【東京モーターショー2009
ブリヂストン、省燃費タイヤ・ランフラットタイヤの体験会


キャリアカーに設置されたゴルフ。ニュートラル状態で下っていく

2009年10月21日、22日開催



 ブリヂストンは、東京モーターショー2009のプレスデーに、省燃費タイヤとランフラットタイヤの体験会を開催した。この体験会は、省燃費タイヤである「ECOPIA(エコピア)」の転がり抵抗の小ささと、パンクしても走行可能なランフラットタイヤを体験できるもので、幕張メッセ東ホール横にあるスペースを使って行われた。

省燃費タイヤ体験
 省燃費タイヤ体験には、フォルクスワーゲン「ゴルフ」を使用。このゴルフに省燃費タイヤのECOPIA EP100と、ベーシックタイヤの「B'style EX(ビー・スタイル・イーエックス)」を交互に履かせ、転がり抵抗の差を確認する。ゴルフをキャリアカーに設置し、そこからニュートラルで空走し、どの程度の距離を走ることができたかを計測する。ゴルフはブリヂストンがこのテストのために海外から輸入したMT仕様で、これはMTのほうがATに比べニュートラル時の抵抗が小さいためとのこと。

キャリアカーによって作り出されたスロープ後進して所定の位置にゴルフをセットする
シフトギヤをニュートラルにしてブレーキを緩めると、ゴルフはスロープを下りていく空走中のゴルフ。ニュートラル時の走行抵抗の小さいMT車を用意

 実際に計測すると、ベーシックタイヤでは35.7mの距離となったが、省燃費タイヤのECOPIA EP100では49.9mと、1.4倍の距離を走ることができた。これは、それだけ転がり抵抗が小さいことを示している。単純なテストだが、たとえば2名乗車するとスタート時の位置エネルギーが増えるため(高さと重力加速度一定の場合、質量に比例して位置エネルギーは増える)、素直に走行距離が伸びるなど見ていて興味深いものだった。

 実際に助手席に乗って転がり抵抗の差を体感してみたが、ECOPIA EP100のほうが速度が落ちてきたときでも、さらに距離が伸びるという感覚を得ることができた。自動車に加わる抵抗は転がり抵抗のみではないため、燃費が1.4倍になることはないが、燃費に好影響があるのは事実だろう。

1回目のテストはベーシックタイヤのB'style EX。タイヤサイズは195/65 R15。空気圧は車両既定値ベーシックタイヤの結果は35.7mブリヂストンのスタッフがその場でタイヤ交換。F1ほどではないが、実にスムーズに作業は進んでいく
省燃費タイヤのECOPIA EP100を取り付ける。タイヤサイズ、空気圧ともベーシックタイヤと同じECOPIA EP100の結果は49.9m。約1.4倍の距離となった。後方に小さくキャリアカー(緑色のプレート)が見える
ベーシックタイヤのB'style EX(左)と、省燃費タイヤのECOPIA EP100(右)。ECOPIAのほうがブロックが大きく、ブロック歪みにおける抵抗も小さそうだ。また、ブロックが3D形状をしており、世代の差は明らか
特設コース脇に掲示されていたホワイトボード

穴あけランフラットタイヤ体験試乗
 もう1つの体験会は、ランフラットタイヤに穴を開け、穴が開く前と後での差を体感するというもの。まず、穴が開いていない状態(通常状態)で幕張メッセに作られた特設コースを2周する。その後電動ドリルでサイドウォールに穴を開けパンク状態を作り出し、パンクしたタイヤで再度コースを2周する。

 実際に両方の状態で運転してみたが、その差を体感することはできなかった。もちろんこれには特設コースが短く、それほどスピードを出すことができなかったことや、特設コース内のクランク部分が狭く、タイヤに大きな荷重をかけることができなかったことなどもあるが、30km/hほどの速度で走行している限りにおいては、不安を感じることなく運転できた。

 ランフラットタイヤは、ISO基準で0kPa(パンク状態)時に80km/h以下で80km走行可能なことと定められているため、当然の結果ではあるものの、改めて確認できたしだいだ。

ランフラットタイヤ体験試乗に用いられたのは、BMW「325i」。純正でランフラットタイヤが装着されているブリヂストンのランフラットタイヤ「POTENZA(ポテンザ) RE050 RFT」電動ドリルで、右リアタイヤのサイドウォールに穴を開けパンク状態を作り出す
RFTロゴの左上に穴が開いた右リアタイヤがパンク状態のため、左コーナーではそれなりの荷重がかかるはずだが、通常状態とパンク状態の差を感じることはできなかった
ランフラットタイヤの構造。特殊なゴムでサイドウォールが補強されており、0kPa時(パンク時)でもタイヤが完全につぶれることはない。この構造によって走行が可能となる
ランフラットタイヤは空気が抜けてもある程度走ることができるため、タイヤの状態を検知可能な車のみ装着可能。この画面はBMWのiDriveで表示可能なタイヤ空気圧警告画面

 省燃費タイヤ体験は助手席で、穴あけランフラットタイヤ体験は実際に運転して体感することができた。会場の都合でプレスデーのみのイベントとなっていたが、省燃費タイヤ体験などは運転免許を必要としないため、次回の東京モーターショーではぜひ一般公開日にも開催してほしいイベントだ。模型による転がり抵抗の差も興味深いが、やはり実車で行われていると、説得力に違いがある。転がり抵抗という一般にはなかなかなじみのない値が燃費に直結するものであることを、多くの方が体感する機会を設けていただきたい。

(編集部:谷川 潔)
2009年 10月 22日