【2009フランクフルトショー】
会場拾遺編

燃料電池のプレスシャトルなど

新トラバントのアンヴェールに詰めかけた大勢の報道陣

2009年9月15日~27日(現地時間)
独フランクフルト
Messe Frankfurt



トラバント復活
 トラバントといえばベルリンの壁が崩壊したとき、東独の人々が嬉々として西側に乗ってきた車だ。東西ドイツ統合と冷戦終結の象徴のような車で、愛嬌のあるスタイリングと相まって、「トラビ」の愛称で人気となった。が、あまりに旧態依然としたメカニズムのまま生産され続けていたため、統合後は西側の排出ガス基準を満たせず、生産が終了した。

 そのトラバントを電気自動車として復活させようとしているのが、独の玩具メーカーであるヘルパだ。フランクフルト・モーターショーのホール8、トヨタ・レクサスやオペルの大きなブースの裏に、ヘルパは小さなブースを構え、発表会を行った。

 ブースに置かれた新生トラバント「トラバントnT」は、3ドアのコンパクトな2ボックスカー。オリジナル・トラバントを現代的にリファインしたスタイルで、オリジナル・トラバントの「安物」イメージはまったくない。サイズは3950×1690×1500mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2450mm、重量は1050kg。リチウムイオンバッテリーと出力47kWのモーターを積んだ電気自動車で、航続距離は160km、220V電源なら8時間で満充電となる。2012年には発売できるという。

 そのトラバントを1台置いていっぱいになるようなブースに、大量の報道陣が詰めかけた。ドイツでトラバントに郷愁の念を抱く層は、今も厚いと言う。実現すれば、それなりにヒットしそうだ。

LEDのドライビングランプを点灯させたトラバント
ルーフには太陽電池を備え、車内換気とそのほかの車載機器の電源となる
室内も現代的ヘルパ製のトラバントのミニカー

エコカーに乗る
 フランクフルト・モーターショー会場のメッセ・フランクフルトは非常に広大で、会場の端から端までゆうに1kmはある。この中を動き回って取材をするわけだが、さすがに徒歩では効率が悪い。そこで主催者は「プレス・シャトル」、つまり報道関係者用の無料構内タクシーを用意している。

 これに使われるのは、フォルクスワーゲン、アウディ、BMW、MINI、ベンツ、オペルといった地元メーカーの車で、サイドに環境性能を大書したエコカーが揃っていた。

 だいたいはゴルフや3シリーズ、Eクラスのエコモデルなのだが、なかには写真のような、なかなか乗れない車も混じっていた。

オペルの燃料電池車「ハイドロジェン4」。センターコンソールのモニターで燃料電池の動作状況がわかるようになっており、ドライバーが今どんな状態かを説明してくれる。結局のところ電気自動車なので、非常に静か
こちらは電気自動車のMINI E。インパネは普通のMINIと全く一緒だが、大量のバッテリーを積むため、振り返ると後席がない

(編集部:田中真一郎)
2009年 9月 18日