【東京モーターショー2009】 体験型展示を中心にエコ技術を競うタイヤメーカー ARを使った製品展示なども |
華やかなコンセプトカーや、数多くの新車が展示される東京モーターショー。そんな中見逃せないのが、パーツや用品、そして自動車部品メーカーブース。普段はなかなか見られない製品が一同に展示されている。本記事では、タイヤメーカーの展示内容についてお届けする。
タイヤメーカーで展示を行っていたのは、ブリヂストン、ダンロップファルケンタイヤ、横浜ゴム、ピレリ ジャパン、日本グッドイヤーの5社。タイヤの展示で特徴的なのは、体験型の展示を行っていたメーカーが目立つこと。どれも同じように見えてしまうタイヤだが、個々の製品は最新の材料技術や構造技術などの固まりで、それらの技術をいかに体感してもらえるかという部分に各社の考えが現れていた。
ブリヂストンブース |
■AR展示を取り入れたブリヂストン
タイヤの技術展示で新しいチャレンジを行っていたのがブリヂストンだ。ブリヂストンの展示は、環境を意識し、省燃費タイヤ、リトレッドタイヤ、そしてランフラットタイヤが中心となっていた。とくに、省燃費タイヤである「ECOPIA(エコピア)の技術展示には力を入れており、ECOPIAのコンパウンドに投入された技術解説にAR(拡張現実:Augmented Reality)を用いていた。
ARはiPhone用のアプリ「セカイカメラ」で一気に身近になったテクノロジーだが、何らかのビューアを用いて物を見ると新たな情報が提供されるもの。ブリヂストンは展示したECOPIAのまわりに3つの三角タグを配置。このタグを専用のビューアで見ると、展示されているECOPIAの映像上に、ECOPIAで用いられた材料技術「NanoPro-Tech」の解説がCG映像でオーバーレイされ、解説音声も三角タグの面を変更することで日本語から英語に変わる。
ARのビューアとしては、ヘッドマウントディスプレイなどを用いる場合もあるが、ブリヂストンの展示ではハンドタイプのビューアが用いられていた。これについて、ブリヂストン ブランド推進部の内田達也氏は、「タイヤに使われている高分子技術はなかなか説明が難しく、虫眼鏡でタイヤをのぞくことをイメージしています。楽しみながらタイヤの技術を理解していただければと思いこの形にしました」と言う。ARによる展示はシカゴショー、ジュネーブショーに続き3度目で、日本では東京モーターショーが初めてとのこと。
AR展示はECOPIAのNanoPro-Tech解説に用いられていた。ハンドビューアをECOPIAの回りに配置された三角タグにかざす。するとCG映像がオーバーレイで表示される。ハンドビューアを持つのは、今回お話を聞いたブリヂストン株式会社ブランド推進部 企画・CI課長の内田達也氏 |
そのほかブリヂストンでは、大型モニターでECOPIAの特徴を理解できるようなコンテンツを用意。このコンテンツは自分でポインターを操作するようになっているが、このポインターの操作はモニターの前に用意された位置認識フレーム内に手をかざすことで行う。いわばエアマウスのようなものだ。ボタンクリックには少し慣れを必要とするが、不思議な感覚を味わうことができるだろう。
また、話題の新製品スタッドレスタイヤ「BLIZZAK REVO GZ(ブリザック レボ ジーゼット)」に関しては、REVO GZで新採用となった「レボ発泡ゴムGZ」をルーペで見ることができる。実際にルーペで見てみると、軽石のような穴が開いており、水の膜を取り除く仕組みの一端を垣間見ることができた。
位置認識フレーム内に手をかざして、画面に表示されたタイヤ形状のポインターを操作する。手の上に見えているのがポインター | 新スタッドレスタイヤBLIZZAK REVO GZ。北海道や東北地区では、「極レボ、誕生」のキャッチコピーでCM展開が始まっている |
LEDライト付きルーペでレボ発泡ゴムGZを見ることができる。タイヤテクノロジーの一端を理解できる | 通常のゴムとレボ発泡ゴムGZの違いを触れることで体感 |
ダンロップブース |
■日本上陸100周年のダンロップ
ダンロップは、同社の省燃費タイヤの「ENASAVE(エナセーブ)」を中心に、次世代ランフラットタイヤなどを展示。ダンロップが日本上陸100周年となることから、ブース背面には年表が掲示されていた。
ブース左側には、通常タイヤとENASAVE EC202の転がり抵抗の違いを数値で見せる大型の展示機械を設置。この展示機械では通常タイヤとENASAVE EC202を回転させ、回転するのに必要なエネルギーを表示し、仮の燃費値を計算する。
また、同社として第4世代となるランフラットタイヤを展示。ランフラットタイヤではタイヤからの発熱をいかにコントロールするかが技術的なテーマとなっているが、第4世代ではサイドウォールに凹状のディンプルを配置。このディンプルによって10℃ほど熱を低減できると言う。
横浜ゴムブース |
■横浜ゴム
横浜ゴムは「ECOタイヤストーリー」というパネル展示を中心に、同社のエコタイヤ開発の歴史を紹介。DNAというネーミングの由来や、各製品の展示を行っていた。また、先日発表したばかりの、エコタイヤ技術「AIRTEX advanced liner」を展示。AIRTEX advanced linerは、タイヤの内部素材に用いてタイヤの自然な空気漏れを抑制する素材で、その素材の効果が分かるような体験展示コーナーを設けていた。
また、学研の科学実験キャラバンのスタッフによる、転がり抵抗、オレンジオイル、空気もれ抑制の解説を実施。理解の難しいこれらの技術や素材を分かりやすく解説するような工夫を行っていた。
ピレリ ジャパンブース |
■ピレリ ジャパン
ピレリ ジャパンは、ブースの中央に「P ZERO CORSA」を履くランボルギーニ「ガヤルド」を配置。ガヤルドを取り囲むように同社のタイヤラインアップを展示していたほか、モータースポーツなどで使われていたタイヤを展示していた。
日本グッドイヤーブース |
■日本グッドイヤー
日本グッドイヤーは同社のタイヤラインアップを一同に展示。今シーズンの新スタッドレスタイヤ「ICE NAVI ZEA II(アイスナビ・ゼア・ツー)」や、10月発売の低燃費タイヤ「EfficientGrip(エフィシエントグリップ)」も展示。そのほか、日本未発売の米国向けオールシーズンタイヤ「ASSURANCE FUEL MAX」も参考出展されていた。
(編集部:谷川 潔)
2009年 10月 23日