トピック
“フルHDを超える高画質”3M(メガ)録画を実現したケンウッドのドラレコ「DRV-610」「DRV-410」
商品企画担当の吉川悟史氏「フルHDを超える高画質が標準になる」
(2016/3/25 00:00)
JVCケンウッドは、2月23日にドライブレコーダーの新機種となる「DRV-610」「DRV-410」を発表した。
これまでに同社は、2014年12月に「KNA-DR300」、2015年9月に「KNA-DR350」をリリースしており、どちらもスタンダードモデルの位置づけとなるが、「高精細なフルハイビジョン動画」「HDR技術」などJVCとケンウッドが持つ映像光学技術が投入されており、高画質モデルとして人気となった。
このヒットを受けて、その上位モデルとしてリリースするのがDRV-610とDRV-410となる。価格はいずれもオープンプライスで、実売予想価格はDRV-610が2万3000円前後(税別)、DRV-410が2万1000円前後(税別)。
DRV-410
ドライブレコーダーと言えば、それこそ少し前まではタクシーなどの営業車向けだったり、カーナビのオプションだったりといったイメージがあった。しかし、近年では安心、安全といったユーザー意識の高まりはもちろん、動画共有サイトで公開された映像のインパクトなどから知名度が向上。装着を望むユーザーが増えてきているのが現状だ。
この背景にはアジア圏で生産された比較的安価な製品が出回り、価格が1万円そこそこといったレンジに入ってきたことも挙げられる。ユーザーの「とりあえず試しに付けてみようか」といったニーズに合致したワケだ。
そんな中で発売された前述のKNA-DR300、KNA-DR350は、それらの商品より上のレンジの価格であったが、それでもメーカーの想定を上回る売れ行きを示した。価格は安いものの映像もそれなり、といった商品では満足できないユーザーが多かったといえる。
JVCの光学技術とケンウッドの車載技術のコラボレーション
今回、上の価格帯にあえて商品を投入した理由やコンセプトなどについて、商品企画を担当しているJVCケンウッド 市販事業統括部 第一商品企画部 チーフ 吉川悟史氏にお聞きした。
吉川氏は「ドライブレコーダーの映像はレンズや先進技術、プロセッシング技術などそれぞれのノウハウを持って作り込んでいくことが重要」と話し、そこに同社の強みがあるという。
クルマ関連で「ケンウッド」ブランドと言えば、オーディオやカーナビのイメージが強い。実際、「彩速ナビ」シリーズなど根強い人気を誇るモデルをリリースしている。その一方で「JVC」ブランドは、「Everio」に代表されるように、映像やカメラのコア技術を持っている。カーエレクトロニクス技術と光学技術の両方が必要になるのが、ドライブレコーダー(ドラレコ)という商品なのだ。
こうした技術を持つ同社がドラレコを投入するのは自然な流れ。ただ、前述したように参入したのは2014年と最近のこと。それ以前からドラレコというカテゴリーは存在していたものの認知度は低く、事業者向けの高価格帯と一般向けの低価格帯に二分されていた。
そんな中でKNA-DR300が発売された。「フルHD」「GPS内蔵」「駐車録画機能」の高機能モデル故に、当時2万円弱のプライスを付けていたが大ヒットとなる。それまでドラレコのボリュームゾーンは1万円以下だったのが、発売後は1万5000円から2万円へと移行したほど。
吉川氏はこの点について「ある程度市場が広がった時点でよい商品を出せたのがヒットの理由」と分析する。デジタル系の商品は高価格帯からスタートして機能を高めつつ平均価格が安くなっていくのが普通だけれども、ドラレコの場合は安価でそれなりの商品が出回った後、高機能で少し高価な商品が売れるという、ちょっと面白い現象になっている。
また、KNA-DR300からのフィードバックからも、ドラレコが独特の市場であることが見えてくる。購入者の年齢は50代がもっとも多く、40代~60代を合せるとなんと80%弱を占めてしまう。こうしたユーザーが購入時に重視した機能が、KNA-DR300の目玉にもなっているフルHD、GPS内蔵、駐車録画機能なのだ。
つまり購入者の年齢層が高いが故に、価格はある程度無視しても「キレイに撮れるモデルが欲しい、精度のいいモデルが欲しい」となるワケだ。
高画質録画と高精度を追求
