラスの美しい純正インテリアはそのままであるというのも大きなポイントだ。こんな魅力的な話があることを、1人でも多くの純正オーディオに不満を持つ現行Cクラスオーナー諸氏に、ぜひお伝えしたいと思う。

 アラミドコーンの「ES 80 K for MB」(10万5000円[税別])もすでにスタンバイしている。なお、FOCALでは今後、Cクラスと同様の車種別専用キットのラインアップを充実させていくとのことなので、その他の車種のオーナー諸氏もご期待いただきたい。

Cクラス用80mm2ウェイスピーカーキット「ES 80 K for MB」
インストール作業を行なったCクラス

フォーカル プラグ&プレイ本店<木更津アウトレット前>
所在地:〒292-0009 千葉県木更津市金田東1-38-5
営業時間:平日10時~19時、土休日10時~19時
定休日:毎週水曜日(休日を除く)、年末年始
TEL:0438-40-4056
FAX:0438-40-4057

提供:フォーカル・オーディオ・ジャパン株式会社

岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者の方々にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