編集後記

2020年10月17日

椿山和雄

 ちょっと古い流行語「壁ドン」を聞いて思い出すのが、TVドラマ「あぶない刑事」第5話「襲撃」にあった、ヨリカの取り調べシーン。ヨリカは宝石店の襲撃犯である中沢の妻。ヨリカはこの取り調べで中沢の死を知ることになる。

 中沢は、妻のヨリカを人質に取ったヤクザ・島崎の指示によって宝石店を襲撃したのだが、「中沢は私にメロメロだったからね。あいつ私のためだったらどんなこともやる男なんだよ」と、ヨリカは自らの企みで中沢に宝石店襲撃に向かわせたことを認めるのである。

 中沢はこの宝石店の秘密を知って死体となって発見されてしまう。中沢の死を聞かされて、「アハハ、なあんだ、やっぱドジ踏んだのか」と笑うヨリカ。

「馬鹿野郎。あいつはお前のことを心配しながら死んでいったんだぞ」とユージの怒りに、「そんなこと知ったことかよ」とのたまうヨリカ。

 そして、「このバカあまが」とユージの、上条当麻の男女平等パンチばりの「壁ドン」が炸裂するのである。

 なぜ、このシーンが自分の中で印象的なのかいろいろと考えてみた1つ要因として、この回の監督を務めた長谷部安春監督、後に知ったことであるが瞳ちゃん(長谷部香苗)の父である。「中沢は私にメロメロだったからね」というヨリカの発言を回収するシーンを入れていたり、娘を持つ父親だからできた演出だったのではないかと考えている。

 最近まであぶない刑事はAmazon prime videoで見放題で、こうした脚本家、監督による演出の違いを感じながら見直すのを楽しみにしていたのだが、現在は見放題は終了してしまった(レンタル視聴は可能)。また次の楽しみを探さなくては……。

写真はオークションで仕入れてしまったポルシェ純正アクセサリーのパトライト