こうした分析を踏まえ「2016年度は“フルHDを超える高画質”に加え、“運転支援機能”などの付加価値機能の付いたモデルが標準になっていく」(吉川氏)と予測。
・フルHDを超える3M(メガ)2304×1296画素の高解像度を実現
・高精度な自車位置測位
・運転支援機能の追加および駐車録画機能の改善
以上、3点を2016年度の新商品コンセプトとし、生まれたのがDRV-610とDRV-410だ。
3M(メガ)とあまり馴染みのない解像度を選んだ理由について吉川氏は「1920×1080は2015年モデルでもスタンダード。その上を行くところを目指した」とし、「(高解像度化により)HDRや味付けなどケンウッドならではの部分で差別化が出来る」という。
2つめの自車位置の測位には彩速ナビにおけるGPS活用のノウハウをフルに投入。GPSだけでなく準天頂衛星「みちびき」も活用している。ドラレコの場合、カーナビと違って自車位置精度の高低が直接表面には現れてこないものの、実は3つめの特長で有効に活用されている。
その3つめというのが運転支援機能だ。「車線逸脱警告」「発進遅れ警告」「前方衝突警告」と、安心ドライブをサポートする3つの機能を新たに採用。カメラで撮影した映像に加え、GPSのデータを活用することでこれらを実現しているのだ。
また、KNA-DR300で好評だった「駐車録画機能」もリファイン。「KNA-DR300はフル充電してあっても、録画待機時間は約25分では不十分だった」(吉川氏)とし、新たに電源ケーブルをオプション設定。バッテリー上がり防止機能の搭載や暗電流値を抑えることで、駐車中でも連続して録画することが可能になった。スタンドアロンタイプのドラレコの場合、シガーソケットから電源を取れてカンタンに装着することができるのもメリットだが、ドラレコの場合、頻繁に着けたり外したりするタイプの商品ではないこともあり「新車を購入されるお客様は電源ケーブルが見えるのを嫌う。スッキリとした配線をしたいというニーズに対応した」(吉川氏)という。
兄弟機ではなく、DRV-410は新ラインのプラットフォームを採用
こうした特徴を持つDRV-610とDRV-410。型番だけ見ると上位モデルとベーシックモデルのようだけれど、実はまったく別ラインのモデル。吉川氏によれば「DRV-610はKNA-DR300/350の流れを汲むモデル。DRV-410は新ラインのプラットフォームで幅広い展開を狙っているモデル」だという。
実際、スペックを見比べて貰うと分かるのだけれども、撮像素子が異なるのをはじめ、レンズ、記録フォーマット、フレームレート、対応メディア、ビューワーソフトなど、かなりの部分で異なっている。
吉川氏はこうしたラインアップを「お客様のニーズに合わせたラインアップ強化」だといい、DRV-610を「画面が大きい、デュアルスロットで動画投稿なども見据えているなど、より幅広いユーザー向け」、DRV-410「高精細なドラレコが欲しいユーザー向け」とまとめた。
実際の映像はどうなのよ?
さて、「実際の映像はどうなのよ?」と言えば、撮影した動画を見てもらうのが手っ取り早い。3Mの動画についてはYoutubeでは1080Pに変換されて再生されるため、実際の映像ファイルも用意した。ダウンロードして、画質を確認していただきたい。
主な定格
DRV-610 | DRV-410 | |
---|---|---|
衝撃検出感度 | 0.5G~3G(0.5G単位) | -4.0G~4G(0.1G単位) |
モニターサイズ | 2.7型 | 1.5型 |
最大記録画角(約) | 水平121°垂直59°対角141° | 水平117°垂直63°対角128° |
撮像素子総画素数 | 340万画素 | 400万画素 |
F値 | F1.8 | F2.0 |
レンズ | 6枚 | 7枚 |
フレームレート | 27.5fps | 27.0fps |
動画フォーマット | H.264(MP4) | H.264(MOV) |
画像補正 | WDR | HDR |
記録メディア | microSDHC/SDXC(4GB~128GB) | microSDHC(8GB~32GB) |
カードスロット | 2 | 1 |
内蔵バッテリー | ○(フル充電時約15分) | スーパーキャパシタ |
専用ビューワーソフト | KENWOOD ROUTE WATCHERII | KENWOOD DRIVE REVIEWER |
協力:JVCケンウッド